宿番号:308304
葉隠館のお知らせ・ブログ
葉隠入門No5
更新 : 2009/6/16 9:04
「自分の能力の限界を知ること」
我が知恵一分の知恵ばかりにて万事をなす故、私となり天道に背き、悪事となるなり。脇より見たる所、きたなく、手よわく、せまくはたらかざるなり。真の知恵にかなひがたき時は、知恵ある人に相談するがよし。その人は、我が上にてこれなき故、私なく有体の智恵にて了簡する時、道に叶うものなり、脇より見る時、根づよくたしかに見ゆるなり、たとえば大木の根多きが如し、一人の知恵は突っ立ちたる木の如し。
(訳)我々は、わずかな知恵しかないのに、その知恵ですべてのものごとを判断し処理しようとするから、かえって邪念となり、天の道理に背き、ついには悪事と化すのである。他から見てみるとそんな知恵は汚くて、よわよわしく、せまいうえに、どうしても動きが鈍いものだ。
自分自身のよりよい知恵が思い浮かばない時は、それらしい知恵者と話し合って見るのもよいだろう。その人は自分の事ではないものだから、私心なく素直に判断することが出来、結局は道理にもかなうことになる。これは大切なことで、傍から見ていると、根気づよく確実なものに見えるのである。たとえば、大木の根がたくさんあって太いようなものである。一人の知恵にはかぎりがあって、あたかも一本そびえ立っている立木のようなものである。
な〜るほど。