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音を耳にしながら、自分の中で追いかけっこ

鬼になったり追いかけられたり一人二役も結構疲れるが、不意に、ストンと心に響いてくる音に出会うことがあり、そんな時は鬼ごっこを止めてしばし耳を澄ます
それは、主旋律と、その周りに遊ぶ音が絶妙に絡みついて織りなすハーモニー
その響きが耳に届いたとき、私は意表を突かれ、思わず聞き入ってしまう

こういうことは、クラシックやジャズのフルバンドを聴いているときによくあるが、ソロピアノの世界にも感じることがある
ジョン．ルイスだ

グループを解散してからの演奏には、静謐の中に潜む神秘性を感じ、一台のピアノ、そのたった一つの音で独特な世界を構築しているという点では、クラシックやフルバンド以上と云っても良いのではないだろうか
バッハに造詣が深く、７年を費やして完成させたという「バッハ．プレリュードとフーガ」
その中の、「フーガ．１６」は、ピアノ、ヴィオラ、ギター、ベースの４つの音が独特な音空間を構成し、なんとも言えない心地よさだ

出だしは、真面目にクラシック
ややあって、ピアノのリズムがちょっとはみ出し始めて、あれっ．．．やっぱりジャズじゃん．．
ＭＪＱではミルトジャクソンの引き立て役だった彼が、本当はこんなことをやりたかったんだよねという感じで、自分の世界を切り開いてゆく

心に響く、ワンフレーズ
それが耳にこびりついてなかなか離れず、後に続くフレーズがこびりついたフレーズの派生であると感じた時、その曲は私の中に根を生やすのかもしれないと、勝手に思い込んでいる
そのようなことは本を読んでいる時にもあり、目に焼き付くセンテンスに出会うことがある
それは、日を追うごとに巨大な疑問符になり、私を脅かし目覚めが悪い
そういう時、私は追いかけっこを止めて立ち止まり、それらと向き合っているのだろうと思う
なんなんだよ．．どうしてそんなに離れないんだ．．なんかあるのかよ．．文句があるなら、訊いてやっても良いぜ．．．

そんな感じで、対峙しているのかもしれない
時間をかけて、決着を見るまで、永遠と云っても良いような対峙を、
いつも、私はしているのだろうと思う．．．．．