日本全国にある祭り。その数は、何十万とあるといわれ、祭りには、四季の移り変わりに寄り添って暮らす日本人の季節感が凝縮されています。
今回は、じゃらん編集部が厳選した憧れの祭りを旅の計画アドバイスと共にご紹介します。
いつか目のあたりにしてみたいと想いを募らせてきたあの祭りへ、今年こそ出かけてみませんか?
記事配信:じゃらんニュース
2018年3月2日(金)お水送り【福井県小浜市】
3月は若狭と奈良を結ぶ神事。聖なる水を護る松明行列に加わる。
春を告げる行事として知られる奈良東大寺の「お水取り」。それに先駆け、3月2日に小浜市神宮寺で行われるのが「お水送り」だ。遡ること約1200年前、全国の神々が招かれた東大寺の修二会に、若狭の神様である遠敷明神も参加した。行法に感激した遠敷明神が本尊に供えるお香水を送る約束をしたところ、東大寺二月堂の下から水が湧き出したという。この伝説により「お水送り」のお香水は東大寺に届くとされている。
神宮寺では午前中から神事が始まり、佳境に入るのは日没後。境内で汲まれたお香水は約3000人の松明行列と共に2kmほど離れた鵜の瀬へ。いよいよ遠敷川に送り出されるクライマックスには、遠敷明神の約束が粛々と守られ続けてきた、千年の歳月に思いを馳せたい。
◆まつりトリビア:手松明を購入して、荘厳なる松明行列の一員に。
松明行列には、手松明(有料)を購入すれば誰でも参加することができる。ホラ貝の音が響く中、赤々と燃える松明を掲げて残雪の道を歩く厳かな時間を、ぜひ一度体験してみては。手松明の予約は1月中旬から、神宮寺へ電話で申し込みを。当日販売もある。また、松明を持っていなくても、行列の後ろについて歩くことは可能だ。
◆旅の計画アドバイス
小浜駅周辺のホテルは、「お水送り」の約1カ月前には予約がいっぱいに。小浜駅から少し離れれば、若狭ふぐをはじめ新鮮な魚介が堪能できる民宿が数多くあり、宿泊先への心配はほぼ無用だ。当日は周辺道路で交通規制が実施されるため、車移動なら臨時駐車場に18時前までには到着を。
開催場所:小浜市(神宮寺)
開催時間:11時~21時(見学できるのは13時の弓打ち神事以降)
アクセス:電車:JR小浜駅よりシャトルバス(有料)で10分 車:舞鶴若狭道小浜ICより5分、竜前臨時駐車場に駐車してシャトルバス(有料)で5分
桟敷席:なし
ゲストの参加:あり(手松明の行列に参加可。事前申し込み有)
問い合わせ:TEL/0770-56-1911(神宮寺)、0770-64-6021(小浜市商工観光課)
「お水送り」の詳細はこちら
2018年4月14日(土)・15日(日)春の高山祭(山王祭)【岐阜県高山市】
4月は「飛騨の匠」の傑作と満開桜の共演を讃える。
大和朝廷の時代には、税の代わりに匠を都へ送り出していた飛騨の国。奈良の宮殿や寺の建築で腕を振るったその名工たちを、総じて「飛騨の匠」と呼ぶ。匠の技は後世へ脈々と受け継がれ、江戸時代後期に絢爛豪華な祭り屋台を生み出した。その曳き揃えを拝めるのが、年に2回開催される「高山祭」だ。
高山祭とは、春の「山王祭」と秋の「八幡祭」の総称。「山王祭」は旧高山城下町南半分の氏神様である日枝神社の例祭で、360年余りの歴史を持つ。桜に彩られた中橋や古い町並を、12台のきらびやかな屋台が練り歩く眺めは圧巻。そのうち3台で披露されるからくり奉納では、人形の精妙な演技に目を奪われる。さらには提灯が揺らめく夜祭まで、伝統の屋台の魅力を存分に堪能したい。
◆まつりトリビア:巨大な屋台蔵からの引き出しシーンも必見。
屋台は、各町内にある巨大な屋台蔵にそのままの形で保管されている。その姿が見られるのは、祭り当日だけ。朝の引き出しを狙って訪れたい。
◆旅の計画アドバイス
高山駅周辺の宿には1年前から予約が入り、満室になるのも早い。2018年は当てはまらないが、祭りが平日にあたる場合は1カ月前でも予約が間に合うことも。空きがない場合は、車で約1時間の下呂温泉や奥飛騨温泉郷の宿も選択肢に。
開催場所:高山市(日枝神社、高山陣屋周辺)
開催時間:9時30分~16時頃(14日の夜祭は18時30分~21時頃)
アクセス:電車:JR高山駅より徒歩15分 車:東海北陸道飛騨清見ICより25分
桟敷席:なし
ゲストの参加:なし
問い合わせ:TEL/0577-32-3333(高山市役所観光課)
「春の高山祭」の詳細はこちら
2018年5月3日(木)つがわ狐の嫁入り行列【新潟県阿賀町】
5月は狐化粧を施して花嫁を祝福。夢現の一夜を過ごす。
阿賀町津川のシンボル、麒麟山にはその昔、多くの狐が生息した。狐火が見られることもしばしばで、それが嫁入り行列の提灯明かりにたとえられるように。「狐の嫁入り行列が見えた年は豊作になる」と、縁起のよいものとして伝承されてきた。
1990年に始まった「つがわ狐の嫁入り行列」は、江戸時代の嫁入り風俗をそのまま再現。西の空に日が沈む頃、狐に扮した花嫁が、108人のお供を連れて街道を練り歩く。町中が消灯する中、松明や提灯の明かりが列を成す光景は夢幻の趣だ。麒麟山公園で結婚式が行われ、フィナーレは花嫁と花婿が舟に乗って、常浪川を隔てた麒麟山へ。山には狐の声がこだまし、川面には篝火がゆらゆら。まるで狐に化かされているような、幻想的なひと時に浸れる。
◆まつりトリビア:参列者との一体感に浸れる狐の体験メイクに挑戦を。
当日は警備スタッフも地元住民もみんなが狐メイクに。観光客も麒麟山公園イベント広場の特設コーナーにて、狐のメイクが体験できる(600円/予定)。祭りの一体感を楽しむべく、挑戦してみては。
◆旅の計画アドバイス
麒麟山温泉をはじめとする阿賀町内の宿は、早い時期に満室になる傾向。車の旅なら、高速道路を利用すれば1時間ほどで辿り着ける、新潟市や福島県会津若松市の宿も視野に入れたい。電車の場合は、終電が21時台と早めなので要注意。
開催場所:阿賀町(住吉神社~麒麟山公園)
開催時間:17時~20時30分
アクセス:電車:JR津川駅より徒歩20分 車:磐越道津川ICより5分
桟敷席:なし
ゲストの参加:なし
問い合わせ:TEL/0254-92-4766(阿賀町役場農林商工課)
「つがわ狐の嫁入り行列」の詳細はこちら
2018年6月7日(木)~17日(日)山王祭【東京都千代田区】
6月は2年に一度の本祭で都心によみがえる王朝絵巻を愉しむ。
江戸三大祭りの筆頭とされる「山王祭」は、500年以上の歴史を誇る日枝神社の祭礼。江戸時代には、山車や神輿の行列が江戸城内に入ることを許され、徳川家光以降の歴代将軍が上覧した「天下祭り」として、全国に知れ渡るように。
隔年で本祭と陰祭を行っており、祭り最大の盛儀である「神幸祭」は本祭に限って執り行われる。その舞台は、皇居や丸の内、銀座、日本橋など、ビルが立ち並ぶ東京の都心。金銅の鳳凰を飾りつけた神輿や宮神輿、山車と、王朝装束をまとった神職や氏子など約500人が、華麗な祭礼行列を繰り広げる。日枝神社境内では、多くの祭典と神楽、お茶席などの行事も。
2018年は本祭の年にあたる。時空を超えた江戸の熱気を、肌で感じてみてはいかが。
◆まつりトリビア:夜には境内で盆踊りも。浴衣で参加してみては。
6月13日~15日の各日18時30分から開催される「納涼大会」は、「都内で一番早い盆踊り」とも言われる。八木節、東京音頭など初心者も踊りやすい楽曲が展開され、誰でも自由に踊りの輪に参加可能だ。
◆旅の計画アドバイス
都内は宿の数が多く、「山王祭」の開催期間も長いため、宿泊先に困ることは少ない。ただし「神幸祭」を見るなら、早めに宿予約を。日枝神社まで徒歩圏内なのは赤坂や虎ノ門、六本木エリア。電車20分以内の新宿駅や東京駅の宿も狙い目だ。
開催場所:千代田区(日枝神社)
開催時間:各イベントにより異なる
アクセス:電車:東京メトロ赤坂駅より徒歩3分 車:首都高霞が関出口より5分
桟敷席:なし
ゲストの参加:なし
問い合わせ:TEL/03-3581-2471(日枝神社)
「山王祭」の詳細はこちら
2018年7月1日(日)~31日(火)祇園祭【京都府京都市】
7月はまるで動く美術館。華麗なる山鉾巡行と祇園囃子に酔う。
毎年7月、1カ月間にわたって各種の神事やイベントが繰り広げられる「祇園祭」は、八坂神社の祭礼。古くは祇園御霊会と呼ばれ、869(貞観11)年に日本各地で疫病が流行した時、祇園の神様を祀り、66本の矛を立てて、疫病退散を祈願したのが起源とされる。
祭りの最大の見どころは、17日の前祭と24日の後祭に行われる山鉾巡行だ。「京都祇園祭の山鉾行事」はユネスコ無形文化遺産に指定されており、アンティークの絨毯やタペストリーなどの装飾を纏った山鉾は、「動く美術館」と称されるほどの豪華さ。祇園囃子を響かせてゆっくりと都大路を進む一基一基の美しさに魅せられるもよし、迫力の辻回しを観賞するもよし。山鉾巡行に先立って行われる宵山で、提灯明かりと夜祭の風情を満喫するのも欠かせない。
◆まつりトリビア:宵山期間中に限り、搭乗拝観できる山鉾も。
前祭と後祭の宵山では山鉾搭乗拝観が行われ、一般の人も山鉾の搭乗が可能に。大半が拝観券やちまきを購入すればその場で搭乗できるが、中には曳き初めの参加者だけに拝観券が配られることも。期間や条件は様々で、女人禁制の山鉾もある。
◆旅の計画アドバイス
山鉾巡行や神幸祭、還幸祭など人気行事にあたる日は、1年前から市内の宿に予約が殺到。春前には手配を済ませたい。ただし7月が近付くとキャンセルが出る場合も。京都市内が満室なら、電車で10分の大津や電車で30分の大阪周辺の宿へ。
開催場所:京都市(八坂神社、京都市内各所)
開催時間:各イベントにより異なる
アクセス:電車:京阪本線祇園四条駅より徒歩5分 車:名神京都東ICより20分
観覧席:あり。山鉾巡行の有料観覧席1席3180円(全席指定・パンフレット付き)※2017年情報。2018年の詳細は京都市観光協会へ要問い合わせ
ゲストの参加:あり(山鉾曳き初めに参加可。事前申し込み不要)
問い合わせ:TEL/075-561-6155(八坂神社)、075-213-1717(京都市観光協会)※京都観光の問い合わせ
「祇園祭」の詳細はこちら
じゃらん編集部
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