憧れの寝台列車(夜行列車)に乗って、一度は旅してみたいと思いませんか?
現在、日本で定期運行されている寝台列車は「サンライズ瀬戸・出雲」のみ。東京と香川、東京と島根を原則1日1便で結んでいます。
この記事ではそんな「サンライズ瀬戸・出雲」の魅力から、予約方法、きっぷの買い方まで徹底ガイド。飛行機や新幹線とはまた違う旅のノウハウを紹介します。
●サンライズ瀬戸・出雲の魅力とは?
●サンライズ瀬戸・出雲の行き先・時間は?
●サンライズ瀬戸・出雲の寝台タイプ
・シングルデラックス(A寝台)
・サンライズツイン(B寝台)
・シングル(B寝台)
・シングルツイン(B寝台)
・ソロ(B寝台)
・ノビノビ座席(指定席)
●サンライズ瀬戸・出雲の共用スペース
・シャワー室
・ラウンジ
●サンライズ瀬戸・出雲の運賃・料金
●サンライズ瀬戸・出雲のきっぷの買い方
・「e5489」からネット予約する方法
・みどりの窓口で購入する方法
●もろもろQ&A
・JR東日本「えきねっと」で予約はできる?
・「みどりの券売機」などの自動発券機で購入はできる?
・子連れで乗りたいのにサンライズツインが取れない
・持参した方がいいものは?
・シャワーカードが売り切れだった!
サンライズ瀬戸・出雲の魅力とは?

一晩ゆっくり休みながら移動できるのが寝台列車の魅力。「サンライズ瀬戸・出雲」は一部を除いてすべて個室で、ベッドやパジャマ、コンセントなどの設備はホテルレベルです。
また、朝早く目的地に着くので、1日を有効に過ごせるのもメリット。

飛行機でも朝早く着ける便はありますが、たとえば朝6時台に羽田空港へ行くのはかなり大変。寝台列車なら、22時前に東京駅を出て、旅情をたっぷり楽しんで、何なら一杯やってシャワーも浴びて、翌朝から目的地で活動できます。
そんな魅力的な寝台列車、「サンライズ瀬戸・出雲」の乗り方を詳しく説明します!
サンライズ瀬戸・出雲の行き先と時間は?

行き先は、香川県の高松駅と、島根県の出雲市駅です。
「サンライズ瀬戸・出雲」と一口に呼びますが、7両と7両が連結された合計14両の状態で途中まで一緒に走ります。岡山駅で7両ずつに分離したあと、「サンライズ瀬戸」「サンライズ出雲」となって、四国エリアと山陰エリアへそれぞれ向かいます。
【下り】
東京駅 21時50分発 → 高松駅 7時27分着 / 出雲市駅 9時58分着
【上り】
高松駅 21時26分発 / 出雲市駅 18時55分発 → 東京駅 7時08分着
※毎日1便運行。繁忙期は増便の場合あり

途中の停車駅で乗車・下車することももちろん可能です。例えば、大阪(0時33分発)で乗って東京まで行くこともできますし、岡山(6時27分着)で新幹線に乗り換えて、8時半には博多駅に着く…のような使い方も旅の達人っぽいですね。ちなみに大阪駅と三ノ宮駅は上りのみ、浜松駅は下りのみの停車ですのでご注意を。
ダイヤは変更になる可能性があるので、最新の情報はこの記事の最後にあるJRのホームページをご確認ください。
サンライズ瀬戸・出雲の寝台タイプ
ここからは、寝台の種類を見ていきましょう。
寝台タイプの後ろに書いてある「A寝台」「B寝台」などのグレード名は、予約するときに必要な情報ですので把握しておくとスムーズです(詳細は「きっぷの買い方」で後述します)。
A寝台とB寝台はすべて個室で、暗証番号式のカギを掛けることができます。充電用コンセント、パジャマ、使い捨てコップも各部屋に用意されています。
シングルデラックス(A寝台)
もっともハイクラスな個室

幅85cmあるゆったりめのベッドに、デスク、洗面台、アメニティセットまで備えた、ほぼビジネスホテルのような個室。瀬戸・出雲それぞれ6室ずつ、合計12室のプレミアムルームです。
アメニティセットにはシャワーカードが入っていて、このA寝台ユーザー専用のシャワールームを使えます。B寝台ユーザー用のシャワールームは混むことが多いのでうれしいポイント。
「サンライズ瀬戸・出雲」の車両は基本2階建てになっていて、「シングルデラックス」は全室2階にあります。窓からの視点が高く、車輪からの振動が少ないのも良いところです。
サンライズツイン(B寝台)
友達同士やカップルにぴったりの2人用個室

幅75cmのベッドが2つならんだ、ホテルのツインのような2人用個室です。ベッドに腰掛けると2人が対面するつくりになっています。
瀬戸・出雲に各4室(合計8室)あり、すべて1階です。1階室は横揺れが少なく、階段もないので友達同士や子ども連れにもおすすめの部屋です。
シングル(B寝台)
必要十分な設備を備えた、部屋数も多い“基本”の寝台

瀬戸・出雲に各80室(合計160室)と、もっとも多く用意された個室寝台。ベッド幅は約70cm。簡易テーブルも付いています。
写真は2階室で、窓がカーブしているので夜空がよく見えます。1階室は、頭上が比較的広く感じられる構造。どちらも立って着替えることが十分可能で、スーツケースも無理なく置けます。
ちなみに80室のうち数室だけ、1階・2階の区別がない“平屋”の「シングル」があります。車輪の上に位置するなど構造上の制約によるもので、振動が大きめですが頭上が広いというメリットがあり、あえて好むマニアも多いそうです。
シングルツイン(B寝台)
上下に分かれて2人で使用できる

頭上が高い“平屋のシングル”に、跳ね上げ式の上段ベッドをもう一つ備え付けた2段ベッドの部屋。瀬戸・出雲に各8室(合計16室)が用意されています。
下段のベッドも腰の部分をパカッと取り外すことができ、折りたためば対面式の2人掛け座席に大変身。なんだか秘密基地みたいな部屋です。
多少割高にはなりますが、空いていれば1人で利用することも可能(金額は後述)。2人で利用する場合は、1人分の金額が「シングル」とほぼ同額になります。
ソロ(B寝台)
寝台の中で最安値の個室

シングルよりさらに1100円安い、ほぼベッドのスペースのみの個室です。1階室と2階室を巧妙に組み合わせてスペースを稼いだ構造は芸術的なほど。
2階室は室内で階段を使ってベッドに上がる、ロフトのような雰囲気です。

1階室は頭上の出っ張り(2階室部分)を避けてベッドに潜り込みます。どちらもベッド部は天井高が1.5m弱なので、立って着替える場合は室内入口付近で行いましょう。
大きめのスーツケースは避けた方が無難。テーブルは窓際のドリンク置き的な出っ張りを利用します。ベッドの足側が少し狭くなっている点にも注意。でも、むしろこのシェルターのような包まれ感がいいのかも。
ノビノビ座席(指定席)
足を伸ばして横になれる“指定席”

もっとも安価な「ノビノビ座席」。フェリーでいうところの雑魚寝の2等船室的な存在です。
「ノビノビ座席」は寝台ではなく“通常の指定席”扱い。寝台列車の料金は「乗車券+特急券+寝台料金」という3段重ねで計算されますが、ここは一般の特急列車と同じように「乗車券+特急券」のみで利用できます。
カバーをかぶせた毛布、読書灯、小物を置く台が用意され、床暖房も備えられています。隣との仕切りは部分的な壁のみです。
床が硬めなので、毛布を敷いて、その上に横になるのも1つの手。寝袋を持ち込む人もいます。コンセントは通路に共用のものがあるだけなので、寝ている間にスマホを充電…は難しそう。
サンライズ瀬戸・出雲の共用スペース
シャワー室

自販機でシャワーカード(330円)を買って差し込むと、シャワーが使えます。瀬戸・出雲に各1室(合計2室)が備えられています。
お湯が出るのは合計6分間。スタートとストップのボタンを駆使して体を洗いましょう。とはいえ水圧も十分で、むしろ時間が余るほど。シャンプーやボディソープも付いていますが、タオルは持参が必要です。
ちなみにシャワーカードは数に限りがあり、かなり早めに売り切れます。シャワー室そのものは深夜や翌朝でも使えるので、乗車したらまずはシャワーカードをゲットしておくのがコツ。通はカード自販機のある3号車・10号車から乗り込み、荷物を置く前にシャワーカードを押さえるのだとか。
ラウンジ

瀬戸・出雲に各1室ある6席のラウンジです。車窓を眺めながらビールを飲んだり、部屋のスペースでは食事しにくいときなどに便利。
ただし車内にはソフトドリンクの自販機があるだけなので、必要なものは乗車前に買って持ち込みましょう。
サンライズ瀬戸・出雲の運賃・料金

最大区間を乗ったときの片道運賃を見てみましょう。大まかな料金を把握しておけば旅費の参考になります。
【サンライズ瀬戸】東京~高松
・シングルデラックス(A寝台):28930円
・サンライズツイン(B寝台):2人利用時1人あたり22650円
・シングル(B寝台):22650円
・シングルツイン(B寝台):2人利用時1人あたり22500円(1人利用時24550円)
・ソロ(B寝台):21550円
・ノビノビ座席(指定席):15480円
※サンライズ瀬戸は琴平駅まで延長運転される場合あり
【サンライズ出雲】東京~出雲市
・シングルデラックス(A寝台):29490円
・サンライズツイン(B寝台):2人利用時1人あたり23210円
・シングル(B寝台):23210円
・シングルツイン(B寝台):2人利用時1人あたり23060円(1人利用時25110円)
・ソロ(B寝台):22110円
・ノビノビ座席(指定席):16040円
乗る区間によって運賃は増減しますので、詳細は記事最後のJRホームページや、みどりの窓口にて確認してください。
また、繁忙期・閑散期は上下200円ずつ変動、最繁忙期は400円加算されます。片道は通常の列車に乗った場合でも、同時購入すれば往復割引が適用されますよ。
サンライズ瀬戸・出雲のきっぷの買い方

2024年2月現在、「サンライズ瀬戸・出雲」の寝台はすぐ予約が埋まり、休前日のA寝台などは数秒で完売するレベル。そこで、争奪戦に挑むきっぷの買い方を伝授します!
予約・購入方法は「ネット予約」と「みどりの窓口」の2つです。
JRのきっぷは乗車日1カ月前の午前10時ジャスト(月末が30日か31日かは関係なく、同じ日付の10時)から買えるということを押さえておいてくださいね。まずネット予約から見てみましょう。
「e5489」からネット予約する方法
まずは会員登録。10時打ち・キャンセル拾いもしやすい
JR西日本の予約サイト「e5489(いいごよやく)」から予約できます。スマホならアプリ「WESTER」を入れておくと瞬時に接続してくれます。
トップページの「サンライズ瀬戸・出雲」の予約という小さな専用リンクから入りましょう。普通の「新規予約」からだと出てこないので見落とさないようご注意を。
利用前にまずはWESTER会員に登録しておくのがコツ。登録しなくても利用できますが、予約確定前に名前やメールアドレスを打ち込む必要があり、時間を浪費してしまいます。
次に利用したい日付、発着駅、「シングル」や「サンライズツイン」など寝台の種類を選択していくのですが、寝台の種類ごとに検索する必要があるので(一覧表がありません)、「シングルデラックスがだめだった!ならシングルは?」と第2候補を探す場合、もう一度最初から日付等を入力する必要があります。
※ただし、「ノビノビ座席」「シングルデラックス(A寝台)」「シングルツイン(B寝台※2段ベッドの部屋です)」の3種のみ、一覧で結果が出ます(「B寝台」とだけ表記されているのは「シングルツイン」の空きを表示しています)。

ネット予約のメリットは、
・10時ジャストを狙いやすいこと
・キャンセル拾いをしやすいこと
「シングルデラックス」「サンライズツイン」などは、時期にもよりますが10時を数秒過ぎると完売することもしばしば。日時・発着駅・寝台の種類まで選択しておき、時報に合わせてタイミングよく「会員ログインして検索」ボタンを押しましょう。これを“10時打ち”とも呼びます。それまでに一度、確実にログインを済ませておくこと。
空きがあればそれを選択しどんどん進めていきます。予約完了まで数クリック、十数秒は必要です。惜しくも空きがなかったら、「シングル」や「ソロ」は余裕があることが多いので、即座に狙いを切り替えるのも手。

運行直前にはしばしばキャンセルが発生します。また、ネット予約は予約した日の3日後までに駅の発券機、コンビニなどで支払いをする必要があり、それを過ぎたときにキャンセルが出ることもあるので、ちょくちょく検索できるネット予約はそれらを拾いやすいメリットがあります。
逆にデメリットもあり、「2階がいい」「○号室がいい」といった指定ができません。ノビノビ座席のみ可能です。
みどりの窓口で購入する方法
細かいリクエストも可。熟練の駅員さんにおまかせ

「みどりの窓口」に直接出向いて購入もできます。「指定券購入申込書」という白い紙が置いてあるので、乗りたい日付や寝台の種類などを書いて渡しましょう。口頭で伝えても構いません。
コツは、1カ月前の午前10時を狙って申し込むこと。熟練の駅員さんがマルスという専用端末で検索してくれます。全国のみどりの窓口で購入可能です。
メリットは「車両の中央がいい」「平屋のシングル希望」といった、細かい部屋の位置やグレードの希望を伝えられること。また「サンライズツインが空いてない場合はシングルツインを」といったリクエストにも素早く対応してくれます。
ネット予約・みどりの窓口に共通するコツとして、上り便を狙うのも手。東京発の下りより、高松・出雲市発の上りの方が若干空いている傾向があります。初めての寝台列車は楽しくて眠れないかもしれないので、寝不足で観光地を巡るより、むしろ帰りの方が列車旅を楽しめるかもしれませんね。
もろもろQ&A
Q. JR東日本「えきねっと」で予約はできる?
A.「ノビノビ座席」のみ予約ができます。寝台予約はできません。
Q. 「みどりの券売機」などの自動発券機で購入はできる?
A. こちらも「ノビノビ座席」のみ購入ができますが、寝台券の購入はできません。「話せる指定席券売機」や「みどりの券売機プラス」といった、オペレーターと直接会話する機器の場合は、寝台券の購入も可能です。
Q. 子連れで乗りたいのにサンライズツインが取れない
A. JRの寝台券のルールでは、「1つの寝台を大人1人と子ども1人で利用してもよい」となっています。つまり一案として、多少予約しやすい「シングル」を親子2人で利用するのはOK。
子どもが未就学児(幼児)の場合は、子ども分は無料。6歳以上12歳未満の場合は、乗車券と特急券を子ども料金で払えば利用することができます。ただし、70cm幅のベッドに2人で寝るのはかなり窮屈。「みどりの窓口」で“10時打ち”をするのがやっぱりおすすめです。
Q. 持参した方がいいものは?
A. 車内にはソフトドリンクの自販機があるだけなので、食事などは事前に買って持ち込みましょう。あと、洗面時に必要なので、シャワーを浴びない場合でもタオル・ハンカチ類は忘れず持参を。
Q. シャワーカードが売り切れだった!

A. シャワーカードは自販機1台につき20枚程度ともいわれ、結局は多くの人が買えません。争奪戦に参加するより、事前に入浴を済ませておくのがスマートかもしれませんね。
例えば出雲市駅前には日帰り温泉「らんぷの湯」があり、営業時間10時~22時(第一水休)と、到着してからひとっ風呂浴びるのにも、乗車前に利用するのにも便利。濁り湯の名湯ですよ。
【下り】21時50分東京駅発→7時27分高松駅着(サンライズ瀬戸)、9時58分出雲市駅着(サンライズ出雲)【上り】21時26分高松駅発(サンライズ瀬戸)、18時55分出雲市駅発(サンライズ出雲)→東京駅7時08分着※毎日1便運行。繁忙期は臨時増便の可能性あり
【東京駅~高松駅】シングル利用片道22650円【東京駅〜出雲市駅】シングル利用片道23210円※詳細は公式ホームページを要確認
「サンライズ瀬戸・出雲」の詳細はこちら
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※この記事は2024年2月13日時点での情報です。休業日や営業時間など掲載情報は変更の可能性があります。
※掲載されている情報や写真については最新の情報とは限りません。必ずご自身で事前にご確認の上、ご利用ください。
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ミキティ山田
旬な話題を求めて、いろいろな場所を取材・撮影する調査員。分厚い牛乳瓶メガネに隠したキュートな眼差しでネタをゲッチュー。得意技は自転車をかついで階段を登ること。ただしメガネのせいでよく転びます。