2月18日が「方言の日」というのを知っていますか?鹿児島県の大島地区文化協会連絡協議会が、2007年に「近年、衰退しつつある奄美方言を保存・伝承していくこと」を目的に制定した記念日です。今回は方言の日にちなみ、日本全国の方言をクイズ形式で紹介していきます。
早速ですが、下記の方言はなんて言っているかわかりますか?
Q1.北海道 「お弁当のおかずばくって!」
Q2.青森県 「そろそろジャンボかるか。」
Q3.福島県 「やんだおら、すっかり忘っでしまた。」
Q4.栃木県 「ごじゃっぺ言ってんじゃねぇっぺよ!」
Q5.静岡県 「ねぇ~、なにちんぷりかえってるよぉ?」
Q6.愛知県 「まっぺんこっちん遊びんおいでん。」
Q7.大阪府 「この道シャーッと行って、どんつき右で。」
Q8.愛媛県 「あそこの親子は本当についなぁ。」
Q9.福岡県 「映画のチケットば、しかっともっとーと?」
Q10.鹿児島県 「今日はへがふっちょど。」
答えや解説が気になる方はリンクをクリックしてね!
北海道/Q.「お弁当のおかずばくって!」
A.お弁当のおかず交換して!

「ばくる」とは北海道の方言で「交換する」の意味。牛や馬の仲買人を意味する「ばくろう」が語源となっているそうです。自分のものと相手のものを交換するシーンでよく使われ、「お菓子ばくろうよ」「カードばくりっこしよう」のように使われます。
そのほか、北海道の有名方言としては「なまら」=「とても」などが有名です。「あ~、疲れた。」という時に「あ~、こわい。」と言うなど、本州とは離れた地域だからこそ、標準語では使われない使い方など、面白い方言もたくさんあります。
青森県/Q.そろそろジャンボかるか。
A.そろそろ髪の毛を切ろうかな。

「ジャンボ」とは青森県の津軽地方でよく使われる方言、いわゆる津軽弁で、「髪の毛」や「髪」を意味します。「かる」は「刈る」「切る」を意味しているので、「ジャンボかる」というと「髪を切る」という意味になります。
明治時代ちょんまげを切った髪型を「散切り頭(ザンギリアタマ)」と言っていたところから、散切り頭の坊主を「ザンボ」と呼ぶようになり、津軽では「ザンボ」がなまって「ジャンボ」になったのではないかと言われています。全く関係ないように見えて、実はしっかりとした語源があったりするのも方言の面白いところですね。
福島県/Q.やんだおら、すっかり忘っでしまた。
A. やだま~たいへん、すっかり忘れてたわ。

「やんだおら」は直訳すると「嫌だわ、私」。恥ずかしい時や笑い話で使う会津弁で、主に女性が使う方言です。転じて「やだもー、どうしよう!」「あらまぁ、大変!」「うそ~!信じられない。」のようなニュアンスで使われます。
会津弁は福島県会津地方で主に話される方言ですが、会津若松市内と奥会津ではニュアンスが違ったり、エリアによって栃木弁や群馬弁と混ざっていたりするそうです。最近の若い人には使われなくなってきており、使用者の減少が危惧されている方言の1つ。独特の言い回しなども多いので、ぜひ受け継がれてほしいものです。
栃木県/Q.ごじゃっぺ言ってんじゃねぇっぺよ!
A. いい加減なこと言うんじゃないよ!

語尾に「だっぺ」が付くなど特徴的な栃木県の方言。「ごじゃっぺ」は文字にするとかわいいですが、「うそ」「いい加減」「でたらめ」や、転じて「あほ」「まぬけ」などの否定的な表現で使われる方言です。
「ごじゃっぺ言う」=「いい加減なことを言う」「嘘をつく」という意味で、いいかげんな発言やでたらめな発言をした人に対して、怒るように使われたり、冗談を言った人に対して、ツッコミとして使われたりすることもあるそうです。ちなみに「ごじゃっぺ」を強く言うと「ごじゃ!」となり、さらに上級表現で「ろくじゃ」「ごじゃ満開」というのもあるそうです。気になる人は調べてみてください。
静岡県/Q. ねぇ~、なにちんぷりかえってるよぉ?
A. ねぇ、何すねてるの?(怒ってるの?)

「ちんぷりかえる」は割と静岡県の広域で使われている方言で「ふてくされる」「すねる」「怒る」という意味。「ちんぷりかえってるの?」は「怒ってるの?」や「すねてるの?」という意味になります。「ちんぶりかく」で「すねる」という意味で使われている地域もあるそうです。
文字にすると何だか楽し気な表現に見えますが、静岡の方に聞いたところ、普通の怒り方より、怒り度は高い感じなのだそうです。「ちんぷりかえっちゃう」=「ムカつく」と言っていたらイライラ度高めなので注意です。
愛知県/Q.まっぺんこっちん遊びんおいでん。
A. またこちらに遊びにいらっしゃい

愛知県の中でも三河地域の方言「三河弁」。「おいでん」は人を呼ぶ時などに使い、「おいで」「来なさい」「いらっしゃい」などの意味があります。三河でも地域で言い方は違うらしく、「来なさい」を「こりん」と言うところもあるのだとか。ニュアンスとしては「おいでん」の方がやわらかい言い方で誘っているようなイメージなのだそうです。豊田市では、「豊田おいでん祭り」という有名なお祭りもあります。
「まっぺん」は「もう一度」、「こっちん」は「こちらに」という意味なのですが、最近の若い方はあまり使わないそうなので、「まっぺんこっちん遊びんおいでん。」は、おばあちゃんが孫に呼びかけるようなイメージになります。
大阪府/Q.この道シャーッと行って、どんつき右で。
A. この道をまっすぐ進んで、突き当たりを右に曲がってください。

「どんつき」は「突き当たり」という意味。大阪府に限らず関西弁として関西ではよく使われます。人に道を説明する時、タクシーの運転手さんに目的地近くで詳細を伝える時などで出てきます。
説明に擬音語を使うことも多い関西弁。「シャーッ」は直進する時などに使いますが、「どーん」、「ぴゅーっ」、「ばーっ」、「まーーーーっすぐ」など、表現方法は人によって違います。複数の関西人にヒアリングしたところ、全員異なる擬音語を使っていましたし、直進する距離やスピード感でも違うので、聞いた時の勢いで察してください。
愛媛県/Q.あそこの親子は本当についなぁ。
A. あそこの親子は本当に似ているなぁ。

愛媛県の方言は愛媛弁や伊予弁と呼ばれています。伊予弁の「つい」は「同じ」や「似ている」という意味。「ついな柄の服」の場合「同じ柄の服」ということになります。「ついなぁ。」は「似ているなぁ。」なので、イラストは「ついな服を着たついな母子」ということになります。
ちなみに、若い方はあまり使わないそうですが、「つい」よりも強い表現で「まっつい」というのがあり、「うりふたつ」というような意味があります。他県では使われない独特の方言ですね。
福岡県/Q.映画のチケットば、しかっともっとーと?
A. 映画のチケット、ちゃんと持ってるの?

かわいい言い回しや語尾が多いと愛されている福岡県の方言、博多弁。「~しようと?」「~しとーと?」など疑問形の語尾「と?」の上がるイントネーションは胸キュンです。「持ってるの?」という意味になる「もっとーと?」のように「と」が重なる表現も特徴的。
「しかっと」は「しっかり」「ちゃんと」という意味で、「しかっとせんか!」と怒られたら「しっかりしなさい!」「ちゃんとしろ!」と言われているという事。「しかっと」は若い世代ではあまり使われないそうで、「映画のチケットば、ちゃーんともとっとね?」と言う方が一般的かもしれません。こちらもとってもかわいいですね。
鹿児島県/Q.今日はへがふっちょど。
A. 今日は灰が降っているよ。

「屁が降る??」と首をかしげそうですが、鹿児島弁で「へ」には「灰」の意味があります。「へがふる」は「灰が降る」ということ、桜島の活動により火山灰が飛んでくる特殊な環境だからこそのフレーズです。また、「おなら」や「ハエ」のことも同じように「へ」と言うそうなので混乱しそうです。
「~です・ます」の代わりとして語尾に「~じゃっど」「~ちょっど」などが使われることも。「好いちょっど」などはキュンとくる鹿児島弁フレーズの代表例です。また、鹿児島弁は独特なイントネーションが特徴でもあります。観光名所である「さくらじま」のイントネーションは「じ」で上がり「ま」で下がるのだそうです。
まとめ
いかがでしたか?何となく予想できるものもあれば、想像もできない表現もあり、とっても興味深い方言の数々。地元に戻ってよく聞いてみたら、年配の方の話し言葉に素敵な方言のフレーズが隠されているかもしれません。若い人の方言離れで絶滅が危惧されている地域の言葉もあるようです。これを機会に興味を持っていただけたら嬉しいです。
鳥井 晴風
5人の子どもを持つママ編集ライター。 子供に大好きな漫画の主人公の名前を付けてしまうほど漫画アニメ好き。キャラ弁やキャラケーキづくりが得意。好きなお出かけ先は道の駅や直売所など食材が豊富なところ。 自分で収穫する味覚狩りや芋ほりも大好き。