日本の世界遺産
折々の伝統行事も魅力の奈良へ
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有名な奈良の大仏など、広大な敷地にスケールの大きな国宝や文化財が揃う東大寺。到着したら、日本最大級の木彫像である2体の仁王像が左右を守る南大門をくぐり、お目当ての大仏を目指そう。大仏殿は世界最大の木造建築物で、中にそびえる大仏も世界最大の金銅像とされている。また、訪れるなら行事の時期を狙うのも◎。3月に2週間にわたって行われるのは「お水取り」。期間中は毎日大きな「おたいまつ」に火がともされ、群衆をわかせる。8月15日に催される「万灯供養会」では参道に約2500基もの灯籠が並び、幻想的な雰囲気に。
近鉄奈良駅から歩いて約5分、愛らしい鹿も集う奈良公園で、教科書でしか知らなかった歴史に触れよう。創建約1300年の興福寺は藤原不比等などにゆかりがあり、平安時代にあの藤原家の威光のもとで立派に整えられた。公園のシンボルである五重塔と三重塔、八角形をした北円堂や、東金堂に鎮座する国宝の仏像は見ごたえ充分!また、5月に催される「薪御能」も一度は観てみたい。1130年の時を超え受け継がれる伝統の舞が、かがり火に浮かぶ様は幽玄の一言だ。お寺の近隣には奈良国立博物館や土産店が並ぶ三条通りもあり、楽しめる。
奈良駅から東へ少し進むと一ノ鳥居が現れ、そこから春日大社本殿まで長い参道が続く。両脇に並ぶ無数の燈籠を眺めながら、次第に濃くなってゆく自然の中を歩もう。途中の春日大社神苑には万葉集に登場する約300種類の植物が植えられ、四季折々に美しい花を咲かせる。参道の先には、鮮やかな朱塗りが緑に映える本殿が。その周辺には野趣あふれる自然や国宝が並ぶ宝物殿など見どころが豊富だ。12月の「春日若宮おん祭」では日本古来の神楽や猿楽などの珍しい芸能や、中世絵巻のような行列が見られる。
蘇我馬子が建立したという日本最古の寺院、飛鳥寺(法興寺)がその前身といわれている。現存する極楽坊本堂と禅室の瓦は、なんと飛鳥時代の建立当初のものだというから驚きだ。こちらでは、柴燈護摩会(さいとうごまえ)という2月の節分行事が有名。炎がくすぶる木の上を裸足で渡る「火渡り行」の観賞や、豆まきを楽しみたい。寺院周辺の奈良町はかつて門前町として栄え、現在は古民家を利用したカフェや雑貨店が点在する。周辺には昔ながらの生活を紹介する資料館がいくつかあり、タイムトリップしたような町散策が楽しめる。