シェパード、ドーベルマンが代表格だけど、チワワにテリアにコーギーの僕らも立派な警察犬です。小さいから目立たないし狭い場所を走れるの。ちびだからって侮るなかれ。

人間も人生で沢山の「試験、試練」と向き合いますが、警察犬になるまでに僕らも沢山試験を受けます。最終試験時、試験官の「GO！」の号令と同時に尾を千切れんばかりに振り一目散に私を目掛けて突進して来た雑種のシェパードがいた。「ダメダメ！テストだよっ！GO！」担当教官と一緒に犬をなだめたけど諦めました。この子がお腹を見せてゴロンしたらもう動かない。僅か数か月ですが「母親」はワタクシでした。
「ヴィスコはな人間大好きやもんな。わしら警官のアイドル。警察犬にはなれんかんかったけど」と担当教官。試験を見守っていた当時の亡父は呆れ顔。だけどそんなの気になら無い。またヴィスコと暮らせる♪いそいそとリードを繋ぐ私。ところが担当教官が私の手を留めた。「ヴィスコ、オジサンにもらえんかな」「え…？落第したのに？」

「警察犬になるだけが犬の幸せと違う。そこ間違うたらヴィスコが可哀相やで。」

何とヴィスコを教官のご高齢のご両親の「専属SP」にしたいとのこと。家の中も外出時もほぼ２４時間ヴィスコが一緒。特別訓練を受けた犬だから散歩でもご高齢のご両親を引っ張りはしないし無駄吠えも無い。その風貌だけで立派なボディーガード。
警察一家は大黒柱が不在勝ちになるのは致し方ない。ヴィスコが「才能を咲かせて」生きるには申し分無い環境であり、…必要十分条件であった。

試験に合格したんだよ。私の可愛い坊や。…さようなら。

人には様々な家族形態がある。大切な人が家族に限定される訳で無いの。だからその相手が学校の友達や職場の同僚、私の様に動物だったりしても不思議は無いわね。大切なのはご縁を頂いた目の前の相手に「思い遣り、慈しみの心」を持てることなの。

血縁は家族の定義を満たす、必要十分条件では無い。

◎ワンちゃんはフリー画像をお借りしています。

☆大切な人への贈り物☆

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