あんまり暑いので、ちょっと涼しくなる話をいたします。

食生態学者で登山家の西丸震哉さんから
直接聞いた話。

あるとき山中で野営をしていると、
テントの布地を素通りして
人魂（ヒトダマ）が入ってきたそうです。

それはどんなものでも通り抜けてしまうのですが、
フワフワと飛んでいるヒトダマを両手で包み込むと
手の外には出られなかったらしい。

それで彼は
「ヒトダマは生物を素通りできない」
という真実を発見し、
「カビのいっぱい生えた容器で閉じ込めれば、
　ヒトダマを捕獲できるのではないか」と考えたそうです。

カビだらけの「飯ごう」とかね。

しかし生憎（あいにく）
その後は一度もヒトダマに遭遇していないので、
試してみる機会も無かったとか。

まあ、有るか無いかのチャンスのために、
わざわざカビの生えた容器を
山行に持ち歩くなんてことを
本気でやる人などいないと思いますが。

しかしもしヒトダマを見かけて
さらに手元にカビの生えた容器があったら、
試してみる価値はあるかもしれません。

ただしその後どうなるかは分かりません。
祟られたとしても、責任は持てません。

わたくしならどうするかですって？
山で一人で泊まっているときに
ヒトダマが飛んできたら、
かなりビビルと思いますねえ。

幽霊とかお化けとか、大嫌いなんですよ。
ホラー映画なんてＣＭを見ただけで夢に見てしまう。

だから一人で山には行かないことにしています。
避難小屋に泊まって「この世ならぬものを見た」話を
山ほど聞いているから。

「山の師匠」には笑われるんですけれどね。
「怖いと思うから怖いのであって、
　あ、幽霊だと平然としていれば、
　相手は何もできないんですよ」と。

でも、未だにわたくし暗闇が怖い。
ヒトダマを手で捕まえるなんて、
絶対にできないだろうと思います。



　　　　　　　　ブログ担当　ミソサザイ