山姫のお話☆☆☆
更新 : 2020/3/8 1:05
昔々、屋久島の山奥に「山姫」が住んでいるという噂がありました...
山姫が笑うのにつられて笑ってしまうと、二度と山から帰れないと言われておりました...
屋久島の山のふもとには「太助」と「喜助」という2人の若い竹細工の職人がおりました...
ある日、2人は竹を取りに山へ入りました...
どんどん山を登っていき、頂上には今まで見た事もない立派な大竹がたくさん生えておりました...
それを見た2人は、中でも特に立派な竹を選んで、夢中で切っておりました...
すると急に、強い雨が降り出したので、2人は竹の木陰に隠れて、雨が止むのを待ちました...
すると、山の奥の方から、人の笑い声のような音が聞こえてきました...
始め2人は気のせいだと思っていましたが、だんだんとその音は、はっきりと聞こえてきました...
そして2人が振り返ると、そこには、美しい女がこちらを見て笑っておりました...
それは、間違い無く山姫でした...
山姫は、さらに声を挙げ、大きな声で笑い始めました...
太助は、それにつられて少しずつ笑い始め、やがて山姫と同じく大きな声で笑い始めました...
すると山姫は、突然宙に浮き上がりました...
それに驚いた太助が叫んだ瞬間、大きな音と共に、太助に雷が落ちました...
そして、喜助が顔を上げてみると、太助も山姫もおりませんでした...
どこを探しても、太助は見つかりませんでした...
仕方なく、喜助は山を下りることにしました...
すると途中の沢に、太助が怪我をして倒れておりました...
喜助は急いで近寄り、太助に声をかけると、太助は生きておりました...
この話を聞いた村人達は「それは山姫に違いない」と言いました...
これを恐れ、誰一人その谷へ近付くことはなかったそうな...