両足八足大足二足のお話☆☆☆
更新 : 2019/12/11 5:30
むかしむかしある寺に、和尚と小僧が住んでおりました...
ある夜、2人が夜のおつとめをしていると、大入道が入って来て和尚さんに問答をしかけました...
和尚さんが答えられずにいると、大入道は和尚さんの首を切って殺してしまいました...
小僧は恐ろしくて逃げ出し、村の名主の家まで逃げてきました...
和尚さんの弔いをすませた村人は、都から偉い坊さまを呼び、化け物の退治を頼みました...
しかし、また大入道が現れて、都の坊さまに問答をしかけました...
都の坊さまは、答えられず、大入道に首を切られて死んでしまいました...
その後、幾人かの坊さまが寺に住みましたが、皆その夜の内に首を切られて死んでしまいました...
こうしてこの寺は、化け物が出ると言われ、誰も寄り付かなくなりました...
そんなある夜、一人の旅の雲水が名主の家に泊まり、この化け物の話を聞きました...
入道が横走りに追い掛けて来たことを聞いた雲水は「お任せ下さい」と言い、寺に泊まりました...
そして夜遅く、あの大入道がまた寺にやって来て問答をしかけました...
「横這い自在やいかに」と聞くと、雲水は「泡を吹いては子だくさん」と答えました...
すると、大入道は驚いて「両目天をさすとはいかに」と聞きました...
雲水は「湯につかれば赤くなる」と答えました...
大入道は、怒った顔をして「両足八足大足ニ足これいかに」と聞きました...
雲水は、少し考えて「水の潜れば地にも這う」と答えました...
そして「汝に問え、たわけ者め」と言い「喝」と声をかけました...
すると、大入道はたちまち大きなカニに変わり、はさみを振り上げて雲水に襲いかかりました...
雲水は、カニのはさみをかわし、持って来た斧を振り下ろしました...
大カニは、すごい声をあげて、どこかへ逃げていきました...
雲水と村人が血の後を辿っていくと、川べりの大きな洞穴に、大きなカニが死んでいました...
雲水と村人は、その穴を埋め、カニの弔いをしました...
そして雲水は、修行を積んで、この寺の住職になったそうな...