A.どぶ汁とアンコウ鍋の違い(ルーツ)
実は現在のアンコウ鍋の方が新しく生まれたお料理です。
どちらも同じアンコウ鍋ですが、少し調理方が異なります。
ルーツはその昔、冬場に漁師達が食したのが始まりと言われております。
もともとアンコウは水分が非常に多い魚で、ほとんどの部位が食べられます。
寒い冬、船上の漁師達は温かく栄養満点の鍋は大切な食料でした。
そこで目をつけたのがアンコウ。
貴重な水を使わずに、大根や白菜、葱などの野菜と一緒に
ぶつ切りにしたアンコウを煮込んで、味噌を加えれば
栄養満点で温かいスープが作れました。
その際、あん肝を鍋で空煎りし、肝から出た肝油(かんゆ)で
酒の濁酒のようにオレンジ色に濁っていた事から、どぶ汁と呼ばれました。
そして鍋ブームに合わせ、あんこうどぶ汁を商品化しようと考えました。
しかしその調理法では手間がかかり、多くのお客様にご提供できません。
そこで考えたのが、肝煎りや水分を出す時間を省く為に
オリジナルスープ(割り下)を加えて煮立てるだけにしたのが今のアンコウ鍋です。
スープの味付けによってお店それぞれの個性を出せるようになり、
これが大変なヒットとなり、県内各地であんこう鍋が広まります。
一方で話題になると、本物趣向のお客様も増えてきます。
希少価値の高い元来の調理法は「どぶ汁」として改めてスポットを浴びるようになりました。
そこで生まれたのがどぶ汁にアレンジしたあんこう鍋。
肝を空煎りする作業をくわえてからスープを加えたのが、一般的に食べられるどぶ汁です。
当館では水を加えない漁師鍋のどぶ汁を海鮮ダイニング風和にて、
お部屋食で仲居係が調理するどぶ汁風のあんこう鍋、
そして食べやすい通常のあんこう鍋はホールや一般のお客様にご提供しております。
まずは通常のアンコウ鍋を食べていただき、次はお好みでより濃厚などぶ汁へと、
順にお試しいただければと幸いです。