宿番号:311615
東五郎の湯 高東旅館のお知らせ・ブログ
枝に縋る私
更新 : 2010/12/12 0:35
今月三日の強風で倒れた鳥居脇のモミの大木
奇跡的に電柱と車庫の間に倒れて被害は極わずか
屋根のトタン二枚とアンテナだけの破損で済むという正に神の御加護を絵に描いた様
夕方までに片付けを終えて裏のテラスでコーヒーカップ片手に
暗くなるのが大分早く夏と比べて二時間は損をしていると思いながら空を見上げれば
どんよりと曇った分厚いカーテンに朧な形の三日月模様ひとつ
生まれたばかりの月が姿を見せることが出来ずに悲しんでいるようだ
そしていつの間にか消えた
あとには相変わらずの空
でも思う
あれは月だったのか
空に現れた何かに通ずる三日月形の入り口だったのではないか
片付けた枝から選んだ一本 鉈で弓形に削り
まだ間に合うと焦りつつ力いっぱい空へ投げれば
ぶぅーん ぶぅーんと音立てて舞い上がる枝の跡に
初めてブーメランを飛ばした時の
刈り取った稲株に躓き転びながら追いかけた幼い姿の自分が居た
おーい
届いたか
枝にすがって入り口まで届いたか
向こうに着いたのなら
枝を一本 届けておくれ
そして様子を知らせておくれ
おーい 聞こえているか
君はそこに居るのか.....