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延命館のお知らせ・ブログ
”削られた塚堂古墳”
更新 : 2019/5/8 15:53
原鶴温泉から車にて、筑後川対岸の県道749号線をうきは市吉井町方面へ向かうと5分程で国道210号線バイパス「千年小東」交差点へ着き、その手前の南側に大きく削られた痕跡の残る小高い丘陵が望めます。
それが若宮古墳群の一つ塚堂古墳(つかんどうこふん)です。塚堂古墳は古墳時代中期(1500年以上前)の前方後円墳で、墳丘長90m、高さは前方部7.5mと後円部8m、2重の周濠が巡っています。
この古墳は人物・動物・家形など各種の形象埴輪が出土し、表面は葺石(川原石)の跡が残り、前方部の石室はあらかた完存、首飾りをして貝の腕輪をはめた壮年の男性1体が葬られており、遺体の周囲からは冑・短甲・鉄剣・鉄鉾・鉄鏃などの武具類や多くの副葬品が発掘されました。
また、後円部の石室は昭和28年の筑後川大水害の時に復興のため採土され石棺が露出し大破状態、その東側は墓地となり奇妙な組み合わせです。文化財保護法は昭和25年(1950年)8月末に施行されましたが、未曽有の自然災害に対して背に腹はかえられないという判断でしょうか。
塚堂古墳は2基ある石室も非公開で装飾もないため地味な感じはしますが、九州ではあまり例のない馬具なども出土しており、被葬者は大和政権と密接な関わりを持つ豪族であったことが推測されるそうです。