「同意するから、用意するものを持参するように
場所は、後で連絡するから...」
兄弟たちを仕切っている兄からの電話でした
後日呼び出された、仙台郊外の高名な温泉地
その、代表的旅館で執り行われた、新源泉掘削に関する同意の確約
印を押すのは、私と一緒に実家の湯で育った兄弟たちとその連れ合い
印を授かる、年下の私
どう見ても、、”変“です
亡くなった親が居たら、どんな言葉が返ったことでしょう
この現場に赴く前、家内が長い事仏前で香を焚き、首を垂れていたのが印象的でした
何を念じていたのか尋ねましたが、その一言が私達の今後の、大きな拠り所になったのです
こう言ったのです
“何を言われようとも、黙って頭を下げよう...
あの人たちに頭を下げても、本当は御先祖様に頭を下げるつもりで判を貰い、掘削を完成させよう
それを、お客さんたちみんなが待ち望んでいるのだから...”
何も言えませんでした
この人が、今後の方針ともいえるところに踏み込んで、自分の意思を表明したその一言は、
崖っぷちの私達の、明日への希望の橋のように思え、これまでの心配が一度に吹き飛んだことが、
今でも、明確に心の中に在ります
それ位、力のある言葉でした.....