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2017.01.19

連載第2弾!ラーメン官僚が推す山手線沿線の激ウマラーメン店10軒~後編~【東京】

日本の首都・東京の都心部における大動脈の役割を担うJR山手線は、品川駅を起点とし、29の駅を環状に結ぶ全長約35kmに及ぶ路線。

29駅のうち、渋谷駅、新宿駅、池袋駅、上野駅、大崎駅は、日本経済を支える一大拠点である副都心の「玄関口」であり、とりわけ、渋谷、新宿、池袋は、それぞれのエリアだけで3桁に及ぶラーメン店を擁する日本屈指のラーメン激戦区となっている。

また、これら以外にも、高田馬場、秋葉原など、若者人口が多いという特性から、副都心と肩を並べるほどのラーメン激戦区として名を馳せるエリアも存在する。
この記事では、そんな山手線沿線のラーメン店の中から、自信を持っておススメできる優良店を、厳選してご紹介する。

山手線沿線には数多くの実力店がしのぎを削っており、一度でおススメ店舗を網羅することは極めて困難であることから、「前編」と「後編」の2回に分けることにした。「前編」では、品川駅から「外回り」で池袋駅に至るまでの推奨店舗を紹介させていただいたので、未読の方は、是非ともご一読いただきたい。

https://www.jalan.net/news/article/131617/

「後編」となる今回は、池袋駅から先。大塚駅から「外回り」で田町駅までのエリアから、自信を持っておススメできる10店舗を採り上げる。

記事配信:じゃらんニュース

1.【大塚】辛味とうま味の爆発力は、都内最大規模!『らーめん子うさぎ』の「汁無し担々麺」

店舗の場所は、眼前にJR大塚駅北口ロータリーを臨む、これ以上ないほどの好立地。2016年12月にオープンした同店は、渋谷区・神泉の実力店『うさぎ』の2号店としての顔も持ち合わせる。

らーめん子うさぎ

らーめん子うさぎ

おススメは、「汁無し担々麺」。1号店において「知る人ぞ知る」人気メニューとして君臨する同メニューの味を、完璧にトレースしたものだ。

メニュー名/汁無し担々麺1辛
メニュー名/汁無し担々麺1辛

担々麺の味の決め手となる芝麻醤から、辛味の質感を左右するラー油に至るまで、完全な自家製。ラー油にあらかじめ花椒をしっとりと溶け込ませ、燃え盛る炎のような「辣」の辛味と電気のようにピリリと痺れる「麻」の辛味との融和を図る。

こうして出来上がった1杯は、幾種もの辛味が互いの魅力を削ぎ合うことなく、それぞれ自己を高らかに主張。そこにゴマのうま味が手を貸せば、もう完璧だ。

ボリュームを感じる暇すら与えず、丼を空っぽにさせてしまう辛味とうま味の爆発力は、百聞は一見に如かず。是非、足をお運びいただき、肌身で体感してもらいたい。

■らーめん子うさぎ
[TEL]070-1438-3992
[住所]豊島区北大塚2-14-2 
[営業時間]
月曜~金曜:11:00~14:00、18:00~23:00
土曜・祝日:11:00~14:00
[定休日]日曜

2.【巣鴨】鶏の魅力を骨の髄まで堪能し尽くすなら、『麺やいま村』の「鶏煮干し」で決まり!

ミシュラン掲載店として全国的に名を馳せる実力店『蔦』を擁する巣鴨。そんなビッグネームの近傍に、2016年11月、1軒のラーメン店が待望の船出を果たした。

その店の名は、『麺やいま村』。

麺やいま村

和の趣が色濃く漂う、割烹料理店のように厳かな店構えが緊張を誘うが、勇気を出して暖簾をくぐれば、温かい「いらっしゃいませ」の声が出迎えてくれる。

「醤油」と「塩」。2種類の「鶏煮干しらぁめん」を提供するが、タレの味に応じて、スープも作り分けるこだわりよう。

メニュー名/鶏煮干しらぁめん塩
メニュー名/鶏煮干しらぁめん塩

中でも「塩」は、同店最大の武器である鶏白湯スープの滋味が、大海原のような拡がりを見せる逸品。鶏ガラを4時間以上かけて炊き上げ、ガラに内在するうま味とコクを骨の髄まで絞り取ったスープは、艶やかな香りが口元から鼻腔へと突き抜ける渾身の出来映え。

とかく強調されがちな煮干成分を敢えて抑え込み、バイプレイヤーとしての役割に徹させることで、却って鶏の存在感を浮き彫りにするギミックも、見事の一言に尽きる。

■麺やいま村
[TEL]非公開
[住所]豊島区巣鴨1-13-3フクザワビル1F
[営業時間]11:00~23:00
[定休日]月曜(祝日の場合は翌日)

3.【上野】鶏白湯の新たな可能性を指し示す、『Ramen&Bistro ushio ueno east』の「鶏白湯そば」

ラーメンとしては異色の「肉巻きアスパラ」&「ポーチドエッグ」を具材として採用した、創作ラーメンの人気店『麺巧潮』。

その『潮』が2016年10月、東上野の地に待望の2号店をオープン。現在、夜営業の時間帯はビストロ営業を実施しており、麺類単体のオーダーはできないシステムとなっているが、昼営業時には、麺類のみの注文が可能。よって、ラーメンのみを御所望の方は、昼営業の時間帯に足を運ぶと良いだろう。

Ramen&Bistro ushio ueno east

看板メニューは、1号店においても不動の1番人気メニューとして君臨する「鶏白湯そば」。

メニュー名/鶏白湯そば
メニュー名/鶏白湯そば

大山鶏のガラをたっぷりと用いた白濁スープは、極上のポタージュをいただいているかのような、「西洋」を彷彿とさせる味わいが、食べ手に鮮烈な印象を刻み込む。

出自が同じ鶏であることもあり、スープとポーチドエッグの相性も、長年連れ添ったカップルのように良好。スープにトロリと溶け出す黄身を麺に絡めて啜り上げれば、思わず頬が落ちそうになる。

■Ramen&Bistro ushio ueno east
[TEL]非公開
[住所]台東区東上野3-22-2 クレアツィオーネ上野
[営業時間]11:00~17:00(ラーメン営業)、17:30~22:00(ビストロ営業)
[定休日]日曜

4.【御徒町】そのコストパフォーマンスの高さは驚異的!『鶏だし中華そばかね壱』の「塩かけ」

2008年9月、春日部にオープンした『麺屋六弦(ろくげん)』を皮切りに、同じく春日部の『つけめんブラウン』、浦和の『鶏そば一瑳(いっさ)』、越谷の『雫一』など、主に埼玉県内での成功を経て、今では、堂々たる首都圏のビッグネームへと躍進を遂げた「六弦グループ」。

そんな同グループが、2016年9月、御徒町に構えた店舗が、『鶏だし中華そばかね壱』。東京都内に店舗を展開するのは、高田馬場の『自家製麺鶏そば三歩一』(2011年11月)以来、約5年ぶりのことだ。

鶏だし中華そばかね壱

こちらの『かね壱』では、デフォルトメニューである「塩かけ」を、480円という超・低価格で提供。

メニュー名/塩かけ&半熟味玉
メニュー名/塩かけ&半熟味玉

スープの主役は、老化防止などに効果がある「ビタミンE」を大量に含む、岩手産の「あべ鶏」。

ガラのみならず、モミジ、ボンジリ(尾骨周りの肉)、首肉もフル活用して創られる純鶏スープは、カエシに仕込まれた利尻昆布から沁み出る官能的な芳香も相まって、レンゲを持つ手を止めさせない。

■鶏だし中華そばかね壱
[TEL]03-5826-4107
[住所]台東区台東4-12-9
[営業時間]11:30~15:00(LO:14:45)、17:30~23:00(LO:22:45)
[定休日]無休

5.【秋葉原】『肉汁麺ススム』で大量の肉を摂取すれば、明日への活力が湧き上がる!

2016年4月、大勢の若者が行き交う秋葉原のジャンク通り沿いにオープンしたのが、こちらの『肉汁麺ススム』。

肉汁麺ススム

屋号に「肉」の文字を掲げ、店舗外壁にも、肉の画像が「これでもか!」と言わんばかりに貼り付けられている。清々しくなるほどストレートに「肉」をフィーチャーする振り切れたスタイルに、通行者は、思わず店の前で歩みを止めずにはいられないだろう。

メニュー名/肉汁麺レベル3
メニュー名/肉汁麺レベル3

肉の分量は、ボリュームが最も控えめな「レベル1」でさえ130グラムと、同種のラーメンを提供する他店をはるかに凌ぐ。

極上の豚バラ肉に片栗粉をまぶし、甘辛ニンニク醤油ダレを絡めながら香ばしく焼き上げる。噛み締める度に肉汁がジュワっと迸る肉塊は、肉厚であるにもかかわらず、実に柔らか。食べ手を夢中にさせるのに十分過ぎるクオリティを誇る。

店側が推奨するのが、200グラムもの肉を豪快に盛り付けた「レベル2」。「白飯」をオーダーし麺と交互に食べ進めれば、至福のひと時が訪れる。

■肉汁麺ススム
[TEL]03-6811-1139
[住所]千代田区外神田3-7-12
[営業時間]11:00~21:00
[定休日]無休

6.【神田】都内唯一の台湾ラーメン専門店が、神田エリアに降臨!『郭政良味仙 東京神田店』

2016年8月、JR神田駅からほど近い中央通り沿いのビルの一角に、思わず目を疑ってしまうような大行列が発生した。その行列の創造主こそが、こちらの『味仙東京神田店』だ。

郭政良味仙 東京神田店

同店は、名古屋のご当地麺である「台湾ラーメン」を提供。しかも、「台湾ラーメン」の創始者・郭明優氏が経営する『味仙』グループの一翼を担う、元祖の系譜に連なるサラブレッド。

より具体的には、創始者の実弟である郭政良氏がオーナーを務める『郭政良味仙』の都内初進出店舗であり、他の『味仙』でも提供される「醤油味」のほか、「塩味」が食べられるのが大きな特徴だ。

基本メニューである「台湾ラーメン」は、本場を踏襲し丼こそ小ぶりだが、味わいはワイルドそのもの。

メニュー名/台湾ラーメン(塩)麺大盛り
メニュー名/台湾ラーメン(塩)麺大盛り

台湾ラーメンを知り尽くした同店だからこそ具現化できる、ニンニクと唐辛子をビシッと利かせた「台湾ミンチ」の奥深いうま味と骨太な辛みが、味覚と快楽中枢を同時に刺激。噴き出す汗をぬぐう暇さえ与えない。

■郭政良 味仙 東京神田店
[TEL]03-6262-9833
[住所]千代田区神田鍛冶町3-3-21
[営業時間]
月曜~土曜:11:00~23:30(LO)
日曜・祝日:11:00~22:30(LO)
[定休日]無休

【有楽町】店主の溢れる郷土愛が、珠玉の1杯として結実!『らーめん一郎』の「醤油らーめん」

店舗のロケーションは、有楽町駅から徒歩数分程度と至便。

昨年12月にオープンした『らーめん一郎』は、埼玉の名店『麺匠喜楽々』で店長を務めた柴田店主が采配を振るう話題店だ。

らーめん一郎

店主の故郷は青森県。「使う素材は、可能な限り青森産にこだわる。それが、青森人として当然の務め」と胸を張る店主は、前店舗でも同県のご当地麺を精力的に提供するなど、ラーメン界における「青森の伝道師」として名高い。

メニュー名/醤油らーめん
メニュー名/醤油らーめん

『一郎』の看板メニューである「醤油らーめん」のスープも、「青森シャモロック」の丸鶏、青森産のイワシ焼干し&しじみを用いた青森仕様。食べ始めから食べ終わりに至るまで、絶え間なく素材のうま味が膨らみ続ける味づくりから、店主の郷土愛がひしひしと伝わってくる。

生揚げ醤油・たまり醤油をはじめ4種類もの醤油をブレンドしたタレ、北海道産小麦のみを厳選した麺など、一つひとつのパーツにまで手を抜かないストイックな姿勢も、敬服に価する。

■らーめん一郎
[TEL]03-6263-0916
[住所]中央区銀座3-2-13江戸常ビルB1F
[営業時間]11:00~22:00(LO:21:40)
[定休日]無休

8.【新橋】移転リニューアルを機に、味が益々パワーアップ!『新橋元楽』は、背脂好きのオアシス

虎ノ門・内幸町エリアにお勤めの方々を中心に、馴染みのラーメン店として親しまれ続けてきた『虎ノ門元楽』。その『虎ノ門元楽』は、入居ビルが老朽化したため、2016年3月に休業。「あの味はどこで食べられるのだろうか」と、一抹の寂しさを抱えている方もいらっしゃるのではなかろうか。

けれども、安心されたい。同店は昨年6月、屋号を新たに『新橋元楽』とし、新天地で復活を遂げている。

新橋元楽

私が強く推したい一品が、「特製元らーめん」。

メニュー名/特製元らーめん
メニュー名/特製元らーめん

『虎ノ門元楽』 時代には存在しなかった新メニュー。知る人ぞ知る、蔵前の『元楽総本店』における不動のトップランナーを、こちらでも商品化したものだ。 

着丼した瞬間から、スープが全く見えぬほど大量の背脂が食べ手を圧倒。その背脂が、麺を茶褐色に染め抜く超濃厚・醤油ダレと絶妙な塩梅で混ざり合い、舌上で渾然一体と化す。両者の競演を背後から支えるスープの素材感も上々。極めて中毒性の高い1杯に仕上がっている。

■新橋元楽
[TEL]非公開
[住所]港区新橋5-12-1 越田ビル1F
[営業時間]
月曜~金曜:11:00~14:45、17:30~22:30
土曜:11:30~15:00
[定休日]日曜・祝日

9.【浜松町】『キング軒 東京店』で味わえる、本場広島の味。香辛料はすべて自家製!

ここ数年、都内を中心に一大旋風を巻き起こしている広島ラーメンブーム。『キング軒東京店』が、このブームの大きな立役者となったことに異論を唱える方は、皆無に近いだろう。

キング軒 東京店

同店のオープンは、2015年5月。

広島市のご当地麺には、豚骨の芳香が鼻腔をくすぐる「広島中華そば」、真紅の激辛スープが特徴的な「広島つけ麺」、辛み・うま味・甘みが混然一体と化した「汁なし担々麺」の3種類が存在するが、こちらの『キング軒』は、汁なし担々麺の専門店。

メニュー名/1辛
メニュー名/1辛

啜り上げた麺が口内に飛び込んだ刹那、麺にピタリと付着した花椒から柑橘系の芳香が放たれ、鼻腔へと突き抜ける。その後、自家製ラー油に由来する目が醒めるような辛みとコク深いうま味が、味蕾を心地好く刺激。

花椒・ラー油・唐辛子等の風味を見事にまとめ上げる芝麻醤の豊潤な甘みも、この1杯を特徴づけるキラーコンテンツ。一分の隙すら見当たらない完成度の高さに、舌を巻くほかない。

■汁なし担担麺専門キング軒 東京店
[TEL]03‐6452‐9330
[住所]港区芝公園2-10-5シグマビル1F
[営業時間]
月曜~金曜:11:00~15:00、17:00~20:00
日曜・祝日:11:00~15:00
[定休日]土曜

10.【田町】細麺タイプのつけ麺の魅力を再認識!『中華そば むらさき山』の「つけめん」

慶應大学のお膝元として、星の数ほどの飲食店が立ち並ぶ田町エリアは、山手線沿線において、高田馬場と並ぶ「学生街型」のラーメン激戦区。

具体的には、一定以上のコストパフォーマンスを維持した上で、ハイレベルな味を提供する店舗が生き残り、たとえ味が良くても、価格が学生の支払い能力を超える店は淘汰されてしまう。

そんな中、『むらさき山』は、「中華そば」の価格を750円、「つけめん」の価格を800円にまで抑え込み、必ずしも目立つ立地ではないものの、2008年から現在に至るまで人気店として君臨。

中華そば むらさき山

とりわけ「つけめん」は、細麺にしては十分なボリュームを誇る麺量を、和歌山テイストのスープとともに提供する、知る人ぞ知る人気商品。

メニュー名/つけめん
メニュー名/つけめん

鮮度の高いガラを用いた動物系出汁に、節・煮干しのうま味をふわりと被せたスープに、焦がしネギの香味が華を添える。スープにちょこっと麺を浸し、江戸っ子風にズズっと啜り上げれば、極上のひと時が約束される。

■中華そば むらさき山
[TEL]03-3455-8966
[住所]港区芝5-23-8
[営業時間]11:30~23:30
[定休日]無休(年末年始を除く)

※この記事は2017年1月末時点での情報です

田中 一明(たなか かずあき)  田中 一明(たなか かずあき)

通称「ラーメン官僚」。ラーメン食べ歩き歴20年以上、実食杯数は11,000杯以上に及ぶ。直近の数年間は、毎年700杯~800杯のラーメンをコンスタントに実食。2016年現在、日本でラーメンシーンの「今」を最もよく知る人物。

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