ビーチコーミングとは、浜辺に打ち上げられた漂着物から好きなものを探して収集すること。流木や貝殻、シーグラスの他にも、異国から流れ着いたちょっと変わったお宝が見つかることも!
ビーチコーミングを安全に楽しむためには、持ち物や浜辺でのマナー、注意点、NG行為など、事前に知っておくべきことがあります。
今回は海の漂着物を研究している漂着物学会の藤枝さんにビーチコーミングの楽しみ方を教えていただきました。
館山の「沖ノ島公園」や西表島の「南風見田の浜」など全国各エリアのおすすめ海岸もご紹介します!
※この記事は2021年3月9日時点での情報です。休業日や営業時間など掲載情報は変更の可能性があります。日々状況が変化しておりますので、事前に各施設・店舗へ最新の情報をお問い合わせください。
ビーチコーミングとは
海岸に打ちあがる漂着物:貝殻
海岸に打ちあがる漂着物:流木
海岸に打ちあがる漂着物:シーグラス
海岸に打ちあがる漂着物:ガラス玉
海岸に打ちあがる漂着物:生物系
ビーチコーミングの持ち物
ビーチコーミングにおすすめの時期・時間帯
漂着物を見つけやすい場所
ビーチコーミングのやり方・手順
ビーチコーミングをするときの注意点
おすすめの海岸:石狩海岸(いしかり砂丘の風資料館)【北海道】
おすすめの海岸:種差海岸(種差海岸インフォメーションセンター)【青森県】
おすすめの海岸:大洗海岸【茨城県】
おすすめの海岸:沖ノ島公園【千葉県】
おすすめの海岸:恋路ヶ浜【愛知県】
おすすめの海岸:琴引浜【京都府】
おすすめの海岸:南風見田の浜【沖縄県】
ビーチコーミングとは

ビーチコーミングとは、海岸や浜辺に打ち上げられた漂着物を収集すること。直訳すると、海岸や砂浜(beach)を櫛(くし)でとく(combing)という意味になり、ビーチコーミングをする人をビーチコーマーと言います。
ビーチコーマーにとって、漂着物は波が運んできてくれた贈り物!どんな物を拾うかはあなた次第。
自分の目と心で探して、好きなものやときめくものだけを拾い集めればいいのです。
漂着物には、遠く異国から流れて来たものやずっと昔に流れ出した古いもの、海を彷徨う長旅で形が変わり唯一無二の存在となっているものなどがありますが、何をお宝と思うのかは人それぞれ。
キレイなものや珍しいものにとらわれず、自分にとってのお宝を探すのが醍醐味です。
ビーチコーミングは、欲しいものを探すことに夢中になれる、海岸さえあればできる、まだ見ぬ漂着物を求めて旅をする理由ができる、などの魅力があり、年代や性別を問わず世界各地で趣味として楽しまれています。
集めた漂着物は標本にしたり、コレクションとして飾ったり、どこから来たのかを調べたり、アートやアクセサリーなどの作品を作ったりと、楽しみ方も豊富です。

海岸に打ちあがる漂着物:貝殻

ビーチで拾えるアイテムの代表格は何といっても貝殻。
色や形が種類豊富にあるので、お気に入りの貝を探してみましょう。
オウム貝

アンモナイトに似た形のオウムガイは古生代からその形態がほとんど変わっていないことから、生きている化石と言われています。
日本には生息していないので殻が流れ着くのは非常に稀ですが、ぜひとも拾ってみたい貝のひとつです。
アオイ貝

アオイガイとは、カイダコのメスが卵を保育するために背負っている貝。生きた個体は貝にタコがくっついているような形態をしています。
貝は白くて薄く、中には20cmを超えるものもあり見栄えが良いのでビーチコーマーに人気。
年に数回、冬のシケのときに日本海の海岸に大量に寄ってきます。
海岸に打ちあがる漂着物:流木

海岸の流木はフナクイムシの生活の場となっていた場合があり、直径数mm程度の細長い穴が無数にあるものがあります。乾いた流木にはもうフナクイムシはいないので、しっかり乾燥しているものを選ぶと良いでしょう。
流木は個性的な形と風化した味わいが魅力で、水槽のレイアウトやインテリアにも利用できます。
海岸に打ちあがる漂着物:シーグラス

シーグラスはビーチグラスともいわれるガラスの破片。
ガラス瓶などの破片が砂や波でもまれて角がとれ、最終的にはすりガラス状のドロップ型になります。
瓶の色に多い青や緑、茶色のシーグラスはよく見つかりますが、赤や紫、ピンク、黄色のシーグラスは希少です。

海岸に打ちあがる漂着物:ガラスの浮き玉

かつて漁網を浮かせる目的や目印として使用されていたガラス製の浮き玉は、今では希少な漂着物。テニスボールサイズからバスケットボールまで大きさも様々です。へその部分には製造元を表す刻印があります。いろんな種類があるので是非チェックしてみて。
海岸に打ちあがる漂着物:生物系

写真はウミガメの卵の殻。
漂着物の中にはウミガメの甲羅やイルカの骨、海の生き物の死がいなども打ち上げられます。
ビーチコーミングの持ち物

ビーチコーミングは砂の中を掘り探すのではなく浜辺に流れ着いたものを拾うので、特に熊手やスコップなどは必要ありません。自分が気に入ったものだけを拾えばいいので、汚いものや危険物に触ることもないので軍手なども不要です。
小さいものや繊細なものも拾うので基本は素手ですが、手袋を使用する場合は薄手のものがおすすめです。
入れ物
流木や大きな貝はビニール袋にまとめで入れても大丈夫ですが、小さくて薄い繊細な貝などはプラスチックケースや箱に入れると良いでしょう。
小箱やケース、ジッパー袋が複数あると便利です。
服装
ビーチサンダルは避け、スニーカーなど靴を履きましょう。漂着物の中には危険なものもあるので、足元はしっかりガードしてください。
夏は帽子、冬は防寒着をご用意ください。
ビーチコーミングにおすすめの時期・時間帯
漂流物は北半球では風を背中で受けて右に流れるので、南向きの海岸では東風、西向きの海岸では南風が長く吹いたあとに漂着物が多く浜に上がっています。日本海の海岸では冬の北風が吹き出すと漂着物がやって来きます。
浜辺によっては満潮時には歩けないほど潮が満ちるので、事前に潮見表で確認し満潮時は避けた方が安心です。
漂着物を見つけやすい場所

足跡のない浜辺が一番ビーチコーミングに適しています。
海水浴場として管理されている海は定期的に漂着物が撤去されてキレイな状態になっているので、利用されていない海岸がおすすめ。
浜辺についたらまずは、流木や海藻、貝殻が溜まっている漂着物の帯から攻めましょう。異国や遠い地から流れ着いたお宝がある確率が高い場所です。
ビーチコーミングのやり方・手順
1.漂着物を拾う

気に入ったもの、ときめいたものが自分にとってのお宝。何をお宝とするかは人それぞれですが、キレイなものは人気があるので友達もライバルです!
友達と一緒に行ってもそれぞれ別の場所を集中して探し、あとでお互いの採集物を見せ合う方が楽しめます。
2.拾ってきた漂着物をキレイにする

採集したものはよく水洗いをし、砂や汚れを落とします。塩分が気になる場合は2,3日真水につけておくと良いでしょう。洗った後はしっかり乾燥させます。
採集した場所や日付など記録しておくと、思い出や収集ポイントの資料となります。
3.棚などに飾る

採集したものをどう楽しむかもビーチコーミングの魅力です。
採集場所、採集日時のラベルを付けて標本にしたり、コレクションとして棚に飾ったり、どこから流れ着いたのかルーツを調べたり。
アクセサリーやインテリア用品などに加工しハンドメイド作品を作るのもステキですね!
ビーチコーミングをするときの注意点
ビーチコーミングは誰でも気軽に楽しめますが、自然環境の中でのアクティビティなので、事前に下調べをしてルールや注意点を守って安全に楽しんでください。
触ってはいけないもの
海岸には毒を持った海洋生物や、針のついた注射器や点滴用チューブなどの医療廃棄物、船舶用の信号弾など危険なものも流れ着いています。医療廃棄物は触るとケガや感染症のリスクがあり、信号弾は振動や衝撃を与えると暴発する恐れがあり、どちらも危険です。
また、中身の入ったジュースや缶詰、得体の知らないものが入った瓶なども決して蓋を開けないように!中身の状態や何が入っているのか不明なので危険です。触らないようにしましょう!
採ってはいけないもの
ビーチコーミングは潮干狩りではありません。生きた貝や生物を獲る行為は避けてください。
潮干狩りについては、自治体によって採捕できる場所や採捕してはいけないサイズ、使ってはいけない道具などが定められているので、事前に確認してください。
また、石や貝殻類も場所によっては規制されていることがあります。
国立公園やジオパークなどの環境保全区域の海岸では、土地や地質特有の希少な石を持ち帰ることはできません。沖縄の海岸ではサンゴの死骸やサンゴの骨格は採捕禁止となっています。
自然の地形や生態系を守るため、ビーチコーミングに出かけるときは各自治体のルールをぜひチェックしてください。
おすすめの海岸:石狩海岸(いしかり砂丘の風資料館)【北海道】

石狩市から小樽市にかけて長さ約25kmの砂浜が続く石狩海岸では、さまざまな漂着物が見つかります。
対馬暖流が運んできた南の海の生物や外国のボトル、石狩川上流の炭田地帯から流れてきた石炭のかけら、今ではほとんど使われていない漁業用のガラスの浮き玉が流れ着いていることも!
石狩海岸からすぐの場所にある「いしかり砂丘の風資料館」では、漂着物の展示やビーチコーミングイベントなども開催しています。

[住所]北海道石狩市弁天町30-4
[営業時間]9時30分~17時
[定休日]火曜日(祝日の場合は開館して翌平日を休館)
[料金]入館料【大人】300円(中学生以下は無料)
[アクセス]【車】札幌北ICから30分
[駐車場]あり(無料)
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「石狩海岸(いしかり砂丘の風資料館)」の口コミ・周辺情報はこちら
おすすめの海岸:種差海岸(種差海岸インフォメーションセンター)【青森県】

種差海岸は景観の素晴らしさと貴重な動植物が生息する学術的な価値が認められ、三陸復興国立公園に指定されています。海岸線には圧倒的な景観美と四季折々の花の渚が広がっています。
種差芝生地前にある種差海岸インフォメーションセンターでは、夏になるとビーチコーミングのプログラムを開催。砂浜を散策しながら貝殻や流木、シーグラスなどの漂着物を拾い集め、オリジナルの宝物を創作するプログラムです。
浜辺に落ちているゴミも拾い、環境保全活動にも貢献できます。

[住所]青森県八戸市大字鮫町字棚久保14-167
[営業時間]9時~17時※12月~3月は16時閉館、※1月2日、3日は10時~15時
[定休日]なし※12月29日~1月1日は休館
[料金]無料
[アクセス]【電車】JR八戸線種差海岸駅から徒歩3分
[駐車場]あり(無料)
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おすすめの海岸:大洗海岸【茨城県】

日本の渚百選・日本の白砂青松百選に選定されている大洗海岸。海中の岩礁に立つ「神磯の鳥居」も有名な名勝スポットです。
大洗町から神栖市の海岸エリアには、太平洋沿岸からの漂着物が寄せられます。大洗海岸南端の平太郎浜という浜辺は比較的人が少ない穴場的スポットなので、キレイな石や漂着物が見つかるかも!
広い海岸なので、お気に入りスポットを探しながら楽しめます。磯場は場所によっては危険なところもありますので、岩場に登ったりはせず足元には十分気をつけましょう。
[住所]茨城県東茨城郡大洗町磯浜町地先
[アクセス]【電車】鹿島臨海鉄道大洗鹿島線大洗駅から循環バス海遊号、「観光情報センター前」停留所から徒歩3分【車】東水戸道路水戸大洗ICから15分
[駐車場]1000台(無料)
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おすすめの海岸:沖ノ島公園【千葉県】

館山の海はサンゴの北限域と言われ、生態系がとても豊かです。種類豊富に生き物が生息しているので、海岸にはたくさんの貝殻が打ち上っています。
沖ノ島は館山湾の南端に位置しており、周囲は1km程度の小さな無人島で、南房総国定公園の一つ。一年を通してビーチコーミングが楽しめます。
サクラガイ、ベニガイ、タカラガイなどのキレイな貝殻や、サンゴの骨格、流木なども拾えます。

[住所]千葉県館山市富士見付近
[アクセス]【電車】JR館山駅からバス、「館山航空隊」停留所から徒歩25分
[駐車場]あり(無料)
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おすすめの海岸:恋路ヶ浜【愛知県】

島崎藤村の「♪名も知らぬ 遠き島より流れよる 椰子の実(やしのみ)ひとつ♪」という歌曲の舞台と言われている恋路ヶ浜。
太平洋に面して湾曲した約1kmの海岸には、黒潮に乗って南方から流木などの漂着物がやってきます。時には歌のように、遠い島から椰子の実が流れ寄ることもあるそう。
白い浜辺には、さまざまな貝殻が花のように散っています。小さな貝殻を集めながらの散策もおすすめです。

2006年には恋人の聖地として認定され、記念モニュメントとして鐘が設置されています。
[住所]愛知県田原市伊良湖町恋路浦
[アクセス]【電車】豊橋鉄道渥美線三河田原駅から豊鉄バス、「恋路ヶ浜」停留所から徒歩6分【車】東名豊川IC(あるいは音羽蒲郡IC)から90分
[駐車場]あり(無料)
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おすすめの海岸:琴引浜【京都府】

歩くとキュッキュッと砂が鳴く「鳴砂(なきすな)」で有名な琴引浜。石英の砂粒が冬のシケで十分に洗われたあとの乾いた砂がよく鳴くと言われています。
鳴砂は持ち帰り禁止です。琴引浜の波で磨かれることで鳴くので、ここでしか聞けない砂の音を存分に楽しみましょう!
東西1.8kmの白い砂浜には、中国、韓国、ロシアから海流に乗って来るものや、熱帯・亜熱帯からはヤシの実などが漂着。
紫やピンク色が鮮やかなムギガイや、色とりどりのナデシコガイ、緑色のバフンウニの殻など、キレイな色の貝殻も拾えるのが特徴です。
琴引浜近くにある「琴引浜鳴き砂文化館」では、鳴砂や漂着物について詳しく知ることができるので、ぜひ立ち寄ってみて!

[住所]京都府京丹後市網野町掛津
[アクセス]【電車】京都丹後鉄道網野駅から丹後海陸交通バス、「琴引浜」停留所から徒歩10分【車】山陰近畿自動車道京丹後大宮ICから30分
[駐車場]あり(普通車1台につき1000円 駐車料金兼清掃協力費として)
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おすすめの海岸:南風見田の浜【沖縄県】

西表島周遊道路の南側終点にある南風見田の浜は、真っ白な砂浜が2km続いている天然ビーチ。リーフに囲まれている遠浅で波も穏やかな海なので、海岸を散策したり貝殻や漂着物を探すのに最適な場所です。
しかし、沖縄県は造礁サンゴ類の採捕等は禁止しているので、事前に確認してください。
浜に落ちている原型をとどめていないサンゴのかけらは拾っても大丈夫ですが、大きな塊のサンゴは例え死骸であっても持ち帰ってはいけません。
サンゴは目で楽しんで、キレイな貝殻や流木、シーグラスなどを持ち帰るといいですね。

[住所]沖縄県八重山郡竹富町字南風見
[アクセス]【車】大原港から10分
[駐車場]なし(浜の東にある「忘勿石之碑」の駐車場を利用可)
「南風見田の浜」の詳細はこちら
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【監修/漂着物学会】
科学者からサラリーマン、主婦、中学生、分野も海洋学から生物学、環境学、民俗学、考古学、芸術、コレクターとあらゆる視点で漂着物を楽しむビーチコーマーの集まり。毎年秋に一同に集う研究会を開催。2020年で創立20周年。会員数300名。
http://drift-japan.net/
※新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から、各自治体により自粛要請等が行われている可能性があります。
※お出かけの際は、お住まいやお出かけされる都道府県の要請をご確認の上、マスクの着用、手洗いの徹底、ソーシャルディスタンスの徹底などにご協力ください。
※掲載の価格は全て税込価格です
仲西なほ子
沖縄出身、沖縄育ち、沖縄在住。15年間の東京生活を満喫してUターン。現在はフリーランスで取材・執筆・編集・コピーの仕事と、美容の仕事でプライベートサロンも稼働中。息抜きは沖縄県内のリゾートホテル巡り。