初心者でも見つけやすいコケ●ハマキゴケ湿っていると明るい黄緑色、乾燥すると茶褐色に。「葉巻」が名前の由来●ウマスギゴケ苔庭や日本庭園によく生えている。大型で茎が30cmに達することもある●ハイゴケ普段は平らだが乾燥するとクルクルと巻きあがる。苔玉にもよく使われる●サヤゴケ木の幹や枝の表面に生え、濃い鮮やかな緑色。群落は球状もしくは広がって生育●ギンゴケ上の部分が透明で乾燥すると銀白色になる。生命力が強く、都会でもよく見かける●ゼニゴケ地面を這い、繁殖時期になると雌株はヤシの木形の器官をつけて黄色い胞子を飛ばす※拡大率2~3倍のものもあると便利①メガネをかけるように目にくっつける②コケに少しずつ近づく③ピントの合うところで止まって観察黄緑色の新芽が見える「コツボゴケ」蛇みたいな模様が見える「ジャゴケ」高倍率ルーペの時はぐっと近づいて観察右/樹幹についているコケは指先でやさしく触る左/コケに手をうずめてみたりしても低倍率のルーペはこのくらいの距離でOK(拡大率10~20倍のもの)構成・取材・文/伊藤律子、太田陽介(京田クリエーション) イラスト/鈴木あり 写真協力/藤井久子、アマナイメージズ、PIXTAコケトリップに出かける前に、初心者でもコケ観察を楽しめるコツを指南。魔法の道具、ルーペを用意してコケに寄り添って。コケを観に行くときの3カ条ルーペでコケワールドへ。 上から見下ろしていれば「ただのコケ」。でもこちらがしゃがみこんで同じ目線で向き合うと、小さくても一本一本は立体的に、色鮮やかに、しずくをまとってキラキラと輝いている。肉眼で見ているのと、ルーペでコケの世界に入って観察するのとではまるで違う。その姿はまるで地上の宝石。図鑑はあとでOK。五感でコケを感じる。 ハンディ図鑑を持ってコケトリップに出るのもいいけれど、コケはとても小さくて形がよく似たものも多いので、その場では見分けがつかないことも多い。種類や名前にこだわりすぎず、触ったり見たり、まずは五感でコケを楽しんで。コケの写真を撮っておき、帰宅後に図鑑と照らし合わせても。手で触って、コケの気持ちを聞く。 コケを軽くなでたり触れてみて、ほどよい湿り気となめらかな感触があるなら、コケの気分は上々。乾いてしまっているなら「乾燥に耐えてます」または「zzz…(休眠中)」。人の手で触られることはコケにもメリットがあり、無性芽や葉があちこちに飛び散るため繁殖の機会にもなっている。
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