今日は【太原雪斎、忌日(1555(弘治元)年)】です。

太原雪斎(たいげんせっさい)とは、戦国時代の武将。臨済宗の僧侶(禅僧)で今川氏の家臣。諱は崇孚。庵原政盛(左衛門尉)の子、母は興津正信の娘。父方の庵原氏は駿河庵原(現・静岡県静岡市)周辺を治める一族。母方の興津氏は横山城を本拠に海運を掌握し海賊(水軍)も率いていた。両家とも今川氏の譜代の重臣。

今川義元の右腕として手腕を発揮し、今川氏の発展に大きく寄与したことから、「もし雪斎が1560(永禄3)年の桶狭間の戦いまで存命していたならば、義元が織田信長に討たれるようなことは決してなかった」「今川氏の衰退は雪斎の死によって始まった」等と評する文献も少なくない。また、徳川家康の学問の師とする説もある。

はじめは九英承菊(きゅうえいしょうぎく)と名乗って、駿河の善得寺、後に京都五山の建仁寺で修行をしていた。この頃から秀才として、将来を嘱望されていたと言われる。この噂を聞いた主君の今川氏親から帰国して今川氏に仕えるよう要請され、氏親の五男・芳菊丸(のちの今川義元)の教育係に任じられた。一説にはこの要請を二度までも断ったと伝えられる。

1530(享禄3)年、建仁寺の師である常庵龍崇によって芳菊丸が得度の儀式を行い、承芳と名を改める。二人はさらなる修行のため善得寺から建仁寺へ、さらに妙心寺へと移った。この頃に承芳は道号「栴岳」を与えられ栴岳承芳と名乗り、承菊はそののちに太原崇孚(雪斎)に改めたとされている。

1535(天文4)年、善得寺の住持であった琴渓承舜(きんけいしょうしゅん)の七回忌法要のため駿河に戻り、再び善得寺に入る。

翌、1536(天文5)年に、氏親の後を継いでいた今川氏輝が死去。栴岳承芳と異母兄の玄広恵探による、今川氏内部の後継者争いが起こる(花倉の乱)。雪斎は寿桂尼とともに栴岳承芳を支持し、彼の家督相続と還俗を実現させた。その功績により、当主となった今川義元は雪斎を厚く信頼し、政治・軍事における最高顧問として重用する。

雪斎は駿府臨済寺の住持として宗教的な影響力を持ちながら、今川氏の執政、軍師とも呼ばれ、政治・軍事・外交に秀でた手腕で義元を補佐した。雪斎は臨済宗を中心とした領内における寺社・宗教の統制や、在来商人を保護する商業政策なども行ない、今川氏の最盛期に大きく貢献した。

1555(弘治元)年、駿河長慶寺にて没。享年60。