キツネの恩返しのお話☆☆☆
更新 : 2020/2/19 3:04
むかしむかし、ある町に、旅のお坊さんが住み着いておりました...
ある春の日、お坊さんは、野原で石仏を作っておりました...
そこにキツネが現れました...
キツネはしばらくお坊さんの方を見ていましたが、やがて去っていきました...
お坊さんは、あのキツネがまた来ないかを気にしながら、毎日を過ごしておりました...
そんなある日、あのキツネがまたやってきました...
お坊さんは、キツネに柿をふるまってやり、キツネは食べ終わるとまた帰っていきました...
それからキツネは、毎日お坊さんの所へくるようになりました...
お坊さんは、毎日自分の食事を分けてやると、キツネはすっかり懐きました...
昼はいつも、お坊さんの所にいて、夕方になると帰っていくようになりました...
ある秋の日、お坊さんは用ができて、町へ行かねばならなくなりました...
日が暮れたころ戻ると、家に灯りがついていました...
キツネが囲炉裏に火を焚いて、待ってくれていたのでした...
その日、キツネはお坊さんの家に泊まっていきました...
初雪の降る日、お坊さんはキツネの身を案じて、遅くまで起きていました...
戸口から物音がして開けてみると、袋をくわえたキツネが入ってきました...
キツネは「この袋の中に米と小豆が入っているから、粥でも作ってくれろ」と言いました...
お坊さんとキツネは、仲良く小豆粥を食べました...
その晩、キツネはお坊さんと一緒に寝ながら、恩返しがしたいと言い出しました...
お坊さんは「火事にあわないこと、水が夏に冷たく、冬に暖かければいい」と言いました...
その時から、この町の水は夏は冷たく、冬は暖かくなり、火事も起こらなかったそうな...