チャムンパスさんの栃木県の旅行記
2019年初秋の栃木県板室温泉・那須湯本温泉一泊一人旅
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2019年9月最後の週末に栃木県那須塩原市の板室温泉と那須町の那須湯本温泉へ一泊二日の一人旅に行ってきました。 訪問した時は暑い夏が終わって過ごしやすくなっていましたが、秋の紅葉シーズンにはまだ早いという時期でした。 こういう時期こそ一人旅で訪問する絶好のチャンスです。 1日目は板室温泉の老舗旅館『大黒屋』さんで『下野の薬湯』と謳われる温泉とお料理を楽しみながらのんびりと過ごし、2日目は那須湯本温泉に足を延ばして硫黄臭のする濁り湯を堪能して来ました。
温泉ツウ チャムンパスさん 男性 / 50代
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- 1日目2019年9月28日(土)
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今回の旅の1日目は観光スポットに立ち寄らずに宿へ直行する行程でした。 最寄りの駅からJR湘南新宿ラインの普通電車自由席グリーン車に乗り、宇都宮駅で普通電車に乗り換えてのんびり旅の移動を楽しみながら黒磯駅にやって来ました。 黒磯駅前の通りのあちこちに昭和の頃を彷彿とさせる古い商店の建物があります。
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黒磯駅に到着したところで正午少し前になっていましたので、駅前のおそば屋さんで昼食を頂くことにしました。 駅前通りにある生そば冨陽さんに来店し、ふたいろそば税込920円を注文しました。 2つのせいろにそれぞれ盛られた二八の田舎そばと甘皮だけを残して挽いた緑がかったそばを、そばつゆと塩の両方で味わえるようになっています。 そば好きには嬉しい食べさせ方です。
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昼食を済ませて駅前に戻り、関東自動車バスに乗って約40分、本日の宿泊先の板室温泉に到着しました。 黒磯駅から板室温泉までのバス運賃は通常片道930円ですが、駅前近くのバス営業所の窓口で5日間有効の往復チケット1,500円を買うと片道750円とお得です。 宿のチェックインの予定時刻にはまだ少し早かったので、温泉街を散策しました。 板室温泉の顔といえる加登屋旅館さんの本館を撮影しました。 大正期に建てられた国指定登録有形文化財の建物だそうですが、現在使用されておらずそこから少し離れたところにある戦後に建てられた鉄筋コンクリート造りの別館で営業されています。
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加登屋旅館本館の前を通り過ぎ、温泉街の中を流れる渓流に架かる橋を渡って細い山道を登り、板室温泉の鎮守様である板室温泉神社の本殿前に到着しました。 まずは温泉の守護神にご挨拶です。 杉木立に囲まれた境内に私1人、鳥の声が聞こえる以外至って静かでした。 『下野の薬湯』として知られ長期療養目的の湯治場として利用されてきた板室温泉では、かつて湯治で身体が良くなった人が神様に感謝の意を表して来る時に使っていた杖をこの神社に納めて帰ったとのことです。 その杖を確認することはできませんでしたが、今でも風習として続いているのかもしれません。
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板室温泉神社の境内から上の原園地へ行く道があります。 入口に『熊や猿などに注意』の看板があり、一人の時は正直怖気付きます。 上の原園地から温泉街を見渡せるそうですが、チェックインの時間が近づいていたので、元来た道を引き返しました。
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今晩お世話になるお宿『板室温泉 大黒屋』さんに到着しました。 創業は室町末期の天文20年(西暦1551年)、470年近く営業されている今までの一人旅で宿泊した旅館の中では最も古く歴史のあるお宿です。 そんな超老舗旅館のコンセプトは『保養とアートの宿』です。 旅館の敷地内、館内・館外の至る所に現代アートが飾られていて、宿泊客はくつろぎながら芸術性の高い作品も鑑賞できる宿として人気があります。
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フロントでチェックインを済ませて若い女性のスタッフさんに客室に案内して頂きました。 今回泊まったお部屋は本館にあたる松の館の2階のウォシュレット付きトイレと洗面所を完備したシングルベットルーム201号室でした。 客室の面積は23uでカーペットの敷かれた部分も10畳分ぐらいの1人泊には贅沢過ぎる広さです。 大黒屋さんはこの部屋を含めて松の館にシングルベットルームが5室あります。 通常この広さのスペースの部屋なら2人以上宿泊できる和室かツインベットルームにするところですが、そうしなかったところに老舗旅館とは思えない大胆さを感じました。
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リノベーションされた室内はお宿のコンセプトにマッチしたアートが飾られ、温かみのある落ち着いた雰囲気です。 南向きの窓から周辺の山々や真下の庭園を眺めることができ、明るく開放的です。
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客室のお茶セットは通常の煎茶とほうじ茶の他に、2回分のインスタントコーヒーパックも置いてあって、コーヒー好きの私には嬉しかったです。 大黒屋さんは飲み物の持ち込みも自由で、左下の冷蔵庫の中はポットに補充する水を詰めた瓶と食事の時に使う醤油だけが入っていました。 客室は全室禁煙で、松の館と別棟の竹の館の2ヶ所に喫煙所があります。
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客室で一息ついたところで、館内や敷地内を散策しました。 松の館1階のフロント近くにある庭園に面したサロンは、客室と同様に木と土を基調にした空間で、所々にさりげなく作品が展示されています。 大黒屋さんはこのスペースを使っていろいろなイベントを開催されるそうです。 日中9時から17時までは宿泊客以外の方も自由に見学することができ、また室内のソファーや椅子席に座って飲み物も注文できます。
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宿泊当日サロンでは新進気鋭の彫刻家矢野洋輔氏の個展「寝ている木 踊っている木」が開催中でした。 9/29までの開催期間だったので最終日の前日に拝見させて頂きました。 大黒屋さんの社長さんは現代美術に造詣の深い方で、特に若手の作家の創作活動を支援されているそうです。
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フロント向かいの図書室は小さなスペースですが、美術書から子供向けの絵本まであります。 ここで読むだけでなく客室でも読めるように貸出できるそうです。
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正面玄関とは反対の裏庭にも斬新なデザインのオブジェがあります。
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サロン正面の庭園『風の耕路』には庭園喫茶『水琴亭』のあずまやがあります。 サロンと同様に宿泊客以外の方にも日中庭園が開放され、水琴亭の利用もできます。 コーヒーや軽食は有料ですが、左手奥の野外の囲炉裏で沸かしている鉄瓶のお湯でお茶を淹れて飲むことは自由です。
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庭園の前は那珂川の上流部に面していて、自然の豊かさを感じました。
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館内探訪は一旦やめてお風呂に入ることにしました。 大黒屋さんは2ヶ所の男女別の浴場があり、こちらは内風呂のみの『檜風呂』です。 写真左側の大きな浴槽は湯温約38℃程のぬるめの湯、右側の小さな浴槽は約40〜41℃程の熱めの湯です。 ぬるめと熱めの浴槽に交互に入ると身体に効果があるそうです。 アルカリ性の単純温泉が身体を優しく包んでくれます。
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檜風呂には黄土浴施設『アタラクシア』が併設されています。 私は利用しませんでしたが、岩盤浴のように専用着を着て入るそうです。 専用着はフロントで借りられます。 夜23時から翌日6時までは利用できません。
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風呂上りに本館と別棟を繋ぐ渡り廊下の壁に飾られている作品を鑑賞しました。
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平日の美術館以上にゆったりとアートを楽しむことができました。
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夕食は18時から客室で頂きました。 お時間になるとスタッフの方がお膳を運んでこられました。 写真左下は先付の卵豆腐、右下は前菜5種盛り、左上は本マグロとカンパチのお造りです。 あと写真を撮り忘れましたが、栃木県大田原市の地酒『天鷹』の梅酒を頂きました。
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煮物の蓮根餅はまだ温かったです。
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強肴の那須牛のしゃぶしゃぶは3枚肉で豪華でした。
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食事の途中でスタッフの方が、焼物の鰆の柚庵焼きを運んでこられました。 お皿の上に夏から秋への季節の移ろいを感じました。
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シメは栃木産コシヒカリに海老真丈のお吸い物と香の物です。 ごはんはお櫃に入っていておかわりできました。
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デザートはわらび餅でこれでおしまいです。 ごちそうさまでした。
- 2日目2019年9月29日(日)
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朝6時半に目覚め、朝風呂に入った後で客室から周辺を撮影しました。 2日目も晴れていてよかったです。
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朝食も夕食と同様に部屋食です。 約束の7時半にスタッフの方がお膳を運んでこられました。 中央半月型のお盆に美味しそうなおかずが並んでいました。
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味噌汁はガスコンロで温めた鍋の汁をお椀によそって頂きました。
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朝食を食べ終えてからもう一度お風呂に入りに行こうと思い、もうひとつの浴場の『太陽風呂』へ行きました。 こちらは既に入浴済だったのですが、このタイミングでようやく貸切状態だったので撮影させて頂きました。 内風呂の浴槽の湯温は約40℃程でした。
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太陽風呂には露天風呂が併設されています。 湯温は38℃程で外の涼しい空気に当たりながら長湯できました。 露天風呂は那珂川に面していますが、お風呂から川は見えませんでした。
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チェックアウトの前に暫し敷地内を散策しました。 裏庭で見かけたこちらの作品は、竹工芸家で人間国宝の勝城蒼鳳氏の手掛けられたものです。
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期限直前の10時半前にチェックアウトを済ませ、バスで黒磯駅に戻ることにしました。 板室温泉バス停の近くに『あったかーい宿 勝風館』さんがあります。 大黒屋さんはゆったりとした贅沢な時間を過ごすことができましたが、結構いいお値段です。 勝風館さんは一人からでも可能な長期宿泊に対応した湯治宿スタイルの旅館でお値段も比較的リーズナブル、朝夕部屋食で頂くお料理も美味しいとの評判です。 次回板室温泉に来る時はこちらで連泊してみようかな、と思いました。
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黒磯駅に到着し今度は関東自動車バスで那須湯本温泉に向かいました。 駅から那須湯本温泉バス停までの所要時間は35分程、運賃は片道810円です。 2日間有効の那須高原フリーパス券大人2,600円がありますが、半日那須湯本温泉界隈をぶらぶらするだけなので買いませんでした。 那須湯本温泉バス停そばの『Licca Nasu hutte』さんにお邪魔して、ロコモコとマンゴージュースのセット税込2,149円を昼食で頂きました。 那須牛のハンバーグはそれなりに美味しいですが、それ以上にお値段の高さが気になりました。
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昼食を済ませてから那須湯本温泉バス停の目の前にある那須温泉神社にお参りすることにしました。 参道入口の大鳥居から少し離れたところに足湯『こんばいろの湯』があります。 中で数名の方たちが足湯を楽しんでいらっしゃいました。
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大鳥居から拝殿までは木立の中の長い参道を歩いて行きます。 石畳と玉砂利の敷き詰められた道が続き、所々に石段もあって厳かな雰囲気です。 参拝に向かわれる方もあまりおられず、喧騒から離れた空間に居る気持ちでした。
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社殿に到着して旅の無事を祈りました。 由緒のある神社で社殿も立派です。
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那須温泉神社の境内は殺生石園地と接しています。 拝殿脇から殺生石へ続く遊歩道があります。 お参りを済ませて殺生石へ行くことにしました。
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殺生石に向かう遊歩道から賽の河原とその上に作られた木の遊歩道を眺めることができました。
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殺生石の前にやって来ました。 平安末期の『金毛九尾の狐』伝説に始まり、江戸中期に俳人松尾芭蕉も訪れた名勝なのですが、周辺は硫黄臭が漂っています。 今も硫化水素をはじめ危険な火山性ガスが噴出しているそうで、立ち入りには注意が必要です。
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神社から殺生石に向かう遊歩道から見えた賽の河原の遊歩道を歩いて行きました。 さきほどの温泉神社と同様に遊歩道を歩く観光客は意外と少なめでした。 一面に大小無数の溶岩片が転がり火山性ガスで草木が一本も生えない殺伐とした光景です。
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賽の河原の一角に南北朝時代に起きたといわれる那須岳周辺の噴火と山崩れに由来する『教伝地獄』があり、亡くなった人達の供養のために大小無数の地蔵尊が立っています。 全てのお地蔵様の頭には有志の方達により、手作りの頭巾が被せられていました。
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殺生石園地の入口の駐車場の近くに共同浴場『鹿の湯』の案内板がありましたので、そちらに行くことにしました。
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温泉の混じった白く濁った水が流れる渓流に沿って歩いていくと、途中に那須湯本温泉の源泉があります。
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観光客に人気のある鹿の湯に到着し、那須湯本温泉の最古の源泉といわれる濁り湯に入りました。 入館料は土日祝日の場合大人500円(平日は400円)で、営業時間は8:00〜最終受付17:30です。 先程の那須温泉神社や殺生石と違い、館内は観光客で大変混雑し大賑わいでした。 男湯は41℃から48℃までの6つの湯温の異なる浴槽があり、お作法に従い更衣室近くの湯槽で頭にひしゃくで温泉をかけるかぶり湯をしてから入りました。 さすがに46℃と48℃の高温の浴槽には入りませでしたが、白濁の硫黄泉を存分に楽しませて頂きました。
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鹿の湯で温泉を楽しんでから周辺の温泉街をぶらぶら散策しました。 鹿の湯周辺は、家族経営の小規模な宿が軒を連ねる民宿街です。 地元の方や民宿の宿泊客だけが利用できる共同浴場もあり、温泉情緒満点です。 この後、最寄りのバス停から関東自動車バスに乗って黒磯駅に戻り、JR宇都宮線で一駅隣の那須塩原駅から東北新幹線で東京方面へ帰りました。
2019年初秋の栃木県板室温泉・那須湯本温泉一泊一人旅
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