左手に蒜山三座を眺めながら休暇村蒜山高原に入ると
道沿いの木陰にそっと建つ石碑に目がとまる。
園地を歩いて散策していればだが、何が彫られているかは立ち止ならないとわからない。
「ほつかてるよしさんを讃える」
そう彫られているのが読み取れる。
この休暇村に異動して間のない私はもちろん存じ上げないお名前である。
恐らくこの地に何らかの携わりがあり、
石碑で讃えられるほどの功績を残された偉大な人物なのだろう。
そう済ましてしまってもよいのだが、
蒜山初心者の自身としてはそういう訳にもいかない。
興味も湧いたので地元で尋ねてみることにしたのである。

「ほつか」でなく「ほっか」と呼び、地元・旧川上村の元村長であることがわかった。
石碑の名前が全て平仮名で書かれているが、フルネームが平仮名であった訳ではなさそうである。
定かかどうかわからないが、恐らく「法華暉良」さんと書くのではということである。
（間違っていれば大変失礼にあたるので記憶の範疇としてお許しいただきたい）
戦後、今は普通にここにある、それを疑問にすら思わなかったご当地・蒜山高原を
観光地としてご尽力なされたという偉人であった。
ロケ地として数々の映画だけでなく、
これまたご当地のイメージにもなっているジャージー牛の誘致活動までなされたとのこと。
西の軽井沢とも呼ばれるようになった現在の蒜山高原を思うと、まっこと驚きの創造と行動力である。
どうしたらその時代にこのような構想を描くことができたのであろうか。
ちょうど今、「真庭市蒜山郷土博物館」（休暇村蒜山高原から車で約15分）で
当時ロケ地で紹介された映画の企画展「映画になった蒜山~フィルムの中のふるさと~」が開催されている
（12月1日まで、入館料一般300円、中学生以下無料、月曜もしくは月曜が祝日の場合はその翌日休館）。
当時の景観や地元の人々をはじめ、俳優さん達との交流など、知られざるエピソードが紹介されているとのこと。
ほっかてるよし元村長が膨らませたであろう、壮大なロマンにも触れることができるかも知れない。

ちなみに、ほっかてるよし元村長は任期を短くしてお亡くなりになられたとのこと。
短い命であったにもかかわらず成し遂げられたその偉大な功績を讃え石碑はつくられたのである。
石碑は今日も芝生の広がる小高い丘から蒜山高原を眺めている。

「ほっかてるよしさんを讃える」石碑

「映画になった蒜山」〜フィルムの中のふるさと〜
真庭市蒜山郷土博物館

「映画になった蒜山」〜フィルムの中のふるさと〜
真庭市蒜山郷土博物館