宿番号:311615
東五郎の湯 高東旅館のお知らせ・ブログ
泣く
更新 : 2025/1/25 0:56
幼い私が ぽつんと独り 山ん中
年の頃も定かではなく
目を瞑れば 周りを揺らす風の音
今の今まで一緒にいた父や兄が風に溶け
周りの木々を激しく揺さぶり
見たことも無い騒ぐ風
泣いた
一人ぽっちの怖さに泣いた
泣くしかなかったから うんと泣いた
ふと 背負った籠に山の幸をたんと入れて
父と兄が風の中から顔を出す
泣き疲れた私は父にむしゃぶりついて 山が嫌いになった
それから二度と山には行かなかった
でも 少し大きくなった頃
山の向こうの見えない世界に心魅かれた
向こうの夢を心に描いて 大人になった
山のむこうの 空とおく
心はいつも 旅をして.....
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