サバ売りと山姥のお話☆☆☆
更新 : 2020/3/15 2:13
むかしむかし、ある山奥に、人を食らう恐ろしげな山姥が住んでおりました...
魚売りが沢山のサバを仕入れて、遠くの村まで売りに行く途中、山奥で山姥に出くわしました...
山姥は「お前のサバを食わせろ」と言い、サバを奪い取って残らず食べてしまいました...
毎日のように続き、サバを仕入れる代金も底をついた魚売りは、堪りかねて峠に行きました...
山姥に「これまでの代金を払わないなら二度とサバは食わせない」と言い放ちました...
ところが山姥は「今までお前を食わずにやったのに、そんな事を言うならお前を食ってやる」
と凶暴な本性をあらわにして、襲いかかって来ました...
からくも逃れた魚売りは、山姥への復讐を思い立ち、こっそりと山姥の住処に忍びこみました...
天井に隠れて様子を伺っていると、餅を炙り、甘酒を暖めながら居眠りしているところでした...
魚売りは、屋根の茅棒を抜き取り、鍋の甘酒を吸って飲み、餅を突き刺して釣りあげました...
山姥が餅と甘酒が消えた事を不思議がると、魚売りは「火の神が食べた」とごまかしました...
やがて山姥は眠気を催し「寝るか、石の長びつで寝るか、木の長びつで寝るか」と呟きました...
魚売りは、神様のふりをしながら「今夜は冷えるから木の長びつにしろ」と声をかけました...
山姥が神様のお告げだからと木の長びつに潜りこんで、蓋を閉じて寝てしまいました...
魚売りはそっと天井から降り、木の長びつに重石を乗せて、蓋の隙間から煮え湯をつぎ込みました..
「ギャー」山姥は苦しみもがきました...
やがて静かになったので、魚売りが蓋を開けてみると、そこには大きなクモが死んでいたそうな...