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湯村温泉 ゆけむりの宿 朝野家のお知らせ・ブログ
湯村温泉・温泉熱バイナリー発電の新聞記事綴り
更新 : 2014/4/15 17:12
兵庫県新温泉町は10日、湯村温泉(同町湯)の温泉熱を活用した温泉バイナリー発電施設を稼働させた。同温泉街にあり、同町が災害時の福祉避難所に指定する温泉施設「薬師湯」に設置。全国的にも珍しい取り組みで、防災拠点としての機能を高める。
温泉バイナリーは、温泉の熱で水より沸点の低い代替フロンガスを沸騰させ、タービン発電機を回すエネルギー技術。同町は2013年、国の補助を受けて整備に着手した。事業費は約8300万円。
約90度の温泉水を利用し、1年間で9万キロワット時発電できる。一般家庭では1日当たり、10キロワット時の電力を消費するとみられ、25世帯分の電力を賄えるという。
災害時には、停電しても、自家発電した電気で温泉をくみ上げて浴場にため、被災者が利用できるという。照明やモバイル機器類の電源の確保にも役立つ。同町の岡本英樹町長は「避難所における電力は被災者の生死にかかわり、住民の安全・安心を守ることができる」と話した。
バイナリー発電は、沸点の低い液体を温泉水の熱で加熱して蒸発させ、発生した蒸気でタービンを回して電気を起こす。蒸気は冷却水で冷やされ、再び液化する。高温多量が特徴の同温泉で実施する利点として、未活用の温泉水の利用▽新たな井戸の掘削が不要▽天候の影響が少ない−などが挙げられる。町によると、小浜温泉(長崎県)と由布院温泉(大分県)で導入されており、近畿地方では初だという。
発電機は、フルオロカーボンと呼ばれる化合物を使用。「荒湯」と「株湯」の両源泉から得た温泉水で温める。装置を通過した湯は入浴用にも使う。2台を設置し、一般家庭25世帯分に当たる年間9万キロワットを発電。薬師湯の消費電力の約35%を賄えるという。
総事業費は約8300万円。災害に強く環境負荷の小さい地域づくりを進める兵庫県の基金を活用した。停電時には蓄電池の電気でバイナリー発電機を起動。照明や通信、医療機器などに電力を供給する。
式典には地元関係者ら約80人が出席。発電開始のスイッチを押した岡本町長は「バイナリー発電は、湯量と高温を誇る湯村の街にふさわしい発電方法。念願が実現した。再生エネルギー利用の国づくりを先導したい」と完成を喜んでいた。