たいしこ団子のお話☆☆☆
更新 : 2020/2/5 2:06
昔、出雲の国のある村に、爺さんに先立たれ一人暮らしをする婆さんが住んでおりました...
婆さんは、足や腰を悪くしてから、田んぼ仕事も出来なくなり、食べるものに困っていました...
ある日、一人のみすぼらしい格好の坊さんが、婆さんの家にやってきて一夜の宿を頼みました...
食べ物はないけれど、せめて火にあたってくださいと、婆さんは快く家にいれてあげました...
囲炉裏に座った坊さんを見てるうちに、婆さんは亡くなった爺さんのことを思い出しました...
寒い日には団子汁と言った爺さんを思い出し、婆さんは足を引きずり田んぼに入っていきました...
そして、干してあった稲わらを、一束抜き取って家に帰ってきました...
隣の家の田んぼには、くっきりと婆さんの引きずった足跡が残っていました...
婆さんは、盗んだ米で団子を作り、菜っ葉と味噌を使って、坊さんに味噌汁をふるまいました...
その夜、婆さんは田んぼに残った足跡の事が不安で、寝付くことができませんでした...
翌朝、婆さんが戸を開けると、あたりは一面の銀世界で、足跡は雪で見えなくなっていました...
坊さんは、悪い足を手でさすって念仏を唱えなさい、きっと良くなる、と言って旅立ちました...
坊さんのおかげで、婆さんは足も腰もすっかり良くなり、日々の暮らしも良くなりました...
この話を聞いた村人達は、きっとその坊様はお大師様に違いない、と声を上げました...
そして、その坊様が来た11月24日に団子汁を作り、お大師様をしのぶようになりました...
この団子汁のことを「たいしこ団子」と呼び、毎年この日には必ず雪が降るようになったそうな...