宿番号:311615
東五郎の湯 高東旅館のお知らせ・ブログ
静かな世界の、片隅での出来事が日々の生業とは...
更新 : 2020/12/5 1:42
“私の好きな写真は、何も写っていないように見えて、片隅で何か謎が起きているような写真”
そう言っていた、写真家ソールライター
実は、私はこれを病院の待合室で書いているが、
片隅で何かが起きているという点では、
ソールライターの好きな写真と同質な密度を感じてしまう
というのも、私が座っているイスの壁の隣はトイレらしく、トイレットペーパーホルダ―を回す音がカラコロとせわしなく聞こえ、何メートルもの紙が男の手に巻き取られる様子が音を透して見えてくるようだ
なにも無く静かに座り、
カウンター内の受付嬢の指示に応じてイスを立ち、
用向きを済ませてまたイスに座り自分の番を静かに待つ構図は、
必要な言葉だけの飛び交う静かな一枚の写真のようだ
ときたま、隣の女性のコートを畳み返す音以外、何も響かない
誰もが、目立つ行動を起こすことのない静謐さ
しかし、それは私の目に映る風景で、実際一人一人の心の内は希望と不安の鬩ぎ合いで、
想像を絶するものに違いない
誰もがそれを顔に出すことなく、静かに自分の番を待っている
一見静かな待合室
今日、その絵の中に、私は居た.....