とんびとカラスのお話☆☆☆
更新 : 2020/7/22 1:27
むかしむかしのそのむかし、世の中に住んでいる鳥たちは、みんな真っ白でした...
田植えのときは、村中の鳥たちが総出で手伝うのですが、なにしろみんな真っ白でした...
子供の鳥は見分けがつきにくく、親鳥が自分の子供を間違えて家に連れていくことがありました...
そして、こういうときに必ず遅れてくるのがカラスでした...
一方、トンビはそんな様子を見て何とかならないかと考え、それぞれの鳥に色をつけました...
そして、まず自分の羽を茶色に染め、染物屋を始めました...
鳥たちは先を争って染物屋に並び、思い思いに好きな色で自分の体を染めてもらいました...
村は大騒ぎ、トンビは大忙しでした...
ところが、寝坊助のカラスは、なかなかこの騒ぎに気付きませんでした...
その日、染物屋の列は真夜中まで続き、朝から染め続けたトンビはヘトヘトに疲れておりました...
列の最後に並んでいた鶴は、トンビに気を使って、羽の先を少し染めてもらうだけにしました...
そして、一番最後にカラスがやってきました...
カラスがたくさんの注文をつけるので、トンビはとても手間をかけ、朝になってしまいました...
トンビはもうクタクタで、黒の染め汁を入れた桶を運んでいる時にうっかり転んでしまいました...
桶の中の染め汁は、カラスに頭からバサッとかかってしまいました...
カラスは真っ黒に染めあがりました...
「この阿保ー」とカラスは怒って、トンビを追いかけまわしました...
トンビが一生懸命謝っても、カラスは許してくれませんでした...
カラスが真っ黒なのは、このことがあってからだそうな...