close

2017.02.22

すべての店舗が最高水準!ラーメン官僚が選び抜く!オープン3ヶ月以内の激ウマラーメン店10軒(東京近郊)

2017年も、もう3月。
春の到来を間近に感じるようになり、本年新たにオープンした新店の数も、数日程度では、到底すべての店舗に足を運ぶことができないほど増えてきた。現在、この記事を書いている瞬間も、新店は着実に増加している。とりわけ、本年1月下旬から2月上旬にかけては、ここ最近においても稀に見るオープンラッシュに沸いた。

今般、今から数ヶ月以内に一都三県でオープンした新店をご紹介しようと、昨年後半から現在までにオープンした新店の顔ぶれを思い浮かべてみた。
その際、改めて痛感したことがある。クオリティに少しでも難があれば、生き残ることが困難な時代が本格的に到来しつつある。

「今、どんな味のラーメンがトレンドか?」という観点に立てば、「鯛」「鶏」もしくは、その両者を用いた清湯系(スープが濁らず透き通ったラーメン)の人気が堅調だ。鶏ガラ・丸鶏を大量に使用し、魚介素材で味を調えたスープを用いた清湯系はレシピの自由度が高く、柔軟に作りたい味を表現することができる。
このため、作り手からの支持も高く、この系統のラーメンを看板メニューに据える店も多い。

が、同じ系統のラーメンを提供する店が増えれば、横一線で評価される機会が増え、店舗間の競争も激化する。生き残ることができるのは、ほんのわずかだ。
情報を発信する側も、そのような時代だからこそ、「絶対に満足できる」と太鼓判を押すことができる店舗しか紹介することはできない。

今回は、一都三県に点在する完全無欠の良店の中から、オープン数ヶ月以内の新店のみを10軒厳選させていただいた。このレポを切っ掛けに、皆さんのお気に入りの1杯が見つかればうれしい限りだ。

記事配信:じゃらんニュース

1.【東京・赤羽】実力店『えんや』の店主が、心機一転。『らぁ麺山雄亭』で追い求める熱き志

都内屈指のラーメンテーマパークとして知られる、東京・立川の『立川ラーメンスクエア』。

らぁ麺山雄亭

同施設への出店を賭けたコンペで優勝し、一躍、実力店の仲間入りを果たした『らーめんえんや』の店主が、本年1月12日、赤羽駅前に立ち上げた新店が『らぁ麺山雄亭』だ。

「自分が今作りたい味を提供したい」との思いが高じ、屋号も変え、従来の『えんや』とは全く異なる1杯をゼロから開発した。

醤油らぁ麺
メニュー名/醤油らぁ麺

基本メニューである「醤油らぁ麺」は、魚介素材との味のハーモニーを考えながら、主役である「さつま地鶏」の持ち味を根こそぎ引き出したスープが、高級な和出汁のよう。スープの滋味に鶏油(チーユ)の香味が重なり、厳かな鶏の二重奏を繰り広げる。

麺は、全粒粉入りのストレート。スープとの一体感を重視し、あえて柔らかめに茹で上げる。ラーメンを知り尽くしたマニアにこそ味わっていただきたい、いぶし銀の1杯だ。

■らぁ麺山雄亭
[TEL]03-6454-3387
[住所]東京都北区赤羽西1-4-15
[営業時間]月曜~土曜:11:00~15:00、18:00~22:00
日曜・祝日:11:00~17:00
[定休日]不定休(同店のホームページにて告知)

2.【神奈川県・元住吉】奇抜な屋号と一流の味とが共存。『ナルトもメンマもないけれど』

店舗のロケーションは、東急東横線元住吉駅から徒歩5分足らずと至便。

ナルトもメンマもないけれど

一回耳にすれば記憶から抹消することが困難なユーモラスな店名は、店主が尊敬してやまないミュージシャン「ユニコーン」へのオマージュを込めたものだ。

定番の鶏ガラに加えて、鶏肉を加工して創られる激レア素材である「鶏節」を使用。これらの素材に豚挽肉とカツオ節を加えて味を調えたスープは、最後の一滴まで飲み干さずにはいられない圧倒的な出汁感が印象的。ピタリと寄り添い互いを高め合う、動物系素材のコクと節系素材の和味とのコラボレーションも、食べ手を惹き付ける。

塩らーめん
メニュー名/塩らーめん

スープの中央に鎮座する紅色のソースは、唐辛子・ハーブ・オリーブオイル・胡麻油をブレンドした店主オリジナル。スープに溶け出すにつれ、塩ダレに含まれる上品な甘みと呼応し、厚みのある味わいを創り出す。

その時々の丼の印象を決定づける、この1杯の隠れた主役だ。

■ナルトもメンマもないけれど
[TEL]044-920-9468
[住所]神奈川県川崎市中原区木月住吉町4-19フローラルヤエザワ1F
[営業時間]11:00~15:00
[定休日]日曜・月曜

3.【東京・三鷹】『麺屋さくら井』が繰り出す鶏清湯は、武蔵野エリアの至宝!

JR三鷹駅から徒歩15分強。昨年11月に誕生した同店の店主は、都内の実力店『麺処ほん田』の御出身。実力店出身でありながら修業元と異なる味を目指すのは、自身がベストだと信じる1杯を提供したいとの思いからだ。

麺屋さくら井

博多水炊き鍋に用いられる「はかた地鶏」のガラに、大山鶏の丸鶏を重ねた出汁は、圧倒的なイノシン酸含有量を誇る。その出汁に、昆布のグルタミン酸、椎茸のグアニル酸などを重ね、うま味の三重奏を実現。

「らぁ麺(醤油)」に用いられる醤油ダレは、濃口・生揚げ・再仕込みなど、持ち味を異にする醤油をブレンド。重層的な風味が、スープの味わいに更なる奥行きを与えている。

味たまらぁ麺(醤油)
メニュー名/味たまらぁ麺(醤油)

『三河屋製麺』の細ストレート麺も、滑らかな麺肌が印象深い逸品。喉元を通り過ぎる刹那、心地好い感触が快楽中枢を刺激。

世の中に味が良いラーメンは数多あるが、丼からオーラを感じるほどの1杯にめぐり逢うことは滅多にない。同店は、その数少ない例外だ。

■麺屋さくら井
[TEL]なし
[住所]東京都武蔵野市西久保2-15-27
[営業時間]月曜・木曜・金曜・土曜:11:30~14:30、18:00~21:00
火曜・日曜・祝日:11:30~14:30        
[定休日]水曜

4.【東京・東長崎】その力量は折り紙付き!『カネキッチン・ヌードル』の1杯は鶏清湯の模範解答

店主は、新店のオープンに向けて、知人の店舗を間借りで営業。地道に資金と実力を蓄え、2016年12月、待望の一国一城の主となった。

カネキッチン・ヌードル

「いかがですか。以前よりも、確実にレベルが上がっていると思いますが」。そう問い掛ける店主の表情には自信がみなぎる。

看板メニューである「醤油らぁめん」は、そんな店主の自信を裏付ける渾身の1杯。

メニュー名/味玉醤油らぁめん
メニュー名/味玉醤油らぁめん

醤油ダレは、豊潤な香りと奥深いコクをキープしながらも、小気味良い食べ口を実現すべく鋭い切れ味を演出。

名古屋コーチンの丸鶏と阿波鶏の胴ガラを惜しげもなく使用し、昆布・香味野菜のうま味を重ねたスープも絶品。昆布や香味野菜から際限なく湧き上がるエキスが、見事に鶏の滋味を増幅させている。

ちまたに溢れる鶏清湯系と異なり、出汁と醤油ダレの両者が等しく存在感を発揮できている点も、この1杯を語る上で外せないポイント。同店がある限り、ラーメン業界の未来は当面安泰だ。

■カネキッチン・ヌードル
[TEL]03-5906-5377
[住所]東京都豊島区南長崎5-26-15マチテラス南長崎2F
[営業時間]
火曜~土曜:11:30~15:00、18:00~21:00
日曜:11:00~15:00
祝日:11:00~15:00、18:00~21:00
[定休日]月曜(祝日の場合は翌日)

5.【東京・蒲田】2017年の羅針盤となるか!?『狐狸丸』が先導する新たな鯛清湯のカタチ

ご紹介するのは、2月15日にオープンした『狐狸丸』。

同店が軒を構えるのは、ノスタルジーを喚起する昭和ライクな商店街の中。JR蒲田駅から徒歩5分強と立地こそ悪くないが、雰囲気は駅前とはかなり異なる。地元の方でない限り、足を運ぶ機会は中々訪れないかも知れない。

狐狸丸

『鯛塩そば灯花(2015年)』、『真鯛らーめん麺魚(2016年)』など、近年、年間を代表する人気店のひとつに名を連ねる店舗を輩出してきたジャンル「鯛出汁」。

『狐狸丸』の1杯は、そのバトンを受け継ぐものだ。

メニュー名/鯛茶漬けセット(鯛塩そば+ミニ茶漬け)
メニュー名/鯛茶漬けセット(鯛塩そば+ミニ茶漬け)

魚介出汁は、愛媛・宇和海で獲れた鮮度の高い真鯛を使用。鯛が持つ華やかなうま味と磯の香りを、鳥取・大山鶏から採ったもうひとつの出汁が受け止め支える。

食べ手がその存在に気が付くほど大量の鯛の身をスープに投入し、「身」特有の分厚いうま味を表現するギミックは斬新の一言。

なお同店では、「鯛茶漬けセット」の注文が必須。残ったスープで鯛茶漬けを作れば、至福のひと時が訪れる。

■狐狸丸(こりまる)
[TEL]03-3733-1039
[住所]東京都大田区西蒲田5-12-8
[営業時間]11:00~15:00、17:00~22:00
[定休日]当面無休

6.【東京・北綾瀬】寿司専門店からの転身は異色。『東京ラーメン谷中』の勇気に乾杯!

メトロ千代田線・北綾瀬駅から徒歩1分。2月1日にオープンしたばかりの『東京ラーメン谷中』は、今では極めて珍しい寿司専門店(他業種)からの完全リニューアルだ。

東京ラーメン谷中

昨年10月、ラーメン店への転身を決意し、昨年末、20年以上に及ぶ『かえで寿司』の歴史に幕を下ろした。店主自身がイメージするラーメンの理想像を具現化するため、2ヶ月にわたり試行錯誤を繰り返した結果、2大看板である「らーめん」と「ざるらーめん」が完成した。

私が注文した「ワンタンめん」は、スープに含まれる鶏・豚から湧き上がるうま味とコクが大海のように茫洋と広がる逸品。醤油ダレの切れ味の良さも相まって、レンゲを持つ手を止めることは困難だ。

メニュー名/ワンタンめん
メニュー名/ワンタンめん

具のチャーシュー、ワンタンの造りも極めて丁寧であり、好感が持てる。その完成度たるや、数ヶ月前まで寿司専門店を営んでいたとは到底思えない。スープを大胆に持ち上げる太麺の佇まいからも、店主の技量の高さが垣間見える。

■東京らーめん谷中
[TEL]03-5697-6985
[住所]東京都足立区谷中2-7-12
[営業時間]11:00~14:00、17:00~22:30(当面)
[定休日]火曜(当面)

7.【神奈川・高座渋谷】『ラーメン郷』は、名店『すみれ』第4の暖簾分け。味は文句なし!

間違いなく、直近1年間に一都三県にオープンした店舗が手掛ける味噌ラーメンの中ではトップ。

情報発信者にとって、店舗を評価するに当たり「断定形」の言葉を用いるのはハイリスクだと言われるが、この『ラーメン郷』に関しては断言できる。新店の味噌の中ではナンバーワンだ。

ラーメン郷

日本を代表する札幌味噌の名店『すみれ』。こちらは、『彩未』『大島』『八乃木』に続く4軒目の『すみれ』の「暖簾分け」であり、店主は『すみれ』で15年間もの修業を重ねた凄腕。

丼が目の前に供された瞬間から、宙を舞い鼻腔を強襲する味噌の香り。ひと口スープを啜れば、香ばしい山椒・ニンニク・ショウガが三位一体となって、味覚中枢を歓喜へと導く。

メニュー名/味噌ラーメン
メニュー名/味噌ラーメン

味噌のうま味の塩梅はもちろん、スープに湛えられるラード油の分量に至るまで完璧。最近では「スープが冷めず、食べにくいから」といった理由で油の量を減らす同系の店舗が目立つ中、しっかりと修業元の製法を踏襲している。

■ラーメン郷
[TEL]046-408-1906
[住所]神奈川県大和市渋谷2-15-10
[営業時間]11:30~15:00、17:00~20:30
[定休日]水曜・不定休あり

8.【東京・護国寺】哲学は「FARM to BOUL」。創作ラーメンの今を体現する『MENSHO』

『MENSHO』は、2005年に市ヶ谷にオープンした『麺や庄の』の最新店舗。2016年12月下旬、護国寺にオープンして以来、常に来客で賑わう。

MENSHO

同店が掲げる哲学は、『FARM to BOUL』。生産者の顔が見える形で素材の魅力を提示し、食べ手へと届けたいという考えが端的に表明されたものだ。

生産者と食べ手の結節点でありたいという考えは、製造工程にまで及ぶ。機械式の石臼を製麺室に設置。必要な分量だけ玄麦を石臼で挽く。

メニュー名/挽きたて小麦つけめん
メニュー名/挽きたて小麦つけめん

この工程によって完成する「挽きたて小麦つけめん」の麺のクオリティは神がかり的。スープと共に提供される「薩摩の天然温泉水」に麺をディップさせるだけでも、麺皿を空っぽにできるほどだ。

もちろん、生産者の顔立ちは、スープからも浮き彫りになる。スープの素材は岩手産鴨と野菜のみ。シンプルな構成が麺の魅力を引き立てる。玄麦の薫りが鴨の滋味と出逢い、理想的な形で味覚中枢まで届けられる。生産者のバトンが食べ手にまでつながった瞬間だ。

■MENSHO
[TEL]03-6902-2878
[住所]東京都文京区音羽1-17-16中銀音羽マンシオン1F
[営業時間]11:00~15:00
[定休日]火曜

9.【東京・石神井公園】『味世石神井公園店』で、東北が育んだ名古屋・台湾ラーメンを満喫

今回ご紹介する『元祖名古屋台湾ラーメン味世』は、福島県・郡山からの東京進出店。

元祖名古屋台湾ラーメン味世

愛知県・名古屋の『味仙』で修業し、同地のご当地麺である台湾ラーメンづくりのノウハウを会得。『味仙』から受け継いだ味を福島の地で提供していたが、本年1月、満を持して都内への進出を果たした。まさに、異色の経歴の持ち主だ。

看板メニューは「台湾ラーメン」。啜った瞬間から燎原の火のごとく拡がるスープの辛みは、紛れもなく本場仕込み。

メニュー名/台湾ラーメン
メニュー名/台湾ラーメン

小ぶりな丼で提供され麺量が極めて少ない本場の「台湾ラーメン」とは異なり、並盛でも心ゆくまで麺とスープが堪能できる。「ボリュームなくして客なし」という東北のカルチャーが、長所として活きている形だ。このボリュームであれば、食事として十分成立するだろう。

『神田味仙』では提供されていない、激辛仕様の「イタリアン」が定番メニューとして用意されている点も、辛党にはうれしい限りだ。

■元祖名古屋台湾ラーメン味世
[TEL]03-6913-3795
[住所]東京都練馬区石神井7-1-3 TビルB1F
[営業時間]火曜~土曜:11:30~14:30、17:30~23:00
日曜:11:30~14:30、17:00~20:00 
[定休日]月曜

【東京・目黒】目黒の新鋭!『Only One Noodle壱富士』の店主は、名門『凪』出身

先日の山手線沿線特集(前編後編)で紹介させていただいた『麺や維新』など、実力店がしのぎを削る目黒。そんな目黒の地に、1月23日にオープンしたのがこちらの『Only One Noodle壱富士』だ。

Only One Noodle壱富士

店舗の場所は、目黒駅から至近距離にある雑居ビルの地下1階。目立たない立地だが、アクセスは抜群。一度認知されてしまえば、大勢の客が詰め掛けるだろう。

提供するラーメンは「壱富士ラーメン」及びそのバリエーションのみ。潔いラインナップに好感が持てる。

メニュー名/壱富士ラーメン(鶏油ソース)
メニュー名/壱富士ラーメン(鶏油ソース)

店主は、都内を代表する実力店『凪』の御出身。スープは、愛知県産奥三河鶏の胴ガラ・首ガラ・モミジ・胸挽き肉等を用いた、まさに「鶏づくし」。正統派鶏清湯のテイストを色濃く醸し出すが、スープに掛ける「香味ソース」を3種類の中から選択できたり、新潟産の「餅」がデフォルトで投入されるなどのアイデアは、修業元譲り。

とりわけ「餅」は、『凪』の幅広麺である「いったんも麺」から着想を得た、脱帽もののギミックだ。

■Only One Noodle壱富士
[TEL]03-6303-9465
[住所]東京都品川区上大崎2-27-1サンフェリスタ目黒B1F
[営業時間]11:00~15:00、18:00~22:00
[定休日]日曜・年末年始

※この記事は2017年2月20日時点での情報です  

田中 一明(たなか かずあき)  田中 一明(たなか かずあき)

通称「ラーメン官僚」。ラーメン食べ歩き歴20年以上、実食杯数は11,000杯以上に及ぶ。直近の数年間は、毎年700杯~800杯のラーメンをコンスタントに実食。2016年現在、日本でラーメンシーンの「今」を最もよく知る人物。

Topics

tag

この記事に関連するエリア

この記事に関連するキーワード