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宿番号:337933

★じゃらん売れた宿大賞1位受賞★ほっとする佇まいで味わう。

西武秩父駅下車西武バス定峰行栃谷下車徒歩5分、orタクシー10分、関越花園IC秩父方面35分。

秩父 旅籠一番 〜酒と料理を愉しむ古民家旅館〜のお知らせ・ブログ

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    落柿の音

    更新 : 2013/2/28 10:44

     まったくの架空の話である。
    史的にも時空的にも虚空のことである。


     武蔵野の北辺の西に秩父藩4万石を本田美濃守
    が治めている。その御城下は西に江戸まで流れる
    荒川、南には雄雄しく座さる武甲の山が絹や材木
    で栄え、表の石高よりも余りある豊かな町を見下ろすように
    あった。


     去年より筆頭家老になった内藤播磨が大手門
    より郎党の西尾善左衛門と鶴吉を連れて帰宅の
    途を辿っていた。
    一昨日降った雪が溶け、播磨の袴の裾を汚していた。
    鶴吉が
    「どうぞ、道の真ん中をお歩き下せえ。」
    「うん。俺が真ん中歩けば、商売で急ぐ商人が
    歩けかんべー。」
    「鶴吉、ご家老は常ずね我々武家は民の暮らし
    を考えーているんだよ。」と善左衛門が後ろ重ね箱を担ぐ鶴吉に
    言った。
    「へー。でもこれで帰ーて、袴を汚したの怒られる
    のこの鶴吉だいね。」播磨の生家、馬回り役三百五十石津田家
    より内藤の家に婿入りする時に一緒にきた。
    播磨の妻であり内藤家の家付き娘のせつにとって
    播磨自身に言えぬ不満をこの鶴吉にぶつけて
    いることは以前から播磨は知っていた。


     大手より東に上り、上町の角に代々筆頭家老家の内藤播磨と
    名のる家の屋敷の長屋門より3人が帰ってきた。
    「お館様のお帰りだでー。」と鶴吉が玄関の外より
    告げると小女が奥に向けて小走りに向かうとと奥から
    姑のつたがしずしずと播磨を迎えに出てきた。
    つたが「おかえりなさいませ。お役ご苦労様です。」と
    自分の袖で包むように、太刀を恭しく太刀を受け取り
    表座敷の刀掛け老いた。私部屋に向かって、播磨の前を
    歩き、着替えを手伝いに歩いた。
    「済みませんが今日もせつは謡の稽古で、森井のいと
    さんと桜木町に行っております。迷惑かけます。」と姑のつたが
    伏し目がちに本来なら着替えの手伝いする娘せつを
    かばうように謝った。
    「ええ、かまいませぬ、母上に手伝っていただき済まない
    と思います。」
    「ところで、父上は離れにおいでですか。」
    「ええ、今ほど前のお蔵奉行の新井さまところより
    戻ってきています。」
    「少し相談したいので、これから参ります。」



     播磨屋敷と呼ばれている敷地内の北の隅に
    離れと呼んでいる前
    の内藤播磨でせつの父の
    今の播磨にとって義父夫婦が暮らしている。
    渡り廊下を進み、杉戸の外から声をかけた
    「父上よろしいでしょうか。」

      

     


     

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