じゃらん大人ムック2021-2022春夏号
16/21

※紹介スポットの営業状況や交通情報は状況に応じて変更の場合があります。訪問前に最新情報をご確認ください。※紹介するすべての場所でのコケの採取は厳禁です。コケやほかの植物を踏みつけないよう、マナーにも注意してください。ずっと見ていても何故か飽きない、そして心が穏やかになる不思議なコケ。今回はコケの魅力を紐解きながら、日本各地の名所へご案内。いつもとはちょっと違った旅の世界へようこそ。藤井久子さんライター・編集者。コケ散策&旅行が趣味。コケの魅力を“ともだちになる”という視点で綴った『コケはともだち』(リトルモア)は、初めてコケと触れ合う人でも引き込まれる名著教えていただいたのはコケは地味なルックスながらも、健気にかつたくましく生きる植物。その生き様を覗いてみると一気にコケが可愛らしく見える。ちょっと知るだけで愛おしくなるわずかなすき間に慎ましく生育する。 「種子植物」や「シダ植物」などが水分の蒸発を防ぐために葉を硬くしたり、水を吸い上げる太い根を持つなどの進化をしたのに対し、簡素で原始的な構造のコケは「下等植物」と言われてきた。陸地の多くは他の植物に取られているので、体が小さいコケは空いたすき間に器用に生育している。ちなみにコケの種類は日本だけで約1800種以上、世界には約1万8000種も存在する。土がなくても生きていける。 コケは植物なのに土がなくても大丈夫という、異例な存在。葉・茎・仮根の3つで成り立っているが、仮根はからだを地表に固定させるためだけのもので、土から養分を吸い上げるための機能はほとんどない。栄養源の日光・水・空気は、葉や茎など表面全体で受けて吸収している。そのため、他の植物がターゲットにしていない、石の上や木の表面などでも自由に生きていける。生きるのが辛くなったら眠る。 コケの生育地は乾燥する場所も多い。乾燥に負けて体内に水分がなくなると、生命活動をいったん止めて休眠モードに。道でカラカラになってるコケは死んでいるのではなく、呼吸や光合成をやめて休眠中。雨が降り、暖かくなるとまた緑色に輝き、活動を再開する。集団で寄り添っている。 コケは必ず集団で寄り添って生きている。コケと言われて思い浮かべる緑の塊は、数え切れないほどたくさんのコケが寄り添って生きている姿。生きていくのに必要な水を得るために、みんなで集まって広い面積になり受け止め、乾燥からも身を守っている。

元のページ  ../index.html#16

このブックを見る