「この素晴らしい風景をたくさんの人に知ってもらいたい」と、ツーリズムガイドとして活動する大竹さん。ところが震災以降、観光客や修学旅行客は激減。ハイシーズンにもかかわらず、宿泊客が少ない磐梯山近くのホテルロビーでお話を伺いました。
今日はラッキー。ここまではっきり頂上まで見える日は少ないから。夕方にはもっと山の起伏が色濃く見えますよ。磐梯山はよく会津富士と言われるけど、僕にとっては富士山以上の存在。何を話していても、いつの間にか磐梯山の話になっちゃうんです(笑)。
震災の影響は大きかった。建物の被害はあまりなかったものの、原発の風評被害が甚大でした。まず修学旅行やバス旅行はほとんどがキャンセル。「今あえて福島を選ばなくても」ということでしょうね。会津エリアは原発から100km以上離れていて、放射能の量は関東とほとんど変わらないけど、「福島」というだけで避けられてしまう。やり場のない怒りと悲しみでいっぱいでした。
そんな8月のことです。茨城県のある学校から「例年通り、磐梯山でサマーキャンプを実施したい」との連絡が入りました。「放射能は問題ないレベル。毎年の行事だし、福島の復興につながるなら」ということでしたが、実施までの過程を想像すると頭が下がります。そしていつもと変わらず元気にやってきた子どもたち。山を登りながらサッカーの話をしたり、自然に触れてきらきらと顔を輝かせているのを見たら、「今こそ磐梯山の素晴らしさを人に伝えていかなければ。落ち込んでいる場合じゃない」と、かえって僕の方が勇気付けられました。
今は微力ながらブログ「磐梯山の力」やフェイスブック、ツイッターなどを通して、毎日磐梯山の様子を伝えています。磐梯山や猪苗代湖はいわば僕のライブステージ。その舞台で生かされているんだと思っています。今までも、これからもずっと。
僕たちは震災前と何一つ変わらない生活をしています。正しい情報を知ってほしい。そして季節ごとに彩られる素晴らしい自然を見に来てほしい。僕たちが見るだけでは本当にもったいない美しさですから。
インタビューを通して、大竹さんの磐梯山に対する愛がひしひしと伝わってきました。「春も、夏も、秋も、冬も、いつも素晴らしい」と大竹さんが太鼓判を押す磐梯山や猪苗代湖の自然。周辺には温泉や見どころも豊富です。ぜひ遊びに行ってみてください。
次回は、震災で休業に追い込まれた老舗旅館。まかない料理で
再起にかける女将、若松佐代子さんのインタビューです。