山犬のお話☆☆☆
更新 : 2020/7/15 3:42
むかしむかし山奥の水車小屋に、与作とおっかあと生まれたばかりの女の赤ん坊がおりました...
赤ん坊はおっぱいを沢山飲みましたが、おっかあのおっぱいの出が良く、乳を余らせていました...
ある夜、与作の家の前に、山犬の子がちょこんと座っていました...
「きっと母犬が、乳のあまっている与作のところへ子を預けにきたのだろう」
と思い、おっかあは分け隔てなくおっぱいを飲ませました...
女の子は「小雪」子犬は「次郎」と名づけられ、本当の兄弟のように育てられました...
ある日、村里のニワトリ小屋が何ものかに襲われ、その犯人として犬の次郎が疑われました...
村里の人たちは「次郎を山に帰さないと、水車小屋には仕事を頼まない」と責めました...
犬の次郎は、この話がわかったのか、その晩のうちに姿を消してしまいました...
やがて、村里のニワトリを殺した犯人は、イタチであったことが判明しました...
しかし、犬の次郎を探しましたが、見つかりませんでした...
三年が経つたある夜、盗賊たちが与作の家を襲い、与作の家族三人を縛り上げました...
小雪が「次郎、助けて」と叫ぶと、すっかりたくましくなった犬の次郎が飛び込んできました...
次郎は盗賊たちをはじきとばし、一歩もひけをとりませんでした...
すると盗賊たちは、恐れをなして逃げていきました...
その後、次郎はばったりと倒れ、そのまま死んでしまいました...
「次郎、ありがとう」と言って小雪は涙を流しました...
村里の人たちは、この山犬の話を忘れないように、子供に語りついだそうな...
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