はなとり地蔵のお話☆☆☆
更新 : 2020/3/12 1:43
むかしむかし、信州のひとえ山のふもとに、働き者の百姓の老夫婦がおりました...
ある日、老夫婦は、村はずれの丘で、薄汚れて鼻の欠けたお地蔵さまを見つけました...
二人は、このお地蔵さんをきれいに洗って、見晴らしの良い場所に安置してあげました...
そして、いつも二人仲良くお地蔵さんを拝むようになりました...
やがて春になり、田んぼの代掻きをする季節がやってまいりました...
しかし、お爺さんが病気で寝込んでしまいました...
村の人たちは「あんな鼻が欠けた地蔵さんなど拝んでも何にもならない」と馬鹿にしました...
お婆さんは、そんな村人たちの陰口を気にせず、病気で働けないお爺さんの分まで働きました...
それでも、一人では田んぼの代掻きはできず、お婆さんは困ってしまいました...
すると、見ず知らずの小僧さんが田んぼに現れて「馬のはなとりをしてあげる」と言いました...
この謎の小僧さんが上手に馬をあやつってくれたおかげで、田んぼは見事に仕上がりました...
代掻きもおわり、二人で田植えを行い、どうにか無事に田植えも終わりました...
お婆さんは、お礼におにぎりを渡そうとしましたが、小僧さんの姿はありませんでした...
お婆さんは、せっかく作ったおにぎりなので、お地蔵さんにお供えする事にしました...
その時、ふとお地蔵さんの顔を見ると、小僧さんの顔に似ていることに気が付きました...
困っていたお婆さんのために、お地蔵さんが小僧さんになって現れたのでした...
しばらくして、お爺さんの病気もすっかり治り、二人はお地蔵さんに何度もお礼を言いました...
そのから、村の人々は、このお地蔵さんのことを「はなとり地蔵」と呼ぶようになったそうな...