狼のまゆ毛のお話☆☆☆
更新 : 2019/12/8 4:19
むかしむかしある所に、爺さんが住んでおりました...
ある年、爺さんは家と畑を大水で流されて、何もかも無くしてしまいました...
それからは、家々を回って鍋を借り、鍋にこびりついた米粒を擦り取って喰うようになりました...
ある時、それを村人達に知られてしまい、誰も爺さんに鍋を貸してくれなくなりました...
爺さんは、冬の山に食べ物を探しに出かけましたが、空腹と寒さで木の下に倒れてしまいました...
すると、北の暗闇からごそごそと、一匹の狼が現れました...
爺さんは、驚きましたが、狼はそのまま去って行きました...
すると、今度は東から別の狼が現れ、また通り過ぎて行きました...
最後に、西から大きな青白い狼が真っすぐ爺さんの方にやって来て、爺さんの前で止まりました...
爺さんは、狼に喰われる覚悟を決めましたが、狼はじいっと爺さんを見つめるばかりでした...
やがて、狼の眉毛が光り始め、その中の一本が抜け落ちました...
狼は「爺様、その眉毛で村人を透かして見てみろ、きっと良いことがある、
だが、誰にも眉毛をやっちゃいかんぞ」と言って去って行きました...
朝になる、爺さんは狼の眉毛を持って、村に降りました...
爺さんは、田起こしをしている村人を、狼の眉毛で透かして見ました...
驚いたことに狼の眉毛で透かして見ると、村人達が猿、豚、狐など色々な動物の姿に見えました...
すると、そこに村の庄屋がやって来ました...
庄屋は、爺さんに眉毛を借り、村人達や爺さんを透かして見ました...
自分の姿も、爺さんに透かして見てもらいました...
やっぱり、村人達と床屋は色々な動物に見え、爺さんだけが人間のままの姿に見えました...
庄屋は、爺さんに山の神様がおりたに違いないと思い、爺さんを自分の家に連れて帰りました...
爺さんは、村の守り神として庄屋の家で大切にされ、ひもじい目にあうことはなかったそうな...