宿番号:311615
東五郎の湯 高東旅館のお知らせ・ブログ
キャリフォーニアの青い空
更新 : 2025/2/17 13:58
昔っからJBLの音が好きだった
何故、好きになったのか未だ不明だが、とにかく好きだったし、欲しかった
今思えば不思議な気もするのだが、聴いたことが無かったのに、好きだった
当然、金が無かったので買えなかった
でも、いつかは買ってやろうという気になって、雑誌の情報だけはよく読んだ
“アメリカ西海岸のカラッとした青空の音”とか、
“ほどよく締まった低域と、どこまでも伸びる高域”などと言う文句には、何故かそそられた
でも、アメリカの西海岸に行ったこともなかったし、青空の音なんて聴いたこともないのに、
頭の中のイメージと、そそる文句との整合性は、想像の世界で見事に一致していた
そして、日々の食生活を飢えない程度に節約して、念願の秋葉に行った
勿論、ポケットに、間に合うほどのお金を詰めて
店員さんは年上の人で、何故かぶっきらぼうだった
嫌なことがあって、機嫌が悪かったのかもしれない
だから、こっちもそれなりの対応で、買ってやるぞという顔をした
「視聴しますか?」
「...いいから、運んで」
友達から借りた車まで運んでもらい、そのままアパートまでひとっ走り
不機嫌な応対の割には思ったより値引いてもらい、内心ホクホクだった
部屋に運んだJBLは、サンスイのテープに包まれ、箱の中で静かに寝ていた
これから、目を覚ましてやるぞと云いながら、丁寧に箱から取り出す
顔を出した、JBL4301プロフェッショナルモニター
思いのほか重く、慎重に取り出してアンプに接続する
テクニクスSU3500が、今か今かと待ち構えている
カセットを入れる
スティービーワンダーだ
スタートボタンを押して、ボリュームを上げた
おぉっ、これだよ、これ
これが、あの青い空の音なんだよね、と、一人で妙に納得した
そんな青い空の音がこだましていた東京の安アパート、四畳半