2015.01.26
顔かたちは自信がないけど、肌のつやはちょっと自慢のワタクシ。温泉をもっと知りたいと思ったのも、自慢の肌に磨きをかけたいってところもあるんだよな。年をとるほどに小綺麗なおじさんになりたいもんね。そこで今回は美人・美肌の湯について調べてみた。
日本には「日本三大美人の湯」と言う温泉があるそうな。それはこちら。
群馬県東吾妻町 川中温泉
和歌山県田辺市 龍神温泉
島根県出雲市 湯の川温泉
誰が決めたのか?大正時代に鉄道省が発行した「温泉案内」に「色を白くする温泉」としてこの3温泉が出ている。それが元になっていると推測されている。でも、そもそも温泉に肌を白くする効果があるのだろうか?こちらは実験が行われており、硫黄にはメラニン抑制効果があるかもしれないと考えられているらしい。
じゃあ三大美人の湯に硫黄は含まれているのか?泉質を調べてみると
川中温泉 カルシウムー硫酸塩泉 アルカリ性 総硫黄0,97グラム
龍神温泉 ナトリウムー炭酸水素塩泉 弱アルカリ性 総硫黄0グラム
湯の川温泉 ナトリウム・カルシウムー硫酸塩・塩化物泉 弱アルカリ性 総硫黄0,29グラム *以前はアルカリ性単純温泉
あれれっ?どの温泉も硫黄は少ないなぁ。ってことは「美人の湯」の決め手は、硫黄ばかりじゃないってことだな。共通しているのはいずれも「(弱)アルカリ性」。湯に溶けている成分は1グラム台。そんなに濃くなくて入りやすい湯ばかり。

3温泉に共通するアルカリ性の湯とは、入ると肌がツルツルしたり、ヌメヌメしたりすることが多く、自分の肌で、湯の効果を実感しやすい。ナトリウム―炭酸水素塩泉(重曹泉)も同じ。これは、温泉成分が、皮膚表面の皮脂を柔らかくしたり溶かしたりする石鹸のような働きをするから。つまり「(弱)アルカリ性」の温泉に浸かるだけで汚れが落ちる「ニンゲン洗濯機」のような役割をしてくれる。この手の温泉に浸かるときは、ごしごし石鹸で体を洗うと、皮膚の脂が落ちすぎて肌がカサカサになってしまったりもする。気を付けなくては。
ほかにもカルシウムは角質層の形成に、マグネシウムは肌のバリア機能に、メタケイ酸は肌の保湿に、硫酸塩泉はシワ防止作用があるとも言われているのだとか。さらには鉄分だって血色を改善するし、二酸化炭素も血流改善で肌色が良くなるワケだし…。
一方で、美白に関係ありそうな硫黄のお湯に入ると、肌にかゆみがでるという声も聞く。そう考えると、「これが美人湯」で「こっちは美人湯ではない」って言えるのかな…?美人・美肌への道は、自分の肌に合ったお湯を見つけることなのかなあ…。あれれっ!温泉のこと、だいぶん解ってきたような気がするぞ。
今回のまとめ
美人・美肌の湯は、一般的にはアルカリ性の温泉やナトリウムー炭酸水素塩泉(重曹泉)、硫黄泉を言う。けれども肌質によっては、かゆみが出たり、カサカサになったりすることも。自分の肌状態に合う泉質や入り方を見つけることが美肌へのコツになりそう。
参考資料/『温泉 とっておきの話』飯島裕一・徳永昭行編著(海鳴社) 『温泉と健康』阿岸祐幸著(岩波新書) 『温泉♨法則』石川理夫著(集英社新書)
温泉おじさん 本名:温泉湯太郎
華の60代。第2の人生を輝かせるべく温泉道にまい進中。 「湯太郎さぁん、一緒に温泉行きましょうよ」なんて、妙齢なご婦人方からのお誘いに応えられるよう必死に温泉について勉強中。熟年の星めざして湯あたりしない程度にがんばっぺー。