納豆のお話☆☆☆
更新 : 2020/3/17 3:21
むかしむかし、岩手では何年も日照りが続き、村人達は大変困っておりました...
田も畑も枯れて、田んぼのあぜに植えた大豆だけが、村人達を飢え死にから守っておりました...
そんな折り、戦が起こり、お侍が村人から食い物を出すように命令がくだりました...
村人が最後にとっておいた米を、明日の昼までに陣屋に持って来るようにということでした...
しかし、雑兵達の食い物まではありませんでした...
可哀想に思った村人は、冬に食べるつもりの大豆を煮豆にして届けることにしました...
そして、米はないがワラならいくらでもあるので、それに煮豆を包んで運ぶことにしました...
力持ちのひょうろくが、矢に当たると危ないので鍋をかぶって出掛けていきました...
真夏の暑い最中、鉄鍋をかぶってジリジリと暑いひょうろくは、もう何やら夢心地でした...
道に迷い、眠くなって道ばたで眠ってしまい、その日はお地蔵さまのそばで寝てしまいました...
次の朝、ひょうろくが歩いていくと、山の下で激しい戦をしているのが見えました...
下まで来てみると、数え切れない雑兵の骸があり、ひょうろくは全員埋めて弔ってやりました...
こうしてまた時間をくったひょうろくは、また陣屋に向かって歩いていきました...
すると、途中の道の真ん中に、雑兵が一人倒れておりました...
その雑兵は、空腹のあまり動けなくなり、その場へ置き去りにされてしまったと言いました...
ひょうろくは、山ほどの荷物に雑兵一人を担いで山道を歩き、ようやく陣屋に辿り着きました...
大将は御立腹でしたが、温かい湯気の出るにぎり飯を差し出すと、機嫌を直しました...
ところが、そのにぎり飯は、暑い最中をのんびり来たため、とっくに腐っておりました...
雑兵達は、煮豆も腐っているのではないかと思い、急いでワラの包みを開けてみました...
すると、煮豆はネバネバとして糸を引いておりました...
雑兵達はがっかりしながら、糸を引いた煮豆を食べてみると、それは大変美味でありました...
驚いた雑兵達は、次々と腐った煮豆を食べ始めました...
そして、ひょうろくに礼を言い、ひょうろくにも煮豆を食わせてやりました...
これが納豆の始まりで、陣屋に納めた豆であることから「納豆」と言うようになったそうな...
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