宿番号:311615
東五郎の湯 高東旅館のお知らせ・ブログ
感覚のバランスとは...?
更新 : 2016/10/5 15:00
このところ、歩いている
いや、いろんなことを考えながら、歩きまくっている
年の割にはハードな歩き方だと思っているが、自分には肉体的能力の基本となるものがあり、それは高校時代のスポーツ一辺倒の頃の肉体で、クリアできないものはないと思えるほどの持久性と瞬発力に富んだ肉体ではあったが、この年でそれを維持できるわけもなく、また、喫煙のせいもあり、ある部分ボロボロになってしまった肉体と往時のモノを比べること自体無意味と云えば無意味なのだが、先日見たテレビ番組“パタゴニアなんとかかんとか”
心にずしんと来た“神の領域”
自ら選んだ極限状況における自己認識の必然的放棄
理解できる...麻薬に等しいのだろう
あれだけ過酷な環境に自らを投じて、それに同化すべき肉体と精神を最後まで持ちえた者のみが到達できる“神の領域”
今思えば、16の時の初めての100メートル自由形でゴールした瞬間、自分が何をしているのか判らずにいた水の中
審判員に促されプールから上がろうとするが、残った力はゼロに等しく上がり切れず何度もトライするがその度に水に沈んでしまった遠い日の私の若き肉体
あれから随分と年を経た今ではあるが、肉体の衰えはあっても精神の衰えは無いともいえる
だから、ジレンマが生ずるのだ...その、差異に
そんなことを考えながら歩き、喉の渇きに耐えかねて飛び込んだ公共施設
受付に女性が二人
年の行った女性と比較的若い女性
若い女性が椅子から起立して笑顔で出迎えたのだが、年の行った方は無言のままの渋い顔
「あんた..何...」と、顔が言っている
自販機の場所を問うと、丁寧に案内してくれた若い女性
ところが、大きな札しかない
差し出し両替を乞うが、二人とも返事が無い
突然、何も言わずに、差し出した万札を掴んで奥に消えた年上の人
「返事ぐらいしてもいいのにね...用事があるから来たのに、あれは無いよね
ここは感覚の館だから、言葉は要らないのかな」と、若い方に話しかけた
暫くすると年上が来て、私の目の前で千円札をこれ見よがしにピンピン弾いた
感じたことをすぐに言葉にする私が居て、感じたことをすぐに顔に出す無言の人が居て、
だから、感覚のバランスが取れていると云えば云えなくもない.....