日本の世界遺産
法隆寺へ聖徳太子の面影を探しに
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607年に聖徳太子が建立したとされている、法隆寺。太子信仰のもと各時代の粋を集めた建造物の数々が伝えられ、現在では約18万7000m2もの広大な境内に2300点ほどの国宝や重要文化財を有する。最寄りの法隆寺駅まではJR大和路線で奈良から約15分と、アクセスも良好だ。周辺には寺や池、古墳などが点在。太子ゆかりの地を巡ったり、数々の歌人がその紅葉を詠んだ竜田川沿いの県立竜田公園に足を延ばしたりと、いにしえの時を感じる旅を楽しみたい。
どっしりした「南大門」をくぐると、左右に日本最古の金剛力士像が立つ「中門」が出迎えてくれる。中門と廻廊に守られた西院伽藍の内側には、「金堂」と我が国最古の「五重塔」が。金堂では聖徳太子のために造られた釈迦三尊像など国宝の仏像群や、天女や鳳凰が舞う天蓋が見ものだ。平成20年12月末まで修復中で内部は見られないが、釈迦三尊像は上御堂で公開中。西院伽藍西側の「西円堂」や、国宝の数々が展示される東側の「大宝蔵院」とあわせて巡ろう。
聖徳太子の住まいであった斑鳩宮跡に、太子の遺徳をしのんで作られたのが法隆寺東院伽藍だ。その中心をなすのは、八角形の円堂「夢殿」。内部の厨子には聖徳太子の等身と伝わる秘仏・救世観音像が安置され、周囲を乾漆の行信僧都像などが取り囲む。厨子の内部は毎年春と秋の特別開扉の時期にしか見ることができない。10月22日から1ヵ月間の“夢殿本尊秋季特別開扉”の時期を狙い、太子の息づかいまでも感じられそうな神秘的な空間を体験しよう。
聖徳太子が法華経を説いたという岡本宮を寺に改めたもので、法隆寺などとともに太子御建立七ヵ寺の一つに数えられている。境内に池を有するこの寺のメインは、高さ約24mの「三重塔」。創建の706年より幾度かの修復はなされているものの、三重塔としては日本最古・最大級のものとされている。法隆寺五重塔や法輪寺三重塔とともに、斑鳩三塔と称されているのでぜひ訪れてみたい。