ホテル石本のお知らせ・ブログ

待ち望んでいた秋は、広島の街に駆け足で、しかし確かな冷気を伴って訪れています。
今朝の空気は肌を刺すように冷たく、昨日まで続いていた夏の温かい余韻を、一瞬にして断ち切ったようです。
日中の気温が20℃台前半に留まるという予報は、市民の生活にも劇的な変化をもたらし始めました。

特に印象的なのは、街ゆく人々の装い。
数日前まで軽やかな半袖や薄手のシャツが目立っていたのが嘘のように、
今朝の通勤時間帯には、慌てて引っ張り出してきたカーディガンや、
襟を立てたジャケット、あるいは薄手の長袖姿が目につく。
人々が体温を維持しようと、一斉に服装を「秋色」に塗り替えた様は、
季節が急転換した何よりの証拠。
この急激な変化は、流行ではなく、北から流れ込む冷たい空気に抗うための、
生活に根ざした切実な対応なのだ。

この冷え込みは、広島にとって喜ばしい季節の合図でもある。
すなわち、冬の味覚の王様、牡蠣の季節の始まりです。
これから気温は右肩下がりになり、牡蠣が身を引き締め、
より美味しくなる季節へと向かう。
牡蠣漁の準備が始まるという事実は、単なる産業のニュースではなく、
「ようやく本格的な秋が来て、厳しいけれど豊かな冬が始まる」という、この土地固有の季節のバトンタッチを象徴しています。

季節の変わり目は体調を崩しやすいと注意が促されるように、
この急な冷え込みに身体が戸惑うのも無理はない。
朝晩の部屋の温度管理や、外出時の服装選びに慎重になる必要があります。

この急な秋の深まりがあるからこそ、私たちは温かい飲み物のありがたさ、
厚手の服の心地よさ、そしてこれから食卓を彩る海の幸を、より一層深く感じ取ることができるのだ。

広島の街は、急な冷気とともに、これから始まる豊かな季節の準備を着々と進めている。