温泉を、見たいと思う。
50ミリの源泉湧出口に入り込み、どんどんどんどん地下にもぐり、温泉の元までさかのぼってみたいと思う。
湧出温度は57度だが、1メートルもぐるたびに温度は上昇し、とてもとても耐えられないかもしれないが、とにかく温泉の元まで行きたいと強く思う。
体が溶けてなくなってしまうかもしれない。
皮膚が溶けて、内臓が溶けて、目も脳も溶けてヒラヒラになってしまうかもしれないが、
とてつもなく、人一倍温泉の元にたどり着きたいのだ。
思うのだか、
そこにはとても怖い温度の神様が居て、いつもいつものどの渇きに飢えていると思えば、神様の欲しいものは一滴の水かもしれない。
水は雨? それとも川から浸透する濾過された純粋なH2O?
神様ののどを潤すには、一滴だけで足りるはずも無く、もっともっとたくさんの水が必要に違いない。
やがてのどの渇きに我慢できなくなった神様は、赤い火の粉を口から噴出し、大地に大きな口をあけ、降るしきる雨を口の中にいっぱい溜め込みゴクリと飲み干す。
たらふく水を飲み込んだ神様は、生理現象をもよおしたようだ。
地表に向けていき酔いよく放出したオシッコは、さまざまな岩石を溶かして、イオンを内包した体に心地よい温泉に姿を変え、今日も人々の暮らしに役立っているのです。
わたしと、大地の濃密な一コマ.....