天下一の花嫁のお話☆☆☆
更新 : 2020/3/26 3:13
むかしむかし、沖縄の首里という所に、とても美しい娘「鶴子」と母親が住んでおりました...
鶴子を嫁に欲しいと縁談を持ちかけられ、困った母親は、園比屋武御嶽にお参りにいきました...
この事を知った裕福な農家の息子「多良」は、悪知恵をめぐらしました...
多良は神殿の陰に隠れて「ワシは神である、今日一番に出合った男と結婚させろ」と言いました...
母親は神様のお告げと信じて感激しながら、帰り道を歩いていると、出会ったのは多良でした...
鶴子は、神のお告げなら仕方がありませんと言って、多良のところへ嫁に行くことにしました...
結婚当日の月夜の晩、鶴子は、迎えのカゴに乗って出発しました...
カゴを担いでいた男たちが酒に酔って、道中すっかり寝込んでしまいました...
そのとき、たまたま秋のお月様見物から首里城へ戻る途中の、若い王様に出会いました...
若い王様は、鶴子の代わりに、黒い子牛をカゴに入れ、鶴子をお城へ連れてかえりました...
やがて目をさましたカゴの男たちは、子牛のカゴを担いで、夜明け頃に多良の家に到着しました...
多良は、カゴの中に子牛が入っていたので、とても腹を立てて、鶴子の母親に突きかえしました...
母親は、鶴子が本当に子牛になってしまったと思い込み、子牛を大切にかわいがりました...
やがて、首里城では御前舞踊が開催されて、母親も子牛を連れて見物にいきました...
すると、役人が母親のところへやってきて、奥御殿へ連れていきました...
なんとそこには、美しく着飾り、王妃になった鶴子がおりました...
母親は「神様が本当に良いお婿さんを選んでくれたんだねえ」と言って、涙を流して喜びました...
そして、母親も首里城に住むようになり、いつまでも幸せに暮らしたそうな...
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