こぼらさんの京都府の旅行記
京都南部の仏閣巡り(木津川市)
- 1日目2018年2月3日(土)
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山奥にあるリゾートホテルで、立派なゴルフコースやスポーツ施設が併設されています。ホテルが、ゴルフコンペのパーティ等で使うクラブハウスも兼ねているのかと思いきや、クラブハウスは別に立派なものがありました。敷地は広大で、入口からホテル棟まで5km以上あって驚きました。 天然温泉の大浴場・露天風呂もあり、私たちはこれを目当てにここを選んだようなものです。 宇治散策を終えて、翌日は木津川市の名刹巡りをするつもりで宿泊しました。宇治からは国道24号線を南下し、木津川市で国道163号線を東上、笠置からは険しい山道で行きました。距離は大したことはないのですが、国道24号線で夕方の渋滞につかまってしまい、90分余りかかりました。アクセスが大変ですが、広大で立派な施設なので市街地や郊外には作れませんよね。仕方ないです。
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ホテル棟に隣接して、ゴルフコースやクアパレスと呼ばれる温泉大浴場の建物や、屋内外プール・運動用グランド・ロングステイ(合宿)用宿舎なども建っています。ボウリング場もありましたが、今は閉鎖されているようです。 夏場はとても賑わうのだろうと思います。
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奈良県と三重県との境にも近く、少し足を伸ばせば周囲に観光名所がたくさんあります。冬でしたので、ホテル利用客はゴルフコンペツアー団体客がメインとなっていました。
- 2日目2018年2月4日(日)
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真言宗智山派の海住山寺。海住山寺といえば三上山の中腹に鎮座するお寺で、国宝の立派な五重塔があるものの、参拝するには長い山道を歩いて上らなくてはならないというイメージがありました。実際に行ってみると、大変な急坂になっている所もありますが、伽藍の近くまで車で行けるようになっていました。 写真は、昔ながらの総門と参道です。現在、旧参道の大部分は車道に置き換えられ、部分的にしか残っていません。この総門をくぐって歩いて入山する参拝者は、今は少ないと思います。
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海住山寺の本堂です。明治17年に建立されたものだそうです。 この地域にある他の有名なお寺(浄瑠璃寺や岩船寺)も同様ですが、近世まで興福寺(法相宗本山)の末寺でした。明治になって廃仏毀釈で興福寺の支配力が衰えると、海住山寺は真言宗智山派に転じたそうです。現在の本堂は、真言宗智山派の寺として初めてのものだという事です。境内には弘法大師の像が立っていました。 写真の右手前に「岩風呂」と呼ばれる鎌倉時代の遺構があります。昔の僧侶が身を清めた場所だそうです。興福寺の支配下にあった時代の名残ですね。
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建保2年(1214年)に完成したとされる、国宝の五重塔です。海住山寺のシンボル的な建築物です。屋外にある木造五重塔で、国宝・重要文化財に指定されているものの中では、室生寺五重塔に次いで日本で二番目に小さいのだそうです。そうは言っても、伽藍の中で見る限り存在感は抜群です。 この塔の特徴として、一番下の屋根の下に「裳階(もこし)」と呼ばれる庇を設けている事があります。個人的には、この構造は好きではありません。六重塔みたいに見えてしまいますし、5層の屋根のバランスが取れた間隔を台無しにしてしまうからです。 コンパクトな塔だと、宝物を収蔵する初層の天井高まで小さくする事はできないため、腰高なシルエットになってしまいます。腰高で安定感に欠く見栄えにならないよう、裳階を追加したのだと思います。
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鎌倉時代に建立された文殊堂。国の重要文化財です。銅板葺きですから、後の時代に改修されたのでしょう。ここの五重塔の建立を手がけた、貞慶僧都の十三回忌に向けて建てられた経蔵だったと考えられています。 伽藍の雰囲気にとてもマッチしていると思いました。
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海住山寺の山門です。昔は、三上山の麓から総門を経由して山門にたどり着くまで、長くて険しい参道を歩くしかなかったのです。当時の参拝者は、山門をくぐる時には感激したのでしょうね。
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願いを叶える茄子の腰掛け。願いを込めて座り、一心に祈念すれば願いは叶うといいます。茄子=成すだからです。二人で座れば深く縁を結ぶことができるそうです。でも、大人二人が腰掛けるには少し小さいかな。
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真言律宗小田原山浄瑠璃寺。寺号は、三重塔の内陣に安置されている薬師如来の浄土「浄瑠璃世界」からきています。 京都府の最南端にあり、奈良の東大寺まで直線距離で数キロの位置です。 本堂(阿弥陀堂)・三重塔・九体阿弥陀如来像・四天王像が国宝となっています。また、東に薬師如来(三重塔)を、西の本堂に9体の阿弥陀如来を配した庭園は、極楽世界をこの世に表わしたもので、浄瑠璃寺庭園として名高いです。ただ山門は意外にも小振りです。
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最寄りの駐車場(終日300円)から山門までは、狭い参道を歩いていきます。この狭い道沿いに茶店やみやげ物店があったのは驚きでした。
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浄瑠璃寺は、木津川市加茂町の南部にある当尾(とおの)地区にあります。この一帯は奈良の大寺の僧が世俗の喧噪を離れ修養研鑽のため出入りをした地域で「小田原別所」と呼ばれ、仏教文化が花開いたところでした。
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浄瑠璃寺の本堂です。阿弥陀堂とも呼ばれます。寄棟造・瓦葺きで桁行11間の横に長い建築物です。九体の阿弥陀如来像を横一列に安置していますから当然ですね。 この本堂は2代目で、1107年に建立されたそうです。その時代なら檜皮葺きが主流だったはずで、瓦葺きなのを見て意外に感じました。調べてみると、当初は檜皮葺きだったのが、17世紀の改修で瓦葺きに変えられたのだそうです。 特別拝観料400円を納めれば、本堂に入り阿弥陀如来像を仰ぎ見ることができます。阿弥陀如来像の前にあった解説書を読むと、もともとは本堂の中で阿弥陀如来像を間近に拝み見る事を想定していない設計なのだそうです。庭園より遠目に、九体の阿弥陀如来像を拝む想定なのだそうです。確かに、一体一体の阿弥陀如来像が堂前に板扉(全部で9対)を持っています。全ての板扉を開放すれば、庭園から一望できますね。
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真冬でしたので、池が凍り付いていました。極楽浄土の世界を再現した庭園には冬枯れは似つかわしくないと思いました。やはり、桜の春か紅葉の秋に来るべきですね。 伽藍全体が浄土式庭園となっています。本堂と三重塔の間にある大きな池は、興福寺の恵信(えしん)という僧が掘ったものだそうです。小島が浮かんでいて、弁才天を祀る朱塗りの祠があります。
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平安時代末期の国宝です。1178年に京の都より移築されたと伝わります。12世紀後半ともなると、藤原氏はじめ貴族階層の凋落が著しくなっていた時代です。もはや新築する財力もなかったのでしょうか。この塔が、もともとどこの寺院にあったものかの記録もないそうで、当時の混乱ぶりが感じられます。 初代本堂が建立された時のご本尊は薬師如来像のみでしたが、1107年に今の本堂(阿弥陀堂)に改築され、さらに三重塔を移築追加して薬師如来像を安置し、今の伽藍の姿が出来上がったそうです。
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真言律宗高雄山報恩院岩船寺。岩船寺も当尾地区にあり、浄瑠璃寺からは近いです。 岩船寺の創立は、天平元年(729)、聖武天皇が出雲国不老山大社に行幸した際に霊夢があり、大和国鳴川に籠居していた行基に命じて阿弥陀堂を建立したのに始まると伝わります。 その頃の行基と弟子たちは、朝廷によって抑圧されていました。出雲まで出張している間に行基たちが勝手に布教活動を行えないよう、聖武天皇が一計を講じて土木建築の重任を与えたというのが実情でしょう。 その後、鳴川には弘法大師が善根寺(鳴河寺)を建立。弘法大師の甥であり弟子でもあった智泉大徳が、嵯峨天皇の皇子誕生を祈願した事が評価され、善根寺の灌頂堂として報恩院を建立。その報恩院を弘安2年(1279年)に現在地に移し、同8年(1285年)に落慶供養を行ったのが岩船寺であるという。 ちょっとややこしいですが、聖武天皇・嵯峨天皇、さらには行基菩薩・弘法大師・智泉大徳という天平時代から平安時代初期にかけての歴史を飾るスーパースターたちが関わった寺院だということです。
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美しい三重塔が境内の奥に立っています。自身の健やかな誕生を祈願してくれた智泉大徳の遺徳を偲んで、仁明天皇が9世紀前半に建立したそうです。現在の塔は、室町時代の嘉吉2年(1442年)に建立されたものです。中世後期の寺院建築を代表する一つとされ、国の重要文化財です。でも、室町時代の建築の特徴である重厚さ・繊細さ・緻密さが少し足りないような気がします。
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十三重石塔(鎌倉時代)は、妙空僧正が1314年に建立したと伝わります。国の重要文化財に指定されています。昭和18年に、軸石のくぼみの中から水晶でできた五輪舎利塔が見つかるというサプライズがあったそうです。
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東大寺別当であった平智僧都の墓と伝わる五輪塔。事情はわかりませんが、昭和初期に墓所から岩船寺境内に移設されたとのこと。これも国の重要文化財です。
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前面に花崗岩製の各石柱2本を立て、不動明王立像を彫った一枚石板を奥壁・後部石柱にして、その上に寄棟造り一枚岩を架けた面白い構造の建築。中の石仏を風雪から守るために石の覆いを架けている事例は少なくないですが、自らが支柱も兼ねているのは珍しいですね。鎌倉時代の作で、国の重要文化財です。
京都南部の仏閣巡り(木津川市)
1日目の旅ルート
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