じゃらん大人のちょっと贅沢な旅 2020-2021秋
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京都のええお店の条件いうのんは、「目配り・気配り・心配り」の三配りが行き届いてること。気持ちのいい声掛けに気の利いたサーブなどの濃やかな対応は、季節の室礼やすてきな器と同様に、料理を味わい深いものにしてくれる。 ここ「澤正」は1909(明治42)年創業のそば菓子専門店が営む茶寮。商標登録を有する「そばぼうろ」の作り方で打ったそばが供される稀少な一軒だ。自然に囲まれた静かなロケーションもさることながら、和と洋の趣向に富んだ空間で、創意工夫を凝らしたそば尽くしの料理を愉しませてくれる。使う野菜は中央市場を通さず、生産者の顔が見える直仕入れのものばかり。月替りの献立は、毎月20日頃に旬菜ありきで立てられる。場所柄、職人である友人らの手掛ける京焼の器を好み、それらに似合う料理に仕上げることにも心を砕く。客との会話にヒントを得てそばがきにオリーブオイル+塩を添えるといった遊び心あふれる一皿は、私の杯を進ませ、会話を弾ませる酒肴に。 「ほどよく構ってくれてほどよくほっといてくれる」―その匙加減で、食事のひとときをより贅沢にしてくれる〝ええとこ〟が、京都にはある。(文/山田涼子)V075-561-4786 a京都市東山区今熊野剣宮町33-22 M12時~入店14時30分、18時~入店19時30分 O奇数月は水、偶数月は火(祝日は営業) Q夜のそば会席6600円~(夜は5組まで・前日までに要予約) bJR京都駅より市バス泉涌寺道バス停より徒歩5分 f2台(要予約)200m東大路通東福寺駅東福寺泉涌寺道バス停そば茶寮 澤正変幻自在なそばの魅力に魅せられながら一献。昭和初期に伊勢神宮の古材を利用して建てられた元迎賓館小麦粉ではなく片栗粉を加えた「更級変わりそば」は二色の玉葱ピクルスと共にそば茶寮澤さわ正しょう東福寺1傘彩月(取材時6月)の「八寸」。新じゃが、トマト、オクラ、ズッキーニなど季節の野菜がふんだんに 2温鉢は「豆乳胡麻豆腐・茄子・海老・そばの実おこげの蕎麦餡仕立て」 3焼物は、甘みの少ない白味噌を使った「豚の味噌漬サラダ仕立て おくらのパン粉揚げ」 4香り高い「手打二八そば」こそが主役 5夜のコースでは2種のそばがきを食べ比べることもできる 6生姜の炊込みそばご飯には、万願寺の焼き浸しを添えて 7シメは本領発揮のそば菓子。「そばのこおり餅」と銘菓「そば短冊」1356724
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