宿番号:311615
東五郎の湯 高東旅館のお知らせ・ブログ
キャリフォーニアの青い空
更新 : 2025/3/4 4:23
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音楽は子供の頃から好きだったが、音に魅入られたのはいつの頃だったろう
父のオーディオで、高校時代から「テイク.ファイヴ」やキャノンボール.アダレイの「スコッチ.アンド.ウォーター」を聴いていたので、ジャズに馴染んだのも、早熟系のような気がする
ポップスも好きでよく聞いてはいたが、耳に馴染むとすぐ飽きてしまい、次の流行に追い付くにはお金が足りなかった
早々、レコードなんて買えなかったし..
どうしてキヤノンボールやポール.デズモンドが私の中に入って来たのか、今となっては定かではないが、ポップスよりも大人びて、若干、民族的誇りの香りも漂い、かっこよかったのである
思えば、よく行ったレコード屋さんの店内に貼ってあったブルーノート系のポスターを見て、レノンやミックとは、一線を画していると思ったに違いない
店員の女の子もチョット、日本人離れした子だったし..
そして、なによりも、何度聞いても飽きが来ず、聴けば聴くほど音の中に入り込んでいけるような気がした
次に来るメロディーの予測が出来ずに、主旋律をベースにしたアドリブなんてものも、初めて知った
全てが、川渡には無い世界だった
今では懐かしい“山のあなたの空遠く、幸住むと人の云う
ああ我 人と尋めゆきて 涙さしぐみ帰り来ぬ
山のあなたはなお遠く 幸住むと人の云う”
こんな感じで、外の世界、まだ見ぬ世界への好奇心が芽吹いたころでもあった
また、思えば成長過程の一つとして、自分だけの世界に対する欲求も芽吹いていたようだ
父のばかでかいオーディオセットも良かったのだが、自分だけのものが欲しくなってしまったのである
でも、金が無い
子供の権利行使として、ねだって見たが、あっさりと却下
また、ねだった
それも、ダメ
仕方なく条件交渉に入り、夏休みの間だけ牛の世話をすると云ってみた
父が、やんわりとニヤついたような気がした
心の中で、“イエーッ イエーッ イエーッ”と三回叫んだ
なにがイェーッなのかを判らないが、多分、ビートルズの影響で...
そして、ここだと思い、攻めた
アニマルズの“ブンブンブン”で、攻めまくった
攻めて攻めて攻め切って、努力の結果、首を半分まで振らせたのだ
勝利はこの手にあった
もう、頭の中に欲しいものをしっかりとイメージしながら...
カリフォルニアの青い空へ、一歩を踏み出した瞬間だった.....