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こぼらさんの奈良県の旅行記

新緑の室生寺

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桜満開の宇陀がとても良かったので、味を占めて再度宇陀へ。宇陀の名刹といえば室生寺。毎年実施されているようですが、2018年は4月15日まで金堂内部が特別拝観できると聞き、急ぎ参拝しました。石楠花も咲き始めていました。

三重ツウ こぼらさん 男性 / 60代

1日目2018年4月14日(土)

室生寺

宇陀市

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女人高野・室生寺。真言宗室生寺派大本山の寺院です。女人高野の通称から、昔は尼寺だったのかと思っていました。高野山は女人禁制でしたが、室生寺は女性の参詣を認めていたからだそうです。女性の人気が高いのも道理です。 伽藍の雰囲気は、静けさの中にどこか優しい美しさが感じられます。金堂の十一面観音像は女性的なお顔立ちですし、金堂と五重塔からは控えめな気品を感じます。

門前街道の茶店から太鼓橋・表門あたりを望んだ光景です。近くに下ノ橋がありました。つい10日ほど前までは満開だったであろう桜は、すっかり葉桜になっていました。 新緑の室生寺もいいですね。室生川(木津川水系の宇陀川支流)に架かる太鼓橋も風情があります。

表門前の太鼓橋。門前街道からは、この橋を渡って室生寺表門に至ります。橋の朱と葉桜の薄緑との相性も悪くないですね。

太鼓橋の上から表門を見たところ。表門脇の受付で入山料を納め、拝観開始となります。目下、表門と仁王門との間に宝物殿を新築中で、建築資材搬入のための養生がされており、見栄えがしませんね。

赤鬼青鬼のような仁王様がいらっしゃる、普段なら荘厳な雰囲気が漂う仁王門です。 でも今は、斜め前に宝物殿建築現場の遮蔽パネルが張られ、見栄えが冴えません。気のせいか、仁王様のご機嫌が悪そうに見えてしまいました。

室生寺

宇陀市

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仁王門をくぐると、左側に鎧坂と呼ばれる石段があります。ここを上ると金堂に至ります。ここから奥の院まで、のべ700段の石段が待っています。私たちも数えながら上ってみましたが、705段ありました。一本調子で上るだけでなく、下り坂もあります。

室生寺金堂

宇陀市

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正面から見た金堂(国宝)。平安時代の建築らしく、気品ある優美なたたずまいです。蔀戸は5枚ありますが、須弥壇の正面に係る蔀戸は3枚なので、建立時は3体の仏像安置となっていたのでしょう。 特別拝観ができたので、堂内外陣まで近付いて仏像を拝見できました。奥に五尊像(左から十一面観音立像(国宝)、文殊菩薩立像(重文)、本尊釈迦如来立像(国宝)、薬師如来立像(重文)、地蔵菩薩立像(重文)が横一列に並び、手前には十二神将立像(重文)が並び立っているという贅沢さです。

屋根はこけら葺き。薄い板が何枚も重ねられているのが見えます。

金堂の特別拝観ができました。最終日を翌日に控え、かなりの拝観者を集めていました。中では、若手のお坊さんが仏像一体一体について解説をしてくれました。

室生寺金堂

宇陀市

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離れて見ると黒っぽく見えますが、近くからだと朱塗りである事がよくわかります。今の金堂の姿には落ち着いた気品があり、朱塗りのピカピカだった頃の姿を想像しがたいです。

室生寺本堂(灌頂堂)

宇陀市

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鎌倉時代後期の建立で、優美な金堂(平安時代)とは趣が違います。武士の時代でしたから、いかめしさや風格が感じられます。屋根や庇の形状には、室町時代様式につながる要素も見受けられます。 灌頂という密教儀式を行うための堂だったので、儀式を荘厳に演出するためにも、いかめしさを加味したのかもしれませんね。

本堂も、金堂同様に朱塗りだったのですね。今まで見た、鎌倉時代から室町時代にかけて建立された仏閣には、朱塗りが鮮明に残っている例がなかったので印象的です。 でも、やはり鎌倉時代の建立であり、根肘木や木鼻からは力強さが感じられます。

室生寺本堂(灌頂堂)

宇陀市

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初めて本尊の如意輪観音坐像を拝見しました。室生寺ほどの名刹の場合、ご本尊を遠くからでも拝見できる例は少ないので、驚いて礼堂に上がった次第です。 大変に失礼ながら、最初はヨガでもやっておられるように見えて二度見しました。右足先を右ほほに当てているように見えたからです。 よく見ると、腕を六本有しておられ、一本の右腕で頬杖をついておられました。右手を頬に当てて思索に耽っておられるようにも見え、ロダンの「考える人」を思い出しました。神秘的な仏像です。

本堂前から上を仰ぐと、葉桜とカエデの若葉が空を覆い隠しているようでした。春の息吹を感じます。

新緑に囲まれながらも、遅咲きの山桜が存在を主張していました。

五重塔に上る石段から、本堂裏側の屋根や庇の造りを詳細に見る事ができます。屋根は檜皮葺きです。

本堂から五重塔に向かう石段の脇には、たくさんの石楠花が植えられています。「石楠木献納記念塔」が立っていました。昭和の初め、信者たちが御杖村(奈良県)の石楠花を移植したとのこと。花はこれからでした。

本堂を通り過ぎると、新緑に浮き立つように眼前に現れる五重塔。

室生寺五重塔

宇陀市

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室生寺の造営開始と同時に建立された五重塔。平安時代初頭です。他の塔堂は、その後に建て増されたものだそうです。木造五重塔の中では、法隆寺の塔に次いで古いものだそうです。当然、国宝です。 室生寺にある塔堂の中で、撮影対象として一番人気があるようです。まわりに人がいない瞬間を待って撮影するのは結構大変です。 気品があって美しい塔です。

室生寺五重塔

宇陀市

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屋外にあり、国宝や重要文化財に指定されている木造五重塔の中では、最もコンパクトなのだそうです。高さは16m余で、宇治の十三重石塔(石塔では国内最大・15m)と余り変わりません。しかし美しさや気品は、石塔と比べるのが不遜に思えるほどに、際立っています。輪郭もさることながら、朱とくすんだ白のツートーンカラーによって華麗さが増して感じられます。高貴な淑女のような雰囲気もありますね。

意外でしたが、5層の屋根の角が一直線には並んでいません。特に1層と2層のずれが目立ちます。長い歴史がそうさせたのか、それとも素材が木材なので、季節や天候によって形や大きさを微妙に変えるのか。

五重塔を過ぎて奥の院に向かいます。左右に巨木が立ち並び、いかにも霊域に入っていくような気持ちがしてきます。

暖地性シダ群落の傍にある無明橋を渡ると、石段はさらに険しく急坂になります。あと370段ほど上らなくてはなりません。思わず緊張します。途中、休憩用のベンチと手水場がありますが、皆さん立ち寄って一服していきます。

室生寺 奥の院

何とか登り切ると奥の院です。弘法大師を祀る御影堂と常燈堂(位牌堂)があります。御影堂は室町時代の建立で、板葺き二段屋根の宝形造りです。頂には石造の露盤があるとのことですが、私にはどう貴重なのかわかりませんでした。 堂の中には、弘法大師四十二歳像という木像が安置されているそうです。

御影堂の隣には常燈堂(位牌堂)があります。もともとは御影堂を拝むための礼堂という位置づけだったのでしょうか、絶壁の上と言うより、空中に建っています。

常燈堂は、絶壁の前に舞台が組まれ、その上に建っています。「清水の舞台」を思い出します。同じような舞台造りの礼堂は、金堂にも見られます。そちらは、こんなに際立った高さの舞台ではありませんが。

常燈堂の回廊から見た七重石塔。奥の院の最も高い場所にあります。 十三重石塔が倒木によって折れたのかなと思いましたが、もともと七重だそうです。この石塔の下にあるのが「諸仏出現岩」。山岳信仰の流れをくんでいるようです。

室生寺の石楠花

宇陀市

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奥書院前の石楠花。 金堂の特別拝観が終わらないうちにと考えて4月中旬に参拝したのですが、石楠花には少し早すぎたようです。奥の院の石楠花は固いつぼみ状態でした。麓の仁王門や奥書院は、標高が低いためか、そこそこ咲き揃い始めていました。

本堂から五重塔に向かう石段の脇で見つけた石楠花。本堂のまわりでは、あと数日で満開になる様子でした。

1日目の旅ルート

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