「光と影の詩人」と呼ばれる影絵作家藤城清治さんの個人美術館「藤城清治美術館」が15日、グランドオープンした。待ちわびた多くのファンが全国から訪れ、藤城さんの芸術世界に酔いしれた。

　同館は、活動70年の集大成となる藤城さん初の常設美術館。４月26日に開館を予定していたが、直前に藤城さんが２度入院。急きょ一部作品を下絵のまま展示し、プレオープンした。

　この日は、全作品完成記念として、グランドオープンパーティーを開催。藤城さんは「ここは絵が呼吸しているような、生きている美術館。もっと楽しく、美しく、ワクワクする美術館にしたい」とあいさつし、思いを新たにした。

　展示作品はモノクロ作品から少年少女のメルヘンの世界、初公開作品まで約１５０点。初公開された横６メートルの大作「魔法の森に燃える再生の炎」は、作品の手前に設置した水槽の水面と作品の両脇に立つ鏡に影絵の光が反射し、幻想的な色彩を放っている。東日本大震災の被災地を描いた作品の前では、多くの来場者が足を止めて見入っていた。

(下野新聞)