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4月9日、今日は【フォノトグラフで音声を記録(1860)】
更新 : 2011/4/16 1:49
今日は【フォノトグラフにより世界で初めて音声が記録される(1860(安政6)年)】です。
フォノトグラフ(phonautograph)とは、音声を波形図に変換して記録する装置。再生機能を持たないことから、録音とはいえない。
この装置は、1857(安政3)年にフランス人技師のエドアード・レオン・ スコットによって作成されたもので、煤を塗布した紙の上に樽状の箱を設置し、この箱の底が音によって振幅したものを針に伝え、この針で紙を引搔いて音声を記録することができる。後に改良され、回転するドラム状になった紙の上に振幅を残すようにした、地震計のような装置となった。音の性質を図形で記録ことで、研究するためのものだった。
ただしこれによって作られた記録は機械的に読み取らせることはできず、専ら音の振幅具合を波形の強弱によって表すのみで、実際的な意味で記録された音声を再生させることを含む録音ではなかった。
しかし2008(平成20)年3月にフランス科学アカデミーが発表したところでは、この煤の上に残されていた図形を画像としてコンピュータで解析した結果として、1860(安政6)年4月9日に記録された女性の唄うフランス民謡『月の光』(原題:Au Clair de la Lune)の再生に成功したという。フランス科学アカデミーはこれを「人類最古の録音」としている。
この装置は、後にガラス板の煤の上に記録を残すようになった。この改良は、写真フィルムのように一瞬で撮影できるものはない写真乾板を使用していた時代に、音の振幅を写真の形で複製をとることにも向いていたのである。これらは音を波形図として記録することに便利がよく、当時の学術雑誌への発表に用いられた。
電話機の実用化で知られるアレキサンダー・グラハム・ベルは、耳の機能と音の性質を探る上で、フォノトグラフを参考にした、ある奇妙な装置を製作している。彼は死亡した男性の耳と頭蓋骨の提供を受け、1874(明治7)年に鼓膜に取り付けられた記録針の動きをガラス板の煤の上に記録して研究した。彼は乾いた組織をグリセリンで湿らせて実験を続け、この「死んだ男性の耳」に叫んだベルの声は、ガラス板の煤の上に振幅として記録されたという。この実験は、鼓膜を金属の薄板に置き換えることで人工的な鼓膜とし、更にはその振幅を電気的な信号に変換、この電気信号を遠隔地の装置に伝えて再生するという電話の基本理念となった。