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2023.04.06

諏訪大社の見どころを紹介!ご利益やアクセス、四社のめぐり方も<長野>

長野県の諏訪湖エリアにある「諏訪大社(すわたいしゃ)」。歴史の古い神社ですが、こちらには諏訪湖をはさんで4カ所の境内地があることをご存知でしょうか。今回は4つのお宮それぞれの見どころをご紹介。参拝するなら、ご利益をたっぷり授かれるよう、すべてをめぐる「四社まいり」をおすすめします!

※この記事は2023年3月23日時点での情報です。

記事配信:じゃらんニュース

諏訪大社とは

二社四宮から成る全国諏訪神社の総本社

「諏訪大社」は、信濃国(現在の長野県周辺)の中でも社格が高いとされる「信濃國一之宮(しなののくにいちのみや)」であり、長野県の中央部・諏訪湖周辺に4つのお宮を持っています。諏訪湖をはさんで、南に「上社(かみしゃ)」、北に「下社(しもしゃ)」が建ち、さらに「上社」は「本宮(ほんみや)」「前宮(まえみや)」、「下社」には「春宮(はるみや)」「秋宮(あきみや)」と、二社四宮(※)を構えています。
※二社四宮を、この記事では四社と表記しています。

(画像提供:諏訪地方観光連盟)
下社秋宮 神楽殿(画像提供:諏訪地方観光連盟)

「諏訪大社」は「古事記」にも登場する古社で、全国各地にある諏訪神社の総本社として崇敬されています。元々別々の2つの神社、「上諏訪神社」と「下諏訪神社」でしたが、明治時代の国策により一つの神社となりました。その名残が「上社」と「下社」に分かれている由来です。一説には諏訪湖の南北、または京の都に対して上方か下方かということで「上社」「下社」になったともいわれています。

ご祭神は、建御名方神(たけみなかたのかみ)と、妃神である八坂刀売神(やさかとめのかみ)、「下社」ではさらに兄神の八重事代主神(やえことしろぬしかみ)もお祀りしています。“お諏訪様”や“諏訪明神”として親しまれ、古くは風・水の守護神で五穀豊穣を祈る神、また多くの名将から軍神として広く信仰されてきました。現在は生命の根源・生活を守る神として崇敬されており、縁結びや家内安全、商売繁盛、厄除け、心願成就などの祈願が多く行われています。

自然を崇拝する古い神社の形が残る

「上社本宮」は神体山を神奈備(かんなび/神霊が宿る場所のこと)とし、「下社春宮」は御神木の“杉”、「下社秋宮」は御神木の“イチイ”を御神体としています。山や木などの自然そのものを御神体とする、自然崇拝の古い神社の形を今にとどめており、そのため、「諏訪大社」の社殿は、拝殿の後ろに本殿を持たない「諏訪造り」と呼ばれる独特の建築様式が特徴です(上社前宮のみ本殿があります)。

上社本宮一之御柱
上社本宮一之御柱
(画像提供:諏訪地方観光連盟)
御柱祭(画像提供:諏訪地方観光連盟)

また、四社には、それぞれの社殿の四隅に4本の「御柱(おんばしら)」が建っています。「御柱」とは、7年に一度、寅(とら)と申(さる)の年に行われる祭事「式年造営御柱大祭(しきねんぞうえいみはしらたいさい)」、通称“御柱祭(おんばしらさい)”で建てられるモミの巨木。山中から人力のみで神社まで運ばれ、建て替えられます。社殿正面向かって右手前より時計回りに、一之御柱、二之御柱、三之御柱、四之御柱の4本が配され、境内で拝んだり、触れられるものもあります。

「上社」と「下社」のロマンチックな伝説

(画像提供:諏訪地方観光連盟)
諏訪湖 御神渡り(画像提供:諏訪地方観光連盟)

「上社」と「下社」の間にある「諏訪湖」には、御祭神である夫婦神にまつわる伝説があります。冬、気温が下がって「諏訪湖」が全面結氷し、マイナス10度以下の寒気が数日続くと氷の厚さは10cm以上になります。さらに昼夜の温度差で氷の膨張・収縮がくり返されると、湖の南岸から北岸にかけて轟音とともに氷が割れて、湖面に高さ30cm~60cmくらいの巨大な氷の山脈ができることもあります。この自然現象を“御神渡り(おみわたり)”といいます。

その壮大さから“神様がお渡りになった跡”だと言い伝えられ、「上社」の主祭神である男神様(建御名方神)が、「下社」の主祭神の女神様(八坂刀売神)のところに通ったという伝説として残っています。政治(まつりごと)が占いによって行われた時代には、この御神渡りの方向や形によってその年の吉凶が占われたほど、重要なものだったそうです。

「四社まいり」のめぐり方は自由

四社すべてに参拝する「四社まいり」には、決められた順番はありません。4つのお宮がすべて同じ格式なので、どこからめぐってもいいのですが、効率の良さを考えると、「上社前宮」と「上社本宮」、「下社春宮」と「下社秋宮」はセットで回るのがおすすめ。ちなみに、「春宮」と「秋宮」は同じ図面を元に建てられており、江戸時代当時の二大建築流派だった大隅(おおすみ)流と立川(たてかわ)流が競い合ったといわれています。構造はそっくりですが、それぞれに特徴があるので、この後に紹介する四社の見どころでチェックしてみてください。

また、今回は「下社春宮」「下社秋宮」「上社本宮」「上社前宮」の順にまわるルートで紹介します。車の場合は、長野道岡谷ICから「下社春宮」までは約10分、そこから「下社秋宮」まで約5分。「下社秋宮」から「上社本宮」への移動は車で約25分~30分、その先の「上社前宮」へは車で約5分です。

電車の場合だと、「下社」はJR下諏訪駅、「上社」はJR茅野駅を拠点にタクシーなどを利用するのがおすすめ。また、「下社春宮」と「下社秋宮」間は徒歩で約20分、「上社本宮」と「上社前宮」間は徒歩で約25分です。

下社春宮

国の重要文化財「幣拝殿(へいはいでん)」

「下社春宮」があるのは、JR下諏訪駅から北西へ約1kmの旧中仙道沿い。神霊が一年の前半の春季に鎮座するから「春宮」と称し、後半の秋に鎮座する場所を「秋宮」と名づけたと伝わっています。

(画像提供:諏訪地方観光連盟)
下社春宮 幣拝殿(画像提供:諏訪地方観光連盟)

「春宮」では「宝殿」の奥にある杉の古木を御神木として祀っています。「宝殿」の手前にある「幣拝殿(へいはいでん)」「左右片拝殿(さゆうかたはいでん)」は国の重要文化財。こちらは祭祀・拝礼を行うための建物で、中央の二重楼門づくりの建物が「幣拝殿」、その左右にあるのが「左右片拝殿」です。「幣拝殿」は正面側の屋根が迫り出す堂々とした佇まい。江戸時代の大隅流宮大工の手により、獅子や龍、竹、鶏など見事な彫刻が施されています。

また、もう1つの注目は「筒粥殿(つつがゆでん)」。こちらは、毎年1月14日の夜から15日の朝にかけて、作物の豊凶を占う「筒粥神事」で知られています。この建物があるのは四社の中でも「春宮」だけ。神事では神職がいろりを囲み、一晩中、釜に葦の筒と米、小豆を一緒に煮て、作物の吉凶を占います。

忘れてはならない「御柱(おんばしら)」は、「春宮」では4本のうち2本を間近で見ることができます。一之御柱(いちのおんばしら)は長さ約17m、重さ10t超えの巨木で、見ごたえがあります。

諏訪大社で一番古いといわれる建造物「下馬橋」

下馬橋
下馬橋(げばばし)

「春宮」に向かう参道(一般道路)の真ん中にある「下馬橋(げばばし)」は、四社の中では一番古いといわれる建物で、室町時代の造りと伝わっています。この橋は、毎年2月と8月の年に2回、「春宮」と「秋宮」を神様が行き来する神事「遷座祭(せんざさい)」の時だけに使われる神様の通り道。当日は御霊代(みたましろ)をのせた神輿(みこし)がこの場所を通って社殿へと進んでいきます。普段は横を車が走っているという不思議なスポットです。

高さ2m以上もある「万治(まんじ)の石仏」

(画像提供:諏訪地方観光連盟)
万治の石仏(画像提供:諏訪地方観光連盟)

「下社春宮」に来たら、ぜひ足を伸ばしてほしいのが「万治の石仏」。「春宮」の境内から朱塗りの浮島橋をわたり、歩くこと約5分。田んぼの中に鎮座する阿弥陀如来の石仏です。

江戸時代、「諏訪大社」に奉納する石に、石工がノミを打ち入れたら血が流れ出たことに驚いて、阿弥陀様として祀ったと伝わります。画家の岡本太郎氏が生前に「こんな面白いものは見たことがない」と絶賛したそう。高さ約2m60cm、横幅約3m80cmという大きな姿と、なんともいえない表情が魅力。願い事を心で唱えながら時計周りに石仏を3周すると願いが叶うといわれています。

下社秋宮

巨大な注連縄(しめなわ)が飾られる「神楽殿(かぐらでん)」

下社秋宮の手水舎「御神湯」
下社秋宮の手水舎「御神湯」

「下社秋宮」へは「下社春宮」から車で約5分、徒歩20分ほどで行けます。旧中山道と甲州道中(現在の甲州街道)の分岐点という交通の要所、中山道で唯一温泉が湧くという下諏訪宿中心地のほど近くに鎮座します。境内に2つある「手水舎(ちょうずや)」の1つからはなんと温泉が流れ出ています。

(画像提供:諏訪地方観光連盟)
下宮秋宮 神楽殿(画像提供:諏訪地方観光連盟)

「秋宮」の境内に入って目に飛び込むのは、大注連縄(おおしめなわ)のかかる三方切妻造りの「神楽殿(かぐらでん)」。こちらは国の重要文化財に指定されています。正面に飾られる大注連縄は長さ約13mもあり、出雲大社と同じ様式です。

また、「神楽殿」の前にある「狛犬(こまいぬ)」にも注目!高さ約1m70cm、青銅製では日本屈指の大きさを誇る狛犬は迫力があります。

彫刻も素晴らしい「幣拝殿」

(画像提供:諏訪地方観光連盟)
下社秋宮 幣拝殿(画像提供:諏訪地方観光連盟)

「神楽殿」の奥には二重楼門造りの「幣拝殿」と、「左右片拝殿」が並び、こちらも国の重要文化財です。建築は立川流宮大工によるもので、「幣拝殿」で見られる羽目の竹に彫られた鶴の彫刻は江戸時代の名匠、立川和四郎富棟の代表作といわれています。

「幣拝殿」の横の一之御柱、二之御柱は間近で見ることができ、三之御柱、四之御柱は遠くに眺められます。

上社本宮

現存する数多くの「諏訪造り」

(画像提供:諏訪地方観光連盟)
上社本宮 幣拝殿(画像提供:諏訪地方観光連盟)

JR上諏訪駅から東南へ約6km、「下社秋宮」からは車で約25分~30分。守屋山麓の原生林に抱かれるように鎮座する「上社本宮」。社殿の四隅に建つ4本の御柱のうち2本は林の中に立っていて見つけにくいので、よく探してみてください。

「上社本宮」の現在の建物は江戸時代に再建されており、本殿を持たない「諏訪造り」の建造物が数多く残っています。中には徳川家康が寄進したといわれる「四脚門(よつあしもん)」など、国の重要文化財に指定されている貴重なものもあります。

境内のほぼ真ん中、「四脚門」をはさんで建つ茅葺の二棟は、「東宝殿(ひがしほうでん)」と「西宝殿(にしほうでん)」。「式年造営御柱祭」の際、7年ごとに東西交互に建て替えるこの建築物を、間近で拝むことができます。

2つの「宝殿」の軒からはどんな晴天の日でも最低三粒は水滴が落ちるといわれ、「上社」の七不思議の一つに挙げられており、諏訪大神が“水の守護神”として崇敬される根元です。参道をはさんで宝殿の向かい側に位置する「天流水舎(てんりゅうすいしゃ)」も、水に関係のある建物。晴天でも雫が水受けから入り、宝殿の雫とともに水屋にたまるとされ、雨乞いの神事に使われたと伝わっています。

境内には他にも見どころがたくさん

「神楽殿(かぐらでん)」の中にある太鼓は、直径約1m80cmという大きさで江戸時代につくられました。現在は毎年、元旦のみ打ち鳴らされます。

また、二之御柱のそばには、ハート形の穴が開いた石灯籠があるのでチェックしてみてください!魔除けの意味を持つ猪の目型模様が施されていて、見つけるとちょっと幸せな気分になれそうです。ほか、推定樹齢1000年ともいわれる大ケヤキの木など、様々な見どころがあります。

上社前宮

4つのお宮で唯一の「本殿」

(画像提供:諏訪地方観光連盟)
上社前宮 本殿(画像提供:諏訪地方観光連盟)

「上社本宮」から車で5分ほどの位置にある「上社前宮」。こちらは高台にあり、豊富な水や日照が得られる良き地といわれ、ご祭神の諏訪明神が最初に居を構えられた諏訪信仰発祥の地と伝わっています。四社の中で「本殿」があるのはここだけです。

「前宮」という名前は、「本宮」に対し、それ以前にあった宮の意味とも考えられています。県道沿いの白い鳥居をくぐり、「内御玉殿」「十間廊」などの建物を見ながら、その先を200mほど上ると「本殿」があります。現在の建物は、1932(昭和7)年に伊勢神宮の御用材で造営されたものです。

「本殿」の脇を流れている川は、“水眼(すいが)の清流”と呼ばれ、神殿のみそぎ水として使われていました。約1km上流の山腹から湧き出ていて、水温・水量ともに一年を通してほぼ同じだそうです。

4本すべて拝むことができる御柱

四社の中で、4本すべての御柱をそばで見られるのも「前宮」だけです。ほかのお宮では一之御柱、二之御柱は近くで見られても、三之御柱と四之御柱は、離れてしか眺められません。ここでは、目の前で拝んで触れることもできるので、4本ともめぐればパワーを授かれそうですね。

ちなみに、「上社」の御柱は裏側もチェックしてみてください。切り出したばかりの生の木を使っているので、曳行中に擦れて削れた跡が残っていますよ。

諏訪大社のお守り・御朱印

お守りは、開運から健康・諸願成就、必勝祈願など多数揃います。四社とも基本的には同じお守りや御札を授かれますが、「龍蛇絵馬」は「上社」のみ、「開運鈴守」「薙鎌守」などは「上社」と「下社」でデザインが異なります。

御朱印(500円)は四社でそれぞれ違い、「四社まいり」ですべての御朱印を授かると記念品の進呈があります。

●開運鈴守(赤・青・黄)各500円
開運招福のお守りです。鈴の音は災いを祓い、清浄をもたらすといわれています。「上社」では上社の神紋、「下社」では下社の神紋の入ったお守りを授かれます。

●薙鎌守(なぎがままもり)2000円
諏訪大社の神器「薙鎌」を模した身を守るお守り。ご祭神の父神・大国主神の象徴「福俵」、母神・高志沼河比売神の「翡翠」、諏訪特産の「黒曜石」を組み合わせています。「上社」では金色の根付、「下社」では銀色の根付です。

●龍蛇絵馬(りゅうじゃえま)小500円・大1000円
龍神、蛇神として信仰されるお諏訪様のご神徳をいただく縁起もの。「上社」のみで授かれます。

●肌身袋守(白・赤・紫・黄・水)各500円
健康祈願、諸願成就のお守り。5色から選べます。

御柱祭

(画像提供:諏訪地方観光連盟)
木落し(画像提供:諏訪地方観光連盟)
(画像提供:諏訪地方観光連盟)
下社里曳き建御柱(画像提供:諏訪地方観光連盟)

“御柱祭”(※)は、地域の伝統文化として受け継がれており、諏訪地方6市町村の約20万人もの氏子がこぞって参加。7年に1度、寅と申の年に開催され、次回は2028年です。

こちらは宝殿の造り替えや、社殿の四隅に「御柱」と呼ばれる樹齢200年ほどのモミの巨木を建てる、諏訪大社最大の神事。起源は定かではないものの、1200年以上前から続いていると伝わります。

御柱は、「上社前宮」「上社本宮」「下社春宮」「下社秋宮」の計4つのお宮にそれぞれ4本ずつ。山から巨大なモミの木を切り出し、斜面を滑らせて麓に落とし、それを町中を通り抜けて境内へ運び込み、建て替えます。すべて人力で行われるこの神事は迫力満点です。

※御柱祭/正式名は「式年造営御柱大祭(しきねんぞうえいみはしらたいさい」)

■上社
[TEL]0266-52-1919(上社本宮)
[住所]本宮:長野県諏訪市中洲宮山1、前宮:長野県茅野市宮川2030
[参拝時間]参拝自由、【授与所】本宮:8時30分~17時、前宮:9時~16時30分
[アクセス]【電車】本宮:JR茅野駅よりタクシーで10分またはJR上諏訪駅よりタクシーで15分、前宮:JR茅野駅よりタクシーで7分【車】本宮:中央道諏訪ICより7分、前宮:中央道諏訪ICより8分
[駐車場]本宮:約530台(初詣時有料の駐車場あり)、前宮:約50台
■下社
[TEL]0266-27-8035(下社秋宮)
[住所]春宮:長野県諏訪郡下諏訪町193、秋宮:長野県諏訪郡下諏訪町5828
[参拝時間]参拝自由、【授与所】春宮:8時30分~16時30分、秋宮:8時30分~17時
[アクセス]【電車】春宮:JR下諏訪駅よりタクシーで5分または下諏訪町循環バスで5分、秋宮:JR下諏訪駅よりタクシーで5分または下諏訪町循環バスで5分【車】春宮:長野道岡谷ICより5分、秋宮:長野道岡谷ICより10分
[駐車場]春宮:50台、秋宮:約100台
「諏訪大社」の詳細はこちら

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