宿番号:347512
季節のこだわりバイキングと美肌の湯の宿 仙渓園 月岡ホテルのお知らせ・ブログ
親父のひとり言 『宴のあと〜揚妻うなぎ三昧』
更新 : 2014/3/15 11:08
我が家系で、男は短命、女は長命である。
私は63歳になった。父は54歳、祖父は59歳、曽祖父は62歳で亡くなったので、ここ四代では私が一番長生きをさせてもらっていることになる。物事にあまり頓着せず、神経をすり減らさず、身を詰めないで生きてきたせいと思うが、両親より先に逝ってしまったり、成人しない子供を残して先立ってしまうよりは、宿六の方がまだましではないかと思っている。
我が家では、誰も私の誕生日を祝ってくれない。私が自分で祝って、おまけに家族を招待するのである。シラスウナギの激減により、うな重は高嶺の花となり、しばらくご無沙汰している。この度のお祝いは、うなぎしかないと思った。
熱燗と共に白焼き、う酢、肝煮、思い浮かべているだけで頭に血がのぼってしまう。早速、山形の揚妻に電話をして席を予約した。
揚妻のうなぎ料理は、県内でピカイチだと思っている。仙台の開盛庵、大観楼、うな貴、東京の神田川本店、大江戸、尾花、秋本あたりと一歩も引けを取らない。
当日は思いはせていたとおりの注文した。
酒は、メニュー筆頭の男山の純米酒を熱燗で、そして白焼き、肝煮、う酢、〆にうな重、おまけにカラカイの煮物まで一気に注文した。
カラカイの煮物、肝煮をつっつきながら、口当たりの良い杯で熱燗をクッとやる。
そして、白焼きが出てきて、本わさびをのせ、醤油をつけていただくと、その瞬間さらに皆の顔がほころぶ。
たしなむ程度と思っていた熱燗がう酢の登場でさらにすすんでしまう。
喜び疲れたところで、そろそろうな重の大きさを決めなければならなくなった。一番小さいので十分よねと長女が言った。
私は、せっかくの機会だったので、大きい方を注文した。母が決めかねていたので、どうするのと尋ねたら、「私も大きいのを」と答えた。私と家内と長女は顔を見合わせ2,3秒沈黙状態になってしまった。母は86歳になるが、私達と同じく一通りの料理を食べたのである。その上で、大きい方のうな重を注文したのである。結果は、ごはんを少し残しただけで、うなぎは完食してしまった。
母は、たぶん100歳までは大丈夫だと思う。こんな母を残して私が先に逝ってしまったら、女房子供の愚痴をあの世で聞き続けなければならない。この日の夕食には大満足しながらも、私の行き先は安閑としていられないこともあり、何か複雑な気持ちを抱えながら家路についたのであった。